褒めまくる映画伝道師のブログ

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気に入った映画を紹介して褒めまくることがコンセプトです。
素晴らしい映画を将来のために伝えたい想いで紹介します。

                 映画 ミッドナイトクロス

 今やすっかり年齢的にも巨匠の存在になったブライアン・デ・パルマ監督。作品の出来栄えに大きな波のある監督として知られているが、今回紹介するミッドナイトクロスは彼が最も脂ののった時期の作品なだけに、これはかなりの出来栄えだ。この監督の特徴として映像テクニックやヒッチコック監督に対するオマージュ等挙げられるが、本作にはそれらの要素が一杯ある。

 そして、ヒッチコック監督には品があるが、ブライアン・デ・パルマ監督にはバイオレンスやオッパイがたくさん出てきたりで少々品がないのも特徴。今回の作品もオッパイがたくさん出てくる。

 

 それでは主人公がとんでもない陰謀に巻き込まれるストーリーの紹介を。

 アメリカはフィラデルフィアが舞台。インデペンデンス映画会社で働く効果マンのジャック(ジョン・トラヴォルタ)は夜に映画で使う風の音を撮るために外に出て仕事をしていたのだが、その最中に車が川の中に飛び込むところへ遭遇してしまう。慌てて川の中に飛び込み、助けようとするのだが女性のサリー(ナンシー・アレン)を助けだすことには成功するが、同乗していた男性を助けだすことは出来なかった。

 ところがジャックが病院に連れていかれると、非常に騒がしいうえに、ある人物からこの事に対しては口外してはならないと半ば脅される。そのことを不思議に感じたジャックは再度録音テープを聴いていると、そこには車が川に落ちる寸前で銃声の音が入っていた。何かこの事故には裏があると感じたジャックは独自で調査を調べるが、とんでもない陰謀に巻き込まれてしまい・・・!

 

 たまたま目撃してしまった事故によって、とんでもない陰謀に巻き込まれている。まさにヒッチコック監督の映画の作品のパターンを踏襲している。ジャックとサリーはとんでもないことが切欠で知り合いになるのだが、彼らの周りに非常に怪しい人物が付き纏ってくる。特にサリーを狙うのがサイコパス的な殺人鬼パーク(ジョン・リスゴー)。こいつの存在のお陰でサスペンスが盛り上がる。

 他にも偶然事故を目撃している奴が出てきたりで、ちょっと複雑な様子を帯びてくるが、それにしても最後のエンディングが俺には辛かった。映画の小道具が巧みに使われており録音テープの使い方なんかは感心したが、俺にはミケランジェロ・アントニオーニ監督の欲望に似ていたので、やっぱりブライアン・デ・パルマはパクリが上手いじゃなくて、ネタ探しが非常に巧みだと思わさせられた。そうは言っても退屈せずにサスペンス映画であり、映像テクニックなんかはデ・パルマ節が炸裂している作品。個人的にはブライアン・デ・パルマ監督作品の中では、面白い部類に入る方の作品。今回は面白くて、切ない気分になる作品としてミッドナイトクロスをお勧めに挙げておこう!

 

 監督は前述したようにブライアン・デ・パルマ。サスペンス映画の名手なのか評価は分かれるが個人的には評価している監督でお勧め多数。アンタッチャブルスカーフェイス、他に有名どころではキャリーが有名。ヒッチコックを思わせる作品として異色ミュージカル仕立てにしたファントム・オブ・パラダイス、抜群の演出力を見せる愛のメモリー殺しのドレスボディ・ダブル、そしてカリートの道がお勧めです!

 

 

 

 

 

 

                 映画 わたしは、だに

 世界的な傾向だと思うが、経済格差がますます広がってしまい、弱者の困窮が目立っている。本来ならばそのような弱者を福祉によって助けられるべきだと思うが、残念ながら弱者の立場の人にすれば文句の一つや二つ出てきそうな社会になっている。

 しかも、わが市には「国民が政治に頼りすぎ」なんてことを言っている議員がいるが、そんなことを堂々と言ってのける者が議員になるんだから世も末に近い。頑張っても頑張っても報われない人がいる。そんなド底辺で暮らす人こそ手厚い福祉を受けるべきはずなのだが、なぜかこの国は金持ちのために福祉があるような気になるのは俺だけか。

 

 さて、イギリスって本当にこんな貧しい人を更に苦しめるような複雑怪奇な制度が存在するのかと思わせるストーリーの紹介を。

 舞台はイギリスのニューカッスル。老齢を迎えつつあったダニエル(デイヴ・ジョーンズ)は長年大工をしていたのだが、心臓麻痺に遭ってしまいドクターストップが掛かってしまう。

 仕方なく失業給付金をもらおうと役所に行くのだが、複雑怪奇なシステムと頭の固い役人のせいで就労不可の認可がおりないことになってしまう。ニッチモサッチモ行かなくなったダニエルは、子供二人を抱えたシングルマザーと出会う。福祉から見捨てられたかのような生活をしていた二人はお互いに協力し合うことになるのだが・・・!

