褒めまくる映画伝道師のブログ

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気に入った映画を紹介して褒めまくることがコンセプトです。
素晴らしい映画を将来のために伝えたい想いで紹介します。

                映画 彼岸花

 世界的に名匠として知られる小津安二郎監督による初のカラー作品が今回紹介する彼岸花。彼らしく家族について描かれているが、今回は娘を持つ親の苦悩が描かれている。しかしながら決して重い内容では無く軽いタッチで描かれていて、俺が見た小津安二郎作品の中では最も笑えた。特に戦後の昭和の親父の頑固さが、上手く描かれていて、現代のお父さんと大きく異なることに気づかされ、笑える。

 

 娘に結婚を前提とした男が居たことに、我を失ってしまう親父を描いたストーリーの紹介を。

 平山(佐分利信)は友人の河合(中村伸郎)の娘の結婚式に参加し、スピーチを求められる。そこで「我々の時は見合い結婚でしたが、最近はお互いに好きな者同士が結婚して良い時代になった」等とユーモアを交えてスピーチする。

 平山には娘が2人いるのだが、長女節子(有馬稲子)のお見合い話の件でも動いていた。そんな平山の前に突如スーパーイケメンの谷口(佐田啓二)が現れる。彼の口から「節子さんを僕にください」と結婚を前提として今まで付き合っていたことを知らされる。平山は自分も妻の清子(田中絹代)も知らないところで節子が男と付き合っていたことに、怒りが沸々と湧いてきて・・・!

 

 本作は平山家以外にも娘のことで悩んでいる親が出てくる。娘が恋愛していることに親たちは悩むのだ。この時代は娘をいかに立派な家に嫁がせることに、今見ると笑えるぐらいに、こだわっていたことを知ることができる。

 特に平山という親父の頑固さと矛盾している言動が笑わせる。この男が娘の節子が谷口と結婚することに反対するのが尋常ではない異常さをみせるのだが、このあたりの描き方が昭和の親父過ぎて笑えた。

 俺には経験がないのだが、娘を持つ親にとって大きな悩みが子離れ。これは現代にも通じるテーマだが、それとこの映画が描かれる時代の男性、女性の価値観の変化も今となれば興味深く見れる映画だろう。

 そして出演者では平山の親戚で娘の幸子(山本富士子)のお見合いに奔走する佐々木初(浪花千栄子)も大いに笑わせてくれた。

 相変わらず家族をテーマとした映画を撮り続ける小津安二郎監督のコメディタッチの作品として今回は映画彼岸花を特に娘を持つ父親にお勧めしておこう!

               映画 疑惑のチャンピオン

 

 世界一過酷な自転車競技であるツール・ド・フランスで7年連続総合優勝を果たしたランス・アームストロングの伝記映画が今回紹介する疑惑のチャンピオン。七年連続優勝って凄すぎるだろうと誰もが思う。しかし、そんな栄光の裏で大きな影があった。

 この世の中、世界選手権やオリンピックの時はスポーツが大流行。純粋に選手たちが自らの努力と精神力をぶつけ合った争いを観たいと思うのだが、本作を観てしまった今では俺から見れば人間離れした記録もやっぱり裏があるよね、なんて感想を持ってしまった。

 

 それではランス・アームストロングの栄光と挫折を描いたストーリーの紹介を。

 自転車競技で活躍するアメリカ人であるランス・アームストロングベン・フォスター)は、25歳の若さで精巣ガンに侵され脳にも転移していた。命を取りとめたランスだったが、もはや自転車競技に復帰できないだろうと思われていた。

 しかし、彼は不屈の精神で復帰し、ツール・ド・フランスを7年連続優勝を果たし、人々から大きな称賛をけるが、唯一人彼の強さに疑問を抱いたジャーナリストであるデヴィッド・ウォルシュ(クリス・オダウド)が何か裏があると調べ始める・・・!

