ただいまおひとり様、映画祭り中です!
最近、単館ロードショー熱が高まり、
ぽっかり時間が空くと映画館に吸い込まれてしまいます。
その中でも、なんとも不思議な作品がこちら。
「ニンフォマニアックVol.1 Vol.2」
タイトルのまんま『色情狂』の女性がヒロイン。
「私は悪い人間なんです・・・」
傷だらけで行き倒れていたヒロインが、
助けてくれた老人男性に自らの数奇な半生を告白する映画です。
人一倍性欲の強いヒロインが語る、
性の目覚めや持て余す性欲の処理の仕方など、
そのこだわりは尋常じゃありません。
時に滑稽に、時に哲学的に性体験の深まりを語るのですが、
Vol.1の最後に、
ヒロインにとっては
『この世で一番の不幸』に襲われます。
もう気になって気になって、Vol.2も観てきました!
かと言って、すべてネタバレになってしまうから
なにも書けないのですが(泣)、
このヒロインがどんどん酷いことになってました。
「性」は「生」の原点であり、自我であり、
それゆえに滑稽であることが、
これでもかこれでもかと見せつけられ、
ヒロインのチャレンジャーぶりに呆気に取られました。
自分とは真逆の半生を歩んできた彼女の告白を興味深そうに受け止める老人の部屋は、
質素でまるで修道士の部屋のよう。
長い長い告白=懺悔の果てに
ヒロインが何を得て何を失ったかが
快楽の感じられない空間に浮かび上がってくるようでした。
それにしても、なにが不思議って、
シャルロット・ゲンズブール演じるヒロインがほとんど裸(それも全裸)!
でも、「よっしゃー、覚悟決めたで!」的演技ではなく、
すごく自然で、説得力ある佇まいでした。
裸も隠そうとする方が逆にソソるのですね。
だからこの作品は、過激でしたが一度もいやらしい気分にならなかった。
一方、女優さんの体当たりでは邦画も負けていません。
安達祐実さんの美しいヌードが話題の「花宵道中」。
江戸時代末期の吉原で、
花魁として恋を知らずに生きるヒロイン朝霧。
子どもの頃に受けたせっかんの跡が、
興奮して体温が上がると花の模様のように紅く浮かび上がると評判で
客が途絶えない人気の花魁。
あと少しで年季が明け自由な身になるのを励みに
黙々と務めを果たす朝霧が、
半次郎という青年と出会い身を焦がすような恋をしてしまう。
許されるはずのない二人の恋の行方は、
吉原を揺るがす大きな事件へと発展し…!?。
艶やかな花魁の衣裳、
その下の安達祐実さんの白く透明感のある肌、
うっとりするような美しい映像でした。
特に横顔の顎のラインの美しさは目に焼き付いて離れません。
そして、ヒロイン朝霧の運命を、
儚く、切なく、ピュアに演じた安達祐実さんには本当に感動しました。
これまで、高い演技力を持つ彼女が、
果たしてどんな大人の女優に変貌するのか、期待する人もいれば、
「子役は大成しないものさ」と期待しなかった人もいると思います。
けれど、彼女はとうとうこの役に出会ったのだ!
というのが私の感想です。
さて、ラストは、韓流から、「レッド・ファミリー」。
優しいおじいちゃん、誠実なお父さん、
しっかり者のお母さん、利発な娘…、
人もうらやむ仲良し家族。
しかし、その実態は!?
全員が北朝鮮の工作員!
名実ともに血の繋がっていない『アカ』の他人の家族だったのです。
彼らの使命は、韓国に潜入して脱北者の暗殺を謀ること。
彼らの真の家族は人質として北朝鮮で捕らわれていて、
愛する家族を救うため、非情な任務を日夜こなさねばならないのです。
カモフラージュとして、隣人の韓国人家族と交流し、情報取集。
最初はいつも喧嘩が絶えない隣人一家を
「欲望の塊」「資本主義の限界」と馬鹿にしていたのですが、
自由に言いたいことが言い合える姿を見ているうちに人間らしい感情を取り戻し、
工作員としての歯車が狂い始めます。
そこにもたらされる衝撃の情報に、彼らの心は乱れ・・・。
日本の常識ではあり得ないコミカルな設定ですが、
拉致被害、大韓航空機爆破事件などを思うと
まんざらでもないと背筋が寒くなります。
笑って泣けて、とても哀しい映画でした。
しかし、おひとり様は気楽だけど、
誰とも感想を分かち合えないのが悲しいですね。