「音無美紀子の歌声喫茶」被災地公園in釜石-2日目
2日目は、朝、釜石市役所で津波のお話を伺いました。
坂の上にある市役所の入り口付近まで津波が押し寄せてきたそうです。
「街が津波に飲み込まれ人や車や家がグルグルと渦に巻かれるのを
ここからなす術もなく見ていました。
その後、ご遺体が数え切れないほど並べられたのです。
あの光景は忘れられません」
と職員の方が悔しそうに語ります。
4カ所目の大槌第5仮設団地は、山に囲まれた田んぼの中にありました。
200世帯もの方たちを受け入れる仮設住宅を建てるのに
適した平地がなかったのだとか。
それにしても、これまで海辺で暮らしていた方たちが、
ある日突然この山奥の仮設で暮らすことを余儀なくされ、
もう5年が経つのです。
みなさん思いは複雑なようです。
集会所での歌声喫茶に、
「こんなとこに慰問に芸能人が来るなんて初めてだ」
と喜ぶというよりはどうしてよいのか戸惑っていらっしゃる方が多かったようです。
実際、中には入らず、窓の外から眺めている方もいらっしゃいました。
でも、嬉しいことに、ご年配の方に混じって、
小学生の女の子が3人で来てくれました。
それなら!と手遊びや踊りなどたくさんのゲームをしてみんなで遊びました。
そして、リクエストを尋ねると、
「ふるさと」という答えが返ってきて驚きました。
実は最近では「兎追いしかの山〜」など、
歌詞の内容が古過ぎて音楽の教科書から外されてしまったり、
復興の遅れから、
「この歌を聴くと苦しい」との声も被災者の方から聞くようになり、
私たちも敢えて歌うことをしなくなっていたのです。
「あなたたちが大きくなる頃には、
素晴らしい故郷を取り戻せますように」
という願いを込めて歌うことにしました。
子供たちはニコニコ、大人たちは涙を流す方もいらっしゃいましたが、
「この子たちと一緒にこの歌を歌えて良かった」と喜んでくださいました。
私たちも涙です。
5か所目は、カリタス釜石という教会でした。
ちょうど七夕の飾り付けもあり、
賑やかな歌声喫茶となりました。
歌やゲーム、イントロクイズをやったのですが、
どうも女性陣が強く、男性はなかなか手を挙げません。
そのモジモジした様子が可愛らしくて、
また盛り上がりました。
一気に心の距離が縮まり、10年来の友達のような気分で楽しくお話させていただきました。
メンバーの橋本志穂さんに、
「津波で全部流されたけど、心は流されなかったから」
と笑顔で話しかけてくださった方もいたそうです。
今回の釜石公演をサポートしてくださった市役所の皆様、
本当にありがとうございました。
こうして私たちの出来ることは本当にわずかですが、
少しでも心の慰めにしていただけたら、
こんなに嬉しいことはありません。
早く私たちの活動が必要とされなくなる日が来ることを願っていましたが、
5年半経っても9万人の方が仮設暮らしと聞き、
もっと頑張らねばと身が引き締まりました。
この秋もまた被災地訪問を予定しております。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
【参加メンバー】
音無美紀子、清水よし子、中西勝之、橋本志穂、
原元美紀、村井國夫、村井麻友美
【アコーディオン伴奏】
園田容子
【事務局】
栗原知里、村井健太郎