 

 スポーツ界を激震させたのがドーピング。実はアーム・ストロングもドーピングの力を使っていたのだ。もはやダメだろうと思われた自転車競技に復帰して大活躍するとは何ともありきたりなスポーツ映画かと思いきや、本作では自転車チームと医療団が組織ぐるみでドラッグの力を得ているスポーツ業界の裏側を描いている。

 それにしてもランス・アームストロングは、なぜそこまで勝ち続けることにこだわったのか。実は彼は賞金を癌患者の施設に寄付していたのだ。とてつもなく悪い奴かと思いきや、善人としての心も持っている。この辺りはなかなかの人間ドラマを見せてくれる。スポーツ選手として最低だと思うが、そんな人間でも善の心は持っている。スポーツとヒューマンドラマが合体したような映画。単なるスポコン映画を見飽きた人にはぜひお勧めしたい疑惑のチャンピオンを今回はお勧めに挙げておこう!

 

 監督はスティーヴン・フリアーズ。本当はもっと評価されても良い映画監督。何度も映画化されているピエール・ショデルロ・ド・ラクロの小説を原作とした危険な関係、家族ぐるみの詐欺師たちの皮肉な運命を描いたグリフターズ/詐欺師たち、本当の英英雄とは何かを問いかける靴をなくした天使、そして不法移民の過酷さを描いた堕天使のパスポート等お勧め多数です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              映画 野いちご

 すっかり2か月間もブログを放置。くだらない映画ばかり観てしまいブログの記事にするまでもなかった、と言うのは嘘。ちょっと体調不良で映画も観れなかったというのが本当のところ。これからはブログの記事の頻度を上げていきます。

 さて、復帰第一弾が日本でも人気が高い世界的巨匠イングマール・ベルイマン監督の映画野いちご。この監督は観客の視点に立った映画を撮るというよりも、自分の想いを吐露したような作品ばかりなので好みは分かれそうだが、俺は彼の映画から人生の厳しさを教えられた。

 その中でも今回紹介する野いちごは、まさに自分の人生を振り返り、幸せな生き方を考えさせられる映画である。

 

 それでは誰にしも訪れてくる老いに対する苦悩を描いたストーリーの紹介を。

 今や78歳になった医学の老教授であるイサク(ヴィクトル・シェストレム)は、それまでの輝かしい功績を認められてルンド大学から名誉博士の授賞式が明日に控えていた。

 尊敬を集めるイサクだったが、家族からは彼のエゴイストな性格を嫌われていた。受賞式に車で出かけることにしたイサクは息子の嫁であるマリアンヌ(イングリッド・チューリン)を横に乗せて出かける。しかし、到着までにイサクは今までの行いを反省させられるかのような悪夢を見ることになり・・・!

 

 授賞式の前日で起きる前に見る夢の中で死に対する恐怖のようなことを体験する。人生において栄誉を受けても死からは誰しも免れることはできない。そして車の休憩中やマリアンヌに運転を代わってもらってから眠ってしまった時の夢。これが遠い昔の経験が出てきて、決してこの人物が決して品行方正であり、それほど褒められるような人物ではなかったことがわかる。

 栄誉ある受賞式の前に、彼には今までの人生において後悔させられることが多かったことがわかる。そして、息子夫婦も上手くいっていないし、そもそもとっくに死んでいる妻との間でイサクも色々と問題を抱えていたのだ。ベルイマン監督らしいと感じられるのが家族の崩壊という点にも触れているところ。こういう映画を観てしまうと結婚する気がなくなりそうになりそうだ。

 そして、彼らが行く途中で一緒に乗せていくことになる男性二人と女性一人の若者三人組。なんだか素っ頓狂な登場人物たちが出てきたと思ったりしたが、老いと若さの比較がされていることも非常に興味深いところだ。

 人生とは他人から見れば成功者に見えても、案外色々な苦悩を抱えているとしたもの。栄光と挫折なんて本当に表裏一体だということが本作を観れば理解できる。逆に考えれば俺みたいな人生失敗だらけの人間でも小さな幸福を感じることもあったりする。

 人生の有り方を考えることが好きな人に今回は映画野いちごをお勧めに挙げておこう!

