漫画家が今為すべきこととは | 原元美紀 オフィシャルブログ 「原元美紀のミキペディア」 Powered by Ameba

漫画家が今為すべきこととは

一年に一度の大イベント、

「小学館コミック局 感謝の会」に行ってまいりました。


漫画の神様が降臨される日です。


原元美紀 オフィシャルブログ 「原元美紀のミキペディア」 Powered by Ameba-2011小学館


私は、「週刊スピリッツ」で連載中の

細野不二彦先生の「電波の城」で、

ディテールのお手伝いをさせていただいたり、

単行本の1巻の帯コメンントを書かせていただいたご縁で

毎年参加させていただいております。


2日前に出た高熱も、

この日のためにじっとおとなしく耐え、気合で下げました。


それほどまでに参加したかったのは、

「乾杯のご発声」を担当される漫画家先生のお話を

聞きたかったからにほかなりません。


昨年は、かわぐちかいじ先生が

東京都の青少年育成条例、

いわゆる「非実在青少年問題」について語られました。


今年は震災の遭った年です。


漫画家先生たちから、

この9か月の想いが語られることを期待しました。


そして登場したのは、

なんと、


萩尾望都 先生!


会場がどよめきました。



なぜなら、

萩尾先生は「少女漫画界の神様」「偉大なる母」と呼ばれるものの、

パーティーなどにあまり出席されない方だとされているから。


そしてもう一つの理由は、

萩尾先生は、今年6月には『なのはな』、

8月には『プルート夫人』という作品を発表し、

漫画家としては珍しく直接的に

「原発」「福島」について取り上げられた方だからなのです。


原元美紀 オフィシャルブログ 「原元美紀のミキペディア」 Powered by Ameba-萩尾望都先生


先生の口から語られた言葉は、とてもシンプルなものでした。


「震災が起きてから・・・、

何ができるだろう?

漫画なんか描いていて良いのだろうか?


と、ずっと考えておりました。


しかし、私たちはやはり面白い作品を創り続け、

多くの人を元気づけるしかないのだと思ったのです。」



取り立てて特別な言い回しでもなく、

もしかしたらどこかで何度も聞いたことのあるような言葉です。


萩尾先生の作中の登場人物の方が

雄弁で哲学的なセリフを吐いています。


しかし、この飾らない率直な言葉を萩尾先生が語るからこそ、

「作品で見せていくのだ」というその信念に胸が震えるのです。



二次会に移っても、

「週刊スピリッツ」副編集長の挨拶が胸にしみました。


「震災で製紙会社や書店関係が5パーセントも被災するなど

大変な打撃を受け、

もう出版界はダメなのではないかと思われました。


しかし、わずかひと月後、

コミックの販売部数は140パーセントにもなったのです。

停電が起きたこと、テレビ番組が震災関連ばかり続いたこと、

様々な要因が考えられます。


何より、宮城県の避難所に子供向けの本を寄付したところ、

あるお母さんがこうおっしゃいました。


『昨夜ロウソクの灯りの中、子供に読み聞かせをしました。

震災以来初めて怖いと言わずに安心して眠ってくれました』


まだ余震が続く被災地で、子供を喜ばせてあげられる・・・、

我々はすごいことをやってるんだと改めて感じました。


いい作品を創り続けましょう!」



小学館の本気を力強く感じました。


*****


さて、乾杯の後は先生方にご挨拶です。


まずは、大胆にも萩尾望都先生に!


原元美紀 オフィシャルブログ 「原元美紀のミキペディア」 Powered by Ameba-萩尾望都先生と私


先ほどのスピーチに感動した気持ちをお伝えし、

「なぜこのような大きなパーティーに出席されたのか」尋ねると、


「やはり、震災がありましたからね。

いろいろな場で語っていこうと・・・」


と穏やかにおっしゃっていました。


萩尾先生の眉間にはほくろがあり、

菩薩の姿を重ねてしまいます。


まさに『百億の昼と千億の夜』!

(判る人だけ判ってください)



そして、浦沢直樹先生。


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「『20世紀少年』はなぜ原作と映画があんなにも違うのですか?」


と尋ねると、


「映画のDVD版を見ましたか?未収録の場面があるのです。」


と、先生の語りが止まりません。


原元美紀 オフィシャルブログ 「原元美紀のミキペディア」 Powered by Ameba-語りだす浦澤先生


「原作は実は様々な事情であの形になり、消化不良でした。

だから映画の脚本を自身で担当したのです。


そもそも僕の漫画は『スッキリしない』ってよく言われるんですよね~。

『MONSTER』しかり、『MASTER キートン』しかり。」



話はその後も『プルートゥ』や『BILLY BAD』へ・・・。


確かに先生の作品は判りやすくなかったり勧善懲悪じゃなかったりします。


その分読者に「考える」ことを教えてくれました。


人間が複雑な気持ちを持つ生き物で、

だからこそ人生が尊いということも。


それにしても、15分も浦沢先生を独占し、漫画談義。

夢のようなひと時でした。



続いて、ド派手な格好で異彩なオーラを放つ高橋のぼる先生


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実は、高橋先生の結婚式の司会を担当させていただいた

ご縁があります。


さて、連載中の『土竜の唄』は佳境に突入!!


「絶対クレイジーパピヨンを死なせないでくださいね」

とお願いしてきました。



そして、今年も無事にご挨拶が叶った細野不二彦先生


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『電波の城』はますます抜き差しならない展開になっており、

「こんな女子アナいたらヤダな~」と

眉間にしわを寄せて読んでしまうほどなのですが、

描いてらっしゃる細野先生は、

ますますダンディーさに拍車がかかっております。


ほんとに人の頭の中って不思議ですよね。


(担当さんにお聞きしたら、

この後とんでもない展開が待ち受けているようです。ヒヒヒ。)


二次会では、花津ハナヨ先生と再会。


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しばらくツイッターやフェイスブックでのみのおつきあいでしたので、

リアルにお会いできるのは嬉しいです。


とてもエレガントになられて女っぷりが上がっていました。


しかし話題は、「ガラスの仮面」すごろくについて。

マニアック!(笑)



最後に今年も超ド派手な浜田ブリトニー先生


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「今はお家はあるんですか?」と尋ねると、


「ありま~す!今日もビンゴでルンバ当たった~!ラッキ~☆」


とのことでした。


もうお一方はなんとマネージャーさん。

ブリちゃん先生にテイストを合わせていらっしゃるそうです。

素晴らしい!


*****


ところで、私は食べる間もなく飛び回っていたのですが、

「美味しんぼ」で東北被災地を取り上げている小学館ならではの

東北応援コーナーもありました。


名物料理。


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地酒。


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あっという間に売り切れるほど大人気でした。



頑張れ東北!

漫画界もずっと応援しているよ!!