 

 俺が笑ってしまったのが、ダニエルは心臓麻痺で仕事ができない状態なのに、役所から失業保険をもらうために履歴書を持って就職活動をさせられる件。しかも、たまたま就職合格の通知を受けてしまうが、ドクターストップが掛かっているために渋々断る場面。こんな無駄なことをやらせる役所の連中の仕事ぶりはどうだ。本当は笑ってはいけない場面だ。

 ちなみにダニエルとて長年大工として働いてきた経験から一生懸命に生きてきた自負がある。心の底から福祉に頼り切りになろうと思っていない。しかし、彼は手厚い福祉を受ける権利があるはずなのに、まるで人間ではなく犬のような扱いを受けてしまっている。人間としての尊厳が彼にはあるのだが、そんなプライドをズタボロにイギリスの福祉はしてしまう。

 また、シングルマザーの貧困さにも涙が出てきそうだ。この若きシングルマザーにしても決して福祉にずっとぶら下がろうと思っていない。しかし、子供のことを想う気持ちが彼女を悪い方へと向かわせる。ちょっとした手違いで福祉を受けられない、いや受けさそうとしない役所の人間の融通の利かなさ。本作のような映画を役所に勤める人間ならば10回以上見るべき映画であろう。また政治家も本作を見て、この世の中頑張っても報われない人がいることを知るべきだ。貧しい人に保護がいかずに政治家が私腹を肥やしている現実が日本でも起こっている。あ~本当に腹が立ってきた。

 本作から10年経った今、果たして現在はどうなのか。奈落の底に突き落とされる人間が増え続けているのではないのか。しかし、役所の人間に腹が立つと同時に、貧しい者同士が協力して生きていくことの大切さも本作から知ることができる。役所批判しているだけの浅い映画ではない。さすがはパルムドール賞に輝く作品だけのことはある。いつもノー天気なアクション映画やサスペンス映画を観るのも楽しいとしたものだが、このような社会派映画も観ることによって世界で起きている問題がわかるということで、今回はわたしは、ダニエル・ブレイクをお勧め映画に挙げておこう!

 

 監督は社会派映画のケン・ローチ。引退宣言したのだが、現実の世界に怒りを感じて本作で復帰を果たした。それほど彼の映画を観ているわけではないが、SWEET SIXTEEN麦の穂を揺らす風この自由な世界で等はお勧めです!

 

 

               映画 ギャルソン! 

 今回紹介する映画ギャルソン!だが、タイトルの意味はフランス語でウェイターを意味する。この主人公を演じるのがイヴ・モンタン。すでに年を食ってしまっているのだが、ダンディなギャルソンぶりを見せる。本作でもギャルソンという仕事を馬鹿にするようなシーンが出てきたりするが、彼が演じるギャルソンはテキパキと仕事をこなし格好いい。仕事のできる男は格好良いという見本を本作では見せつけるのだが、その一方で彼の老いを感じさせる場面もあり、笑いとほろ苦さの両方を感じさせる作品だ。

 

 それでは、恋愛、友情、老いといったテーマを軽いタッチで描いたストーリーの紹介をしよう。

 すでに離婚して20年になるアレックス(イヴ・モンタン)だが、大流行のレストランで給仕のチーフとして働くギャルソン(ウェイター)だ。彼は独り暮らしのはずだと思いきや離婚問題で話がこじれている同僚で不器用な友達であるジルベール(ジャック・ヴィルレ)を居候させている。

 しかし、アレックスには海辺に遊園地を造るという夢を持っており、その資金稼ぎのためにギャルソンとして働いている側面もあった。ある日のこと、昔の彼女であったクレール(ニコール・ガルシア)を見かけ、そして再び胸が熱くなる。しかし、彼女はすでに結婚しており離婚するつもりだと聞いて、アレックスはクレールと付き合おうとするのだが、彼女から別に好きな男が居る時かされてショックを受ける。

 しかも、海辺に公園を造る夢も資金が10万フランの大金を要することになってしまい、何かと悩みが尽きないアレックスだったが・・・!

 

 ギャルソンの姿やテキパキと動く姿が非常に格好いいイヴ・モンタン。そんな彼はやっぱり女性にモテモテ。しかし、彼の同僚であるジルベールは不器用でドジってばかりいるが、そんな彼とも固い友情で結ばれている。まさにできる男の見本をイヴ・モンタンから教えられる。しかし、やはり老いの欠点が出てくる。クレールと引っ付くことができるかと思いきや、やはり迫りくる老いは若さにはかなわない。笑えたりするが、切なさも感じさせるシーンも出てくるあたりはフランス映画らしさを彷彿させる。

 それと文化の違いか、日本のレストランは静かな印象があるが、本作の舞台である大流行のレストランはやかましい。厨房でも怒鳴り声が響いている。俺みたいな静を好む人間にはまるで合わない場所だと感じさせられた。

 決してド派手なシーンはないが、恋愛、友情、仕事をする姿などエスプリの効いたセンスはフランス映画らしさを感じさせる。ちょっと洒落た映画ギャルソン!を今回はお勧め映画に挙げておこう!

 

 監督はクロード・ソーテ。名前はよく聞くが彼の作品は本作しか見ていません。僕の好きな女優エマニュエル・べアールが出演している愛を弾く女は近日中に観たいです!

 

                映画 彼岸花

 世界的に名匠として知られる小津安二郎監督による初のカラー作品が今回紹介する彼岸花。彼らしく家族について描かれているが、今回は娘を持つ親の苦悩が描かれている。しかしながら決して重い内容では無く軽いタッチで描かれていて、俺が見た小津安二郎作品の中では最も笑えた。特に戦後の昭和の親父の頑固さが、上手く描かれていて、現代のお父さんと大きく異なることに気づかされ、笑える。

 

 娘に結婚を前提とした男が居たことに、我を失ってしまう親父を描いたストーリーの紹介を。

 平山(佐分利信)は友人の河合(中村伸郎)の娘の結婚式に参加し、スピーチを求められる。そこで「我々の時は見合い結婚でしたが、最近はお互いに好きな者同士が結婚して良い時代になった」等とユーモアを交えてスピーチする。

 平山には娘が2人いるのだが、長女節子(有馬稲子)のお見合い話の件でも動いていた。そんな平山の前に突如スーパーイケメンの谷口(佐田啓二)が現れる。彼の口から「節子さんを僕にください」と結婚を前提