 

 監督は前述した世界的巨匠のイングマール・ベルイマン。難解というか家族、宗教、人生をテーマにした映画が多い。他では処女の泉秋のソナタ第七の封印鏡の中にある如く、そして彼には珍しいコメディの夏の夜は三たび微笑むが個人的にはお勧め!

 

 

       映画 天国と地獄


 
 戦後の焼け野原同然だった日本が奇跡的な高度経済成長を成し遂げるが、経済発展する国にとって付きまとう問題が格差社会。経済発展している国は国民全員が大金持ち、なんて有り得るわけが無く、そこには当然のごとく勝ち組みと負け組みが存在する。それはまさに高度経済成長期における日本も同様だ。ちなみに俺は残念ながら負け組だが、カネは無くとも心は裕福でありたい。

 それでは戦後の日本高度成長期を背景にした骨太のサスペンスのストーリーの紹介を。

 次期社長候補である権藤(三船敏郎)の元に電話が入る。息子を誘拐したので身代金3,000万円を用意しろという内容だが息子は家にいる。犯人は間違って権藤の息子ではなく、彼の運転手の息子を誘拐してしまったのだ。少しばかりオッチョコチョイな犯人かと思いきや、そこから抜群の知能犯らしさを見せ付ける。身代金を払わなければ、運転手の子供の命が無いぞと脅迫される。

 次の株主総会において株を買い占めて社長の座に就くために用意していた5,000万円のうちの3,000万円を犯人に渡すかどうか迷っていた権藤だったが、犯人の要求を聞き入れることは彼の会社内においての失脚を意味することでもあった。しかし、犯人の要求を聞き入れなければ、運転手の息子の命が危ない。
 苦渋の選択で権藤は犯人の要求に応えるために3,000万円を支払うことにするが、犯人は意外な方法で金の引渡し方法を命令してくる。なかなか正体を見せない犯人に対して警察も振り回されるのだが・・・ビックリマーク

 出世欲に邁進する権藤や、会社の重役連中の話を聞いていると資本家の傲慢さが非常に腹が立つ。しかし、この映画で俺が興味が惹かれるのが金持ちと貧乏人の格差。

 権藤の家は高台に建てられており、誘拐犯は夏も冷房が効かない貧乏部屋から権藤の家を仰ぐように見ている。高台が天国ならば、貧乏人が集まっているボロ家は地獄を表現しているようだ。

 結構意外な方法で3,000万円の受け渡しがされており、かなりの見所。しかし、ここからの警察の執念が凄い。全てを失った権藤のために恐るべき執念を警察が見せるのだが、単なる誘拐罪で捕まえるぐらいでは刑が軽いので、犯人を泳がして殺人罪にまで持っていて死刑に追い込もうとする。誘拐罪を殺人罪にして刑罰を重くしようと警察が実行するこの描写に賛否両論があるかもしれない。

 しかし、警察の非常に丹念な捜査は良く出来ている。ヤマ勘を頼りに犯人を探し出すのではなく、地道な捜査による犯人探しが好感が持てる。

 原作はエド・マクベインの『キングの身代金』だが、脚本が黒澤明を中心に四人で書かれている。行き過ぎに思えるような警察の捜査に黒澤明監督の社会悪に対する怒りが充分に表現されているのは興味深いし、刑事や権藤、そして犯人の必死さが伝わってくるサスペンス感は相当な出来栄え。そして、本作は撮影の邪魔になる実際の家をぶっ壊したり等といったエピソードにも事欠かない作品。その辺は各自で調べてもらおう。

