だいじょうぶ、山のなかでも暮らしていける   わたしたち、運命婚です。 | スピリチュアルライフ ー 原水音のマザーアースカフェ

スピリチュアルライフ ー 原水音のマザーアースカフェ

アメリカ、屋久島を経て、熊野の自然のなかで暮らしています。四人の子どもを自宅出産、自然育児で。スピリチュアルでエコな体験をおしゃべりしちゃいます。

 

記念すべき夫との初夜は、まったく記憶にない。

 

前夜、雪のなかで毛布にくるまっても寒くてさむくて、

 

うつらうつらしか寝れなかった。それなのに、

 

飲めないお酒を気分で飲んでフワフワになって

 

気がついたら、朝だった。

 

 

この時はなんも思わなかった夫と

 

三か月後に、まさかの再会が待っていようとは、

 

これはもう、運命としかいいようがない。

 

だからわたし達は、恋愛結婚じゃなくて運命結婚、

 

運命婚だと思っている。

 

 

 

あさっての京子さんとわたしを山まで運んでくれたススム君は、

 

翌日には帰ると言い出した。自動的にわたしも彼の車で帰ることになる。

 

「ベイエリアまでのライドなら、きっとまたあるから、もう少しいればいい」

 

山の村長も、ビッグママもそう言って引き留めてくれたので、

 

わたしだけ山に残って、結局、3週間ほど滞在することに。

 

山の人たちは、スケールの大きなアメリカの大自然のなかで

 

ひっそりと平和に暮らしている。

 

はるか遠くから山々を渡ってくる風が

 

大草原をざわめかせて通り過ぎていく時間

 

そのなかに生きている。

 

薪を燃やして、生きている炎で調理した

 

とれたての畑の野菜は、太陽の味がする。

 

水は山の湧き水。

 

日が落ちると、ランプの灯りが金色に闇を染めた。

 

圧倒的な闇が世界をつつみ、梟たちの夜が来る。

 

どこかで、コヨーテが鳴いている。

 

空には満天の星。

 

手を伸ばせば、宇宙はすぐそこにあった。

 

 

 

 

山での日々がわたしを変えた。

 

自分のなかでいつも波立っていた思いが

 

静かに引いていく。

 

生きるって、命そのものでいることなんだ。

 

頭のなかのうるさい羽音に、初めて気づいてぞっとした。

 

ずっと、こんなふうに風の声を聴く耳さえもたなかったなんて。

 

自分の頭の中の雑音がうるさすぎて、

 

でもその繰り言みたいな自分の思いにすがって生きてきた。

 

 

許されるなら、このまま山に残りたい。

 

でも、学校もだいぶ休んでしまったし、

 

このままでは浦島太郎になる。

 

2月の終わり、山の住人で、森のなかに住んでいる

 

スイス人の男性がサンフランシスコへ車で行くという。

 

彼の車に乗せてもらって、わたしは街に戻った。