有田芳生議員が国会で足利事件の再捜査を質問-2
3月8日の参議院予算委員会
有田芳生議員の質問の流れです。
答弁は、
菅 直人 総理大臣
江田五月 法務大臣
中野寛成 国家公安委員長。
***
1.まず事件の連続性を総理たちが認識しているかどうか確認
有田:「警察学校の教授の論文にあるように、
児童等を対象とする、特に殺人に至るケースでは、
被疑者には連続的に慣行するするケースが多い。」
公安:「その論文は的を射ている。(反復性を認める)」
有田:「実際に菅家さんは足利事件以外の
他の2つの事件でも犯人視されていた。
H22.4の警察庁の『総括文書』では、
菅家さんが疑われたように、
いずれも同一犯による犯行の可能性が高い。」
公安:「ありとあらゆる可能性を考えて、
3件、いや群馬も入れて5件と言えるのかもしれない。
一般的には同一犯の犯行と否定できない。」
有田:「もう一度確認するが、’79~96年までの5件は、
同一犯であると認識された?」
法務:「最高検も検証。足利事件は、あと2件の関連を考えているが、
同一犯による可能性もある事案だったと
検察庁の『総括』にも記載されている。
一般的には関連性を疑うのは不思議じゃない。」
2.真犯人を求める声を紹介
・栃木県警の幹部
「真犯人が逮捕できず無念だ」
・菅家利和さん
「いまだに県警の職員の中には、菅家が犯人だと言う人がいる」
・足利事件被害女児の真実ちゃんの母親
「どうしてうちの娘が遺体となって
発見されなければならなかったのか知りたい」
・足利市長
「菅家さんの冤罪が司法の場で明らかにされたことは喜ばしいが、
同時に真犯人が一体ドコにいるのか想起させる結果となった。
真実の解明に取り組んで欲しい」
3.立ちはだかる『時効』の壁
有田:「時効と言うが、公訴はできなくても捜査はできるのでは?」
公安:「一般論では、公訴時効とともに、捜査は行なわれない。
しかし、犯人が国外にいるなど、
時効完成を否定する要素が有れば、
真犯人の検挙に向けた捜査を行なうことを承知している。」
有田:「重要事件で冤罪で連続事件を、時効で片付けるのか?
しかし、犯人を特定していなければ、
公訴時効が完成しているかどうかも判らないじゃないか。」
総理:「大変痛ましい。
近隣で5件も同じような事件があるという指摘を受けたが、
捜査のルールはあると思うが、
まさに冤罪事件であり、その後も類似の事件があると聞き、
今後も同種類の事件を防ぐという意味からも、
必要なことについてはしっかりと対応することが
警察等においても大切かと感じた。」
3.立ちはだかる『時効』の壁
有田:「実は『目撃者』はいた。警察も当時認識していた。」
法務:「2名いた。」
有田:「ある主婦は、警察に通報もして、現場でも証言した。
もう一人は、河川敷でゴルフをしていた男性。
警察は今になってこの2名を有力な情報とらえている。
女の子と現場付近を歩いていた不審な男を、
『ルパン三世』に似ていると言っている。
その後96年、横山ゆかりちゃん行方不明事件の映像を見て、
特徴ある不審な男の歩き方が、
足利事件の『ルパン』にそっくりだと証言している。
となると、真実ちゃんとゆかりちゃんの現場は11キロしかない。
連続事件の可能性だという印象は持たれないか?」
公安:「横山ゆかりちゃんの事件は、
群馬県警は他の事件との関連も含めて
鋭意捜査中と承知している。」
5.不審人物のDNA鑑定が完全一致
有田:「そもそも菅家さんはDNA鑑定で逮捕された。
初期のMCT118法は粗い画像を目視で判断するし、
足利市には菅家さんと同じDNA型は、
200人以上いた可能性があったことが後で判る。
確率は185人に1人という低さ。
それが、数億人から1人を特定するほどの最新のDNA鑑定で
ようやく菅家さんの無実は晴れた。」
有田:「日テレの報道番組で、
『ルパン』に似た男と考えられる不審な人物にたどり着き、
弁護人側の鑑定をした本田鑑定では、
30数箇所でDNA型が完全に一致したことが判明したと報じた。
その『ルパン』に似た男は、
足利事件の当日にパチンコ店や現場周辺にいて、
真実ちゃんと話をしたことも認めている。
さらにDNAが何億~、何兆分の一まで一致している人物。
これをどう考えますか?」
6.遺品のシャツの返却
公安:「遺留品のシャツに関しては、
将来どのような事態があるかわからないから、
尚お預かりを致しているが、
警察としてはあらゆる可能性否定せず、
全力を尽くして捜査していると認識している。」
有田:「あらゆる可能性と言うが、
(時効で捜査をしないなら)
遺族がシャツを返してくれというのに、
どのような可能性があるから返さないのか?」
公安:「DNA技術はより進歩している。
また他の事態が生じてくることなどを考えながら、
慎重に対応していると認識。」
有田:「そうすると、足利も含め、
再捜査、再々鑑定を行なう意思はおありですね。」
公安:「類似の事件の捜査、
または時効は成立していないものもあるし、
あらゆることを想定し、
いかなる場合にも対応できるよう
可能性を保持しておこうという考え。」
有田:「というと、足利事件の再捜査は行なうのですね。」
公安:「今、明確にお答えをすることはできません。」
有田:「真実まであと一歩のところまで来ている。
その時に、警察、検察が動かないなら、
この国の安心安全に、国民に示しがつかないじゃないですか。」
公安:「具体的な捜査の内容については申し上げることはできないが、
我々としては、『あらゆる可能性』を否定しないで、
今後とも類似の事件の捜査も含めての努力をしていく
という認識を申し上げる以外にありません。」
有田:「国民の安心安全、治安を守る重要な課題、
民主党だからこそ、
菅政権だからこそ出来ることがあると思いますので、
ぜひとも総理の英断を求めます。」
***
事件の連続性、真相解明を求める声の高まり、消された目撃証言まで、
一つ一つを認めさせてから、
不審人物のDNA一致や、
遺品のシャツを返却しないことを逆手に取り、
再捜査へのコメントを引き出すのは見事でした。