 日本にもこんな骨太で楽しいサスペンス映画があるんだ、ということで今回は映画天国と地獄をお勧めとしておこうビックリマーク

 

 監督は前述したように黒澤明。日本が世界に誇る映画監督であり、彼が世界の映画作家に与えた影響は計り知れない。ちなみに本作はスパイク・リー監督がリメイクしています。

 お勧めは多数あり、時代劇に多くの傑作を遺したが、現代劇を描いた作品から選ぶと生きる悪い奴ほどよく眠る野良犬等がお勧めビックリマーク

 

 


 

 


 




 
 

 
 
 
 

 

      映画 愛のメモリー

 サスペンス映画の神様と呼ばれるアルフレッド・ヒッチコック監督。その継承者とよく言われるのが、ブライアン・デ・パルマ監督だ。俺に言わせれば継承していると言うよりも、むしろ色々とヒッチコック監督の作品の小ネタをパクっている。しかし、パクっていると言ってもそれは決して悪いことではない。むしろヒッチコックに対する敬愛の強さがブライアン・デ・パルマ監督の映像意欲を駆り立てていると言えるだろう。その中でもヒッチコック監督の作品をモロに影響を受けているのが今回紹介する映画愛のメモリー。ストーリー展開、小道具の使い方などヒッチコック作品のネタが散見されている。

 

 音楽も数々のヒッチコック作品を手掛けたバーナード・ハーマンを起用するというヒッチコック愛が徹底しているストーリーの紹介を。

 1959年、ニューオリンズにおいて。土地開発を仕事にしている実業家のマイケル(クリフ・ロバートソン)の結婚10周年記念が行われていた。しかし、その夜のこと妻のエリザベス(ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド)と娘のエイミーを誘拐されてしまい、犯人から身代金として50万ドルを要求されてしまう。

 愛する妻子を取り返すために警察と相談して策戦を練って実行するが、追い詰めようとした犯人と妻子を乗せた車が橋から転落して爆破してしまう。

 16年の時を経て、まだ亡くなった妻子のことを忘れられないでいたマイケルは商談のために共同経営者で友人のロバート(ジョン・リスゴー)とイタリアのフィレンツェに向かった。実はその場所は妻のエリザベスと出会った思い出の場所でもあったのだ。そして、マイケルはエリザベスと瓜二つの姿をしたサンドラと出会うことになるのだが・・・ビックリマーク

 

 愛していた亡き妻とソックリの女性を見掛けて、早速ナンパ。そして結婚するまでにこぎつけるのだが、何と16年前と同様にまたもや新妻も誘拐され、しかもあの時と同じように身代金を要求されてしまう。そして16年間という時は密接に繋がっていたことを観ている我々は思い知ることになる。

 ネタバレ厳禁のタイプの映画のためにストーリー内容の説明はこれぐらいにしておくが、非常に上手くできたサスペンス映画。よくブライアン・デ・パルマ監督は小手先のテクニックに走り過ぎて、内容がスカスカの時があるがこれは見応え充分。少しばかり神秘性を感じられるのが良いし、ラストへ向けてのアイデアは抜群に上手い。

 そして、ヒッチコック作品を多く観ている人ならば、彼の映画の色々なシーンを思い出されることだろう。

 ヒッチコック作品を観たことが無い人でも楽しめるし、ブライアン・デ・パルマ監督の映像テクニックを感じたい人には今回は愛のメモリーをお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督は前述した通り、ブライアン・デ・パルマ。アル・パチーノ主演のギャング映画スカーフェイス、豪華キャストによるアンタッチャブル、これまたアル・パチーノ主演のカリートの道、スティーヴ・キング原作のキャリー、古典的な題材を取り入れたミュージカル風サスペンスのファントム・オブ・パラダイス、本作と同様にヒッチコックへの敬愛を感じさせる作品として殺しのドレスボディ・ダブルがお勧めビックリマーク

 

 

 

 

 

       映画 マーティ

 超イケメンでナンパ成功率100パーセントの俺と正反対の男が主人公の映画が今回紹介するマーティ。男女を問わず、自分が不細工だと自覚してしまっている人が見ると希望が溢れてくる内容だ。しかしながら、そんな俺でもなぜか50歳を過ぎているのに独身。自分でもなぜ結婚できないのかまるでわからない。

 

 すっかり容姿に自信を持てなくなってしまっている男は果たして恋愛を成就させることができるのか、簡単にストーリーの紹介を。

 精肉店で働いているマーティ(アーネスト・ボーグナイン)は34歳で独身。弟や妹たちは結婚しているのだが、彼は不細工で小太りの容姿が祟って結婚できずにいた。そんな彼を悩ますのが二人暮らしをしている母親テレサ(エスター・ミンチオッティ)やその周囲から次々投げかけられる『あんたも早く結婚しろ』という言葉。とにかく振られまくっているマーティにとっては、その言葉はかえって自らのコンプレックスを助長してしまうのだ。

 ある日のこと、彼は母や友人に誘われてダンスホールに行く。そのダンスホールでも誰からも相手にされなかったのだが、独りぼっちで泣いているクララ(ベッツィ・ブレア)に話しかける。マーティとクララは話し合っている内にお互いに意気投合。しかしながら、母親のテレサやマーティの友人達は大して美人でもないクララと付き合うことに反対し、約束していたデートもすっぽかそうとするのだが・・・ビックリマーク

 

 主役の醜男を演じるアーネスト・ボーグナインだが、実際に顔は不細工な方で太り気味。容姿だけを見ると女性の立場だと付き合うのはためらわれるだろう。そして彼には女性に振られまくっているだけでなく、精肉店で働いていることについても負い目を感じている。本作はこのように職業差別についてもさりげなく追及している。

 一方、女性のクララだが29歳という設定。こちらも見た目はそれほどパッとせずに地味な印象。男から声を掛けられるようなタイプではない。

 しかし、男女の恋愛関係なんて見た目だけでは決まらないもの。ましてや結婚までいくとなると、お互いに相手のことを尊重することが大切になってくる。この2人の関係を見ていて、何だか俺自身が反省することが多々あるような気がしてきた。

 本作はイタリア系アメリカ人、カトリックといった人種、宗教についても恋愛の障害になり得ることもさり気なく描いている。この当たりはアメリカという国の側面を描いているように見える。

 自分の容姿に自信が持てない人、本当の恋愛を学びたい人、恋愛関係から障害を乗り越えられずに発展できないカップルに今回はマーティをお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督はデルバート・マン。ハッキリ言って全く知らない人です。

 主演のアーネスト・ボーグナインは二枚目とは程遠いが、逆にその風貌を活かして数多くの傑作に出演。お勧めを挙げると地上(ここ)より永遠にワイルドバンチポセイドン・アドベンチャー飛べ!フェニックス北国の帝王がお勧めビックリマーク

 

 

 

 

   

       映画 放浪記

 名前ぐらいは聞いたことがある女性小説家林芙美子原作であり、彼女の代表作でもある放浪記。同名タイトルの小説の映画化作品を今回は紹介する。

 森光子さんの舞台やテレビでも有名だが、林芙美子さんの自伝的小説だ。俺みたいな平凡な人生を送っている人間が自伝的小説を書いても、非常につまらない内容のものしか生まれないが、彼女の人生は波乱万丈。波乱万丈の人生を送ったからと言って、面白い小説が書けるとは思わないが、彼女の屈辱の人生は放浪記という傑作を生みだし、創作意欲を掻き立てたことは間違いない。

 

 昭和初期の雰囲気も感じさせるストーリーの紹介を。

 林芙美子高峰秀子)は母親のきし(田中絹代)と行商をして暮らしているが、東京も不景気の真っ最中で物は売れず貧乏暮らしを強いられていた。そんな母娘に隣室の安岡(加東大介)は憐れみと芙美子へのほのかな想いから、金や物の無心をしていた。

 しかし、かつての男を忘れられない芙美子は安岡の想いに応えられずにおり、あらゆる職業を転々としながら、趣味で書いていた詩が文学界の人間の目に留まるようになってきたのだが、いかんせん男運が悪く・・・ビックリマーク

 

 実際はどうか知らないが、芙美子はイケメン好き。しかしながら彼が付き合う男はロクでも無い奴ばかり。芙美子は父親のことも嫌っており、母親のきしとも口論が絶えず、母とも別れて独り暮らしをする。そんな寂しさを振り切るように、イケメンの男を頼っては、暴力を振るわれる様子が切ない。

 しかし、芙美子が凄いのが逆境に遭っても強さを失わないこと。昔も今も女性はメンタルが強い。

 正直なところ暗いストーリー展開なので観ていて気持ち良くならないが、売れっ子小説家になっての最後のシーンが素晴らしい。林芙美子さんの信念を思い知らされる素晴らしいシーンが最後に見ることができる。自分が不幸だからといって、他人の力を当てにするのではなくて、自ら努力する姿勢が大切だ。

 そして、高峰秀子さんだが振り切った演技を見せてくれる。最近は日本の古い映画を観ることが多いのだが、意図せず彼女が出演している映画を多く見る。凄い女優なんだと本作を観て改めて思う。森光子さんの舞台劇しか知らない人、既に原作を読んでいる人、またはまだ読んでいない人。逆境に立ち向かう強い女性を見たい人に今回は放浪記をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督は成瀬巳喜男。名匠であり林芙美子さんの原作を多く映画化しています。その中でもめし浮雲はお勧めビックリマーク

 

      映画 ジャッジ 裁かれる判事

 先日、ゴッドファーザー地獄の黙示録で知られる名優ロバート・デュヴァルが95歳でお亡くなりになられた。主に脇役で使われることが多かったが、その中でも彼の晩年に当たる作品であるジャッジ 裁かれる判事を今回は紹介しよう。

 ハリウッドのお家芸である法廷サスペンスでありながら、そのテーマは多岐に渡っている。人が人を裁くことの難しさ、家族の在り方、金儲けに邁進する弁護士等々。特に父と息子のドラマの描かれ方に感動を覚える内容だ。

 

 長年いがみ合ってきたきた親子は果たして仲良くなれるのか、それとも心が通じ合わないまま終わるのか、ストーリーの紹介を。

 金儲けのためならダーティーの手法を使ってでも勝ち取る弁護士ハンク(ロバート・ダウニー・Jr)だったが、母親の死去の知らせを聞いて故郷へ帰ってくる。

 ハンクの父親であるジョセフ(ロバート・デュヴァル)は裁判官の判事を40年間以上も務めていたのだが、2人の間にはあることを切っ掛けに埋めがたい亀裂が走っていた。

 兄のグレン(ヴィンセント・ドノフリオ)や知的障害を患っている弟のデイル(ジェレミー・ストロング)との距離は縮まるが、父親のジョゼフとは和解がならずに帰ろうとするのだが、帰りの飛行機の中でジョゼフがひき逃げの殺人容疑者になったことを知らされる。

 あれほど判事として真面目に生きてきたジョセフが法を犯すはずがないと思っていたのだが、出てくる証拠はジョセフに不利が目立つような物ばかり出てくるのだが・・・ビックリマーク

 

 地元の判事として罪を裁いてきた堅物の父親が法律を犯して人殺しをする。そんなことは信じられない息子である不良の弁護士のハンク。ハンクは父親の弁護をするようになるが、まるで性格が合わない2人の呼吸は合わず、ジョセフはピンチに陥る。しかし、ジョセフには秘密にしていることがあった。

 父親の秘密をばらして、陪審員たちの同情を引こうとしたい弁護士の息子。そんなことで自分の名誉を傷つけられることを避けたい判事である父親。何とかして無罪を勝ち取りたいハンクにとって重しになっている葛藤がサスペンスを盛り上げる。

 勿論、ジョセフが故意に人殺しに及んだのかどうかという点に惹きつけられるが、長年の積もり積もった親子は和解できるのかどうか?この二つの軸によって展開するストーリーが素晴らしい。そして、少しばかりの笑いもあったり、感動させる場面もあったりで堅苦しいだけの内容だけでないのも評価できる。

 さて、肝心のロバート・デュヴァルだが流石は名優といった貫録を見せる。時には強面の姿を見せるかと思えば、泣き叫ぶシーンもある。この当たりのさじ加減は抜群だ。

 前述したようにテーマは多岐に渡っており、そして綺麗な田舎の風景を見ることができる。ヴェラ・ファミーガビリー・ボブ・ソーントンといった豪華な脇役陣に対するキャラクター付けも深みがある。薄っぺらいサスペンス映画と違って、裁判の結末は勿論のことだが、観終えた後も余韻が残る。よって今回は単なる法廷サスペンスに終わらないジャッジ  裁かれる判事をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督はデヴィッド・ドブキン。知らない監督さんですが逆にお勧め作品を教えて欲しいです。

 ロバート・デュヴァルのお勧め作品は多数ありますが、アーノルド・シュワルツェネッガーが一人二役をこなすアクション映画シックス・デイ、テレビの視聴率に取りつかれる重役を演じるネットワーク、ロバート・デ・ニーロを相手に一歩も引かない演技を見せる告白、その他にもお勧め作品多数ですビックリマーク

 

 

 

 

 

 

 

       映画 おちゃ

 最近はお茶漬けを食べてないのだが、特別に食べたいとは思わないが、質素で美味しいことぐらいは理解している。そんなお茶漬けを理想の夫婦の例えとして描いた映画が今回紹介するお茶漬けの味。性格がまるで正反対の夫婦。夫は質素な生活を好み、妻はド派手に遊びたい放題の様子が前半では描かれる。また、妻の夫に対する不満や悪口をぶつける様子も出てくる。しかし、腹の立つこともあるはずだが、常に冷静な夫の姿に昭和の男を見る気がした。

 

 久しぶりにお茶漬けを食べたくなるストーリーの紹介を。

 茂吉(佐分利信)は地方出身で派手なことを好まない質素なサラリーマン。一方、その妻の妙子(木暮実千代)は裕福な家庭に育ち、友達と温泉や野球観戦に行ったりしている。しかし、妙子は夫の茂吉の地味さに嫌気がさしている。

 ところがある日のこと、妙子が神戸の親友の所へ遊びに行っている間に、急なことに茂吉の海外への赴任が決まってしまう。茂吉は慌てて電報で海外への異動のことを知らせようとするのだが、妙子はそのことにきづかないまま。茂吉が海外へ行く日の飛行場でも妙子は現れずにいたのだが・・・ビックリマーク

 

 俺も素朴な生活をたしなんでいる方なので茂吉の気持ちはよくわかる。こんな遊びまわっているような妙子みたいな女性が嫁さんならば、俺ならば早々に離婚しているところ。しかし、この茂吉という男は非常に冷静な男で腹を立てるところがない。普段は嫁の妙子にボロカス言われているが、そんなことに対しても腹を立てないし、嫁さんの遊び好きな生活に対しても広い度量を持っている。

 しかしだ、最後には夫婦の良さを見せつける場面は感動的。派手さは無いがお茶漬けのような味にこそ夫婦のより良い関係を感じられる。俺は常から文句ばかり並べ立てているが、それは男らしくない。これからは、茂吉のような穏やかな気持ちを持つようにしようと決心した。

