69回目の終戦記念日に思うこと。
69回目の終戦記念日を迎えました。
今年は、映画「黒い雨」を観て過ごしました。
井伏鱒二の同名小説を
今村昌平監督が映像化したものです。
舞台は、原爆が落とされてから5年後の広島。
原爆投下直後に降った『黒い雨』を浴びた娘が、
「直接ピカ(原爆)を浴びた被爆者」と原爆症を疑われ、
縁談を断り続けられるところを切り口に、
原爆が市井の人々の暮らしや心に
どのような悲劇をもたらしたのか静かに迫る作品です。
娘の育ての親である叔父夫婦は、
「健康」を証明しようと医師に診断書を書いてもらったり、
当時の日記を清書するなど奔走しますが、
皮肉にもそれが二次被曝を明らかにするものへとなり、
やがて娘も原爆症を発病してしまうのです。
「はだしのゲン」同様、
戦争の恐ろしさは、街が破壊されることだけではありません。
ほんとうに恐ろしいのは、
それまで仲良くしていた人同士が差別したり憎しみあうようになり、
人が引き裂かれてしまうことです。
同様のことは、最近にもあります。
例えば、ダム建設や米軍基地問題、
そして原発再稼働の賛成反対など。
当事者の方にお話を聞くと、みな
「『アレ』さえ無ければ、
平和に仲良く暮らしていたのに」
と嘆きます。
一度引き裂かれた人の絆は簡単には復興しません。
次の世代、その次の世代へと受け継がれてしまい、
そのうち、何でいがみ合っていたのかもわからないほど
憎しみが絡み合ってしまいます。
その打開策として、
共通の敵を作ることが歴史上何度も繰り返されました。
私は人を引き裂く戦争がほんとうに憎いです。
次の戦争が仕組まれませんようにと願うだけでなく、
人の心に誤解が生まれないよう、
「正しい情報」を伝えることで
丹念に芽を摘んでいきたいと思います。
