
戦後の焼け野原同然だった日本が奇跡的な高度経済成長を成し遂げるが、経済発展する国にとって付きまとう問題が格差社会。経済発展している国は国民全員が大金持ち、なんて有り得るわけが無く、そこには当然のごとく勝ち組みと負け組みが存在する。それはまさに高度経済成長期における日本も同様だ。ちなみに俺は残念ながら負け組だが、カネは無くとも心は裕福でありたい。
それでは戦後の日本高度成長期を背景にした骨太のサスペンスのストーリーの紹介を。
次期社長候補である権藤(三船敏郎)の元に電話が入る。息子を誘拐したので身代金3,000万円を用意しろという内容だが息子は家にいる。犯人は間違って権藤の息子ではなく、彼の運転手の息子を誘拐してしまったのだ。少しばかりオッチョコチョイな犯人かと思いきや、そこから抜群の知能犯らしさを見せ付ける。身代金を払わなければ、運転手の子供の命が無いぞと脅迫される。
次の株主総会において株を買い占めて社長の座に就くために用意していた5,000万円のうちの3,000万円を犯人に渡すかどうか迷っていた権藤だったが、犯人の要求を聞き入れることは彼の会社内においての失脚を意味することでもあった。しかし、犯人の要求を聞き入れなければ、運転手の息子の命が危ない。
苦渋の選択で権藤は犯人の要求に応えるために3,000万円を支払うことにするが、犯人は意外な方法で金の引渡し方法を命令してくる。なかなか正体を見せない犯人に対して警察も振り回されるのだが・・・![]()
出世欲に邁進する権藤や、会社の重役連中の話を聞いていると資本家の傲慢さが非常に腹が立つ。しかし、この映画で俺が興味が惹かれるのが金持ちと貧乏人の格差。
権藤の家は高台に建てられており、誘拐犯は夏も冷房が効かない貧乏部屋から権藤の家を仰ぐように見ている。高台が天国ならば、貧乏人が集まっているボロ家は地獄を表現しているようだ。
結構意外な方法で3,000万円の受け渡しがされており、かなりの見所。しかし、ここからの警察の執念が凄い。全てを失った権藤のために恐るべき執念を警察が見せるのだが、単なる誘拐罪で捕まえるぐらいでは刑が軽いので、犯人を泳がして殺人罪にまで持っていて死刑に追い込もうとする。誘拐罪を殺人罪にして刑罰を重くしようと警察が実行するこの描写に賛否両論があるかもしれない。
しかし、警察の非常に丹念な捜査は良く出来ている。ヤマ勘を頼りに犯人を探し出すのではなく、地道な捜査による犯人探しが好感が持てる。
原作はエド・マクベインの『キングの身代金』だが、脚本が黒澤明を中心に四人で書かれている。行き過ぎに思えるような警察の捜査に黒澤明監督の社会悪に対する怒りが充分に表現されているのは興味深いし、刑事や権藤、そして犯人の必死さが伝わってくるサスペンス感は相当な出来栄え。そして、本作は撮影の邪魔になる実際の家をぶっ壊したり等といったエピソードにも事欠かない作品。その辺は各自で調べてもらおう。
日本にもこんな骨太で楽しいサスペンス映画があるんだ、ということで今回は映画天国と地獄をお勧めとしておこう![]()
監督は前述したように黒澤明。日本が世界に誇る映画監督であり、彼が世界の映画作家に与えた影響は計り知れない。ちなみに本作はスパイク・リー監督がリメイクしています。
お勧めは多数あり、時代劇に多くの傑作を遺したが、現代劇を描いた作品から選ぶと生きる、悪い奴ほどよく眠る、野良犬等がお勧め![]()