 倦怠期を迎えてしまった夫婦、ド派手な生活を好んでいる夫婦等に今回はお茶漬けの味をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督は小津安二郎。常に昭和の日本の家族を描いてきた世界的名監督。日本のみならず世界的名作の誉れ高い東京物語。そして笠智衆と原節子の名コンビが魅せる晩春がお勧めビックリマーク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       
 親子関係と言えば血が繋がっているものとしたもの。しかし、よく考えたら子供が自分と血が繋がっていない養子の場合もある。血が繋がっていようが、繋がっていまいが大して愛情の大きさは変わらないだろう。そんなことを考えさせてくれる映画が今回紹介する映画アフター・ウェディング。そして、貧しい慈善活動家が傲慢な金持ちに振り回されるストーリーが楽しい映画だ。

 家族とは何かを問いただすようなストーリーの紹介を。
 インドの孤児院で長年働くデンマーク人のヤコブ(マッツ・ミケルセン)だが、既に経営難でニッチもサッチもいかない状態に陥っている。このままでは孤児院は潰れざるを得なく、多くの孤児が路頭に迷うことになりそうだ。
 しかし、ある日のこと、祖国デンマークから匿名で大金の寄付のオファーがやって来る。ヤコブは、これは超ラッキーと思わず手を叩いて喜ぶ、はずが無い。
 彼は何か裏があると思いながらも、渋々インドの孤児院を離れ、デンマークのコペンハーゲンへ向かう。そこで大会社を経営するヨルゲン(ロルフ・ラッセゴード)に出会う。しかしながら、ヨルゲンはまだヤコブに寄付をすることを決めていないどころか、週末のヨルゲンの娘の結婚式に無理矢理参加させられるのだが、ヤコブは式場で有り得ない人物と再会してしまう・・・ビックリマーク

 ヤコブにとって孤児院の子供達は養子ではないが、まるで家族のような存在だ。決して血は繋がっていないが、その固い絆は映画を観ればわかる。孤児院の経営難で悩みながらも、案外ヤコブにとって孤児院の生活は彼にとっては心が安らげる場所。そんな平和な暮らしも傲慢な大金持ちのためにもろくも崩れてしまうが、次々と厄介な出来事がヤコブに降り掛ってくる展開が、観る者を決して飽きさせない。
 その厄介な出来事は決して一緒にやって来るのではなく、一つが解決したと思ったら『ハイ!次はこれ』という感じで、まるで小ネタを次から次へと出してくるような感じで、ずっと引きつけられっ放し。おまけに女の子がチョッと可愛いから、余計にひきつけられる。
 そして謎の行動を仕掛ける金持ちの親父ヨルゲンだが、傲慢な人間かと思っていたら、とんでもない悩みを抱えていたことがわかってくる。世の中、金で解決できない問題があることがわかる。

 そして、ヤコブが最後に取った選択の是非は果たして。インドに残してきた養子のような存在の孤児との会話から、人間とは人が良すぎたら、それだけ試練を与えられてしまうってことか。
 そして、演出的には登場人物達の瞳や唇を映し出す映像が多いのが特徴だ。そこにはまるで人間の心の奥底をえぐり出すような意図を感じるのだが、これが効果抜群。こういうシーンを見ると、この映画が決して生半可な気持ちで観るような生ぬるい作品では無いことがよくわかる。家族の形態って色々あるけれど、家族の絆を感じることができるアフター・ウェディングをお勧めです。

 監督はデンマーク人の女性監督スザンネ・ビア。女性ならではの視点と、逆に女性らしくない?力強いメッセージ性を感じる作風は個人的には非常に気に入っている監督。
 お勧めはかなりハードな恋愛映画で本作と同じくマッツ・ミケルセン主演のしあわせな孤独、ベニチオ・デル・トロ、ハル・バリー競演の悲しみが乾くまで、戦争でズタボロになった家族を描いたある愛の風景等がお勧めですビックリマーク