70年前の広島で起きたこと
1945年8月6日8時15分、
広島に原爆が落とされました。
子供の頃教室に置いてあった「はだしのゲン」を読み、
その悲惨さに衝撃を受けました。
以来毎年読み返すようにしていますが、
今年は電子書籍です。
一枚一枚頁をめくる指先は恐怖を感じ冷たくなっていき、
その反面、怒りと悲しみに体中が沸騰する初めて読んだあの感覚がよみがえってきます。
近年、この作品が偏った歴史観であるとか史実ではない部分が誤解を与えるということから
閲覧禁止を求める自治体などもあると物議を醸しました。
では、戦争の『真実』ってなんだろう?
何人死んだとかいかう数字のことですか?
ほんとはこんな理由だったとかいう裏話のことですか?
それだけだったら違うと思います。
だって、それが分かって、
「原爆が2個落ちたおかげで戦争は終わったのだから、
あなたは悲しむ必要がないですよ。」と言われ、
救われる遺族がひとりでもいるだろうか?
そんなの死んだ一人一人にはもはや関係のないことです。
命を返してくれるわけじゃないんだから。
市井の人々にとっては、
一つ一つの沸き上がった感情がその人の『真実』だ。
誰かに否定される『間違いな感情』なんてない。
作者の中沢啓治さんはこんなにも怒っている。
怒りや悲しみをきちんと受け止めたい。
人は感情のある生き物で、戦争は人が起こす。
やがて戦争は人から感情を奪い、大規模な殺戮へと発展する。
もう誰も止められない。
戦争の語りを知るほどに、
戦争の根元を断つには、
感情を蔑ろにしてはならないと
この戦後70年に思うのです。