フランスが生んだ渋すぎる大スターであるジャン・ギャバン。年を重ねる度に苦味が掛り、大人の酸いも甘いもスクリーンに表現し、哀愁を漂わせる男だ。俺もこんな大人の男になりたいと本作を観て思ったのだが、実は本作の公開時の彼の年齢をとっくに過ぎていたことに気付いて、我ながら笑けてしまった。
しかし、本作の公開時はまだ彼も50歳なのだが、すでに老ギャングを演じている。そして危ない橋を渡るのを辞めて余生を静かに暮らそうとする。そんな彼の慎ましい希望は叶うのか。
情に篤すぎる老ギャングの悩めるストーリーの紹介を。
マックス(ジャン・ギャバン)とリトン(ルネ・ダリー)はお互いに暗黒街を生き、20年来の親友同士。マックスはオルリー空港で金塊5千万フランの相当の強奪に成功。この世界からの足を洗って、静かに暮らそうとしていたマックスは、ほとぼりが冷めたところで金塊を売り飛ばして、悠々自適の生活をしようとしていた。
しかし、何かと自堕落な生活をしているリトンのおかげで日頃から悩まされているマックス。今回もリトンが愛人であるジョジィ(ジャンヌ・モロー)に金塊を強奪したことをうっかり喋ってしまう。そして、ジョジィは売り出し中の暗黒街の新興勢力であるアンジェロ(リノ・ヴァンチュラ)の情婦でもあり、彼にそのことを喋ってしまう。
マックスはアンジェロから金塊を強請られてしまう羽目に陥り・・・![]()
アホな親友のために、みすみす苦労して強奪した金塊を失いそうになってしまう老ギャング。親友を選ぶか、金塊を選ぶかの悩ましい選択に陥る展開が何とも切ない。この哀感漂うストーリー展開はまさにフランス製ギャング映画(フレンチ・フィルム・ノワール)。
昔気質の仁義を重んじる老ギャングと、目的のためらな手段を選ばない新興ギャングの対立を軸に、熱い友情も描かれている。少しばかりセンチメンタルな気分になるギャングの抗争を描いた現金に手を出すなを今回はお勧めに挙げておこう![]()
監督はジャック・ベッケル。本作と同じく犯罪映画肉体の冠、ジェラール・フィリップ主演で天才画家モディリアーニを描いたモンパルナスの灯、脱獄ムービーの傑作穴がお勧め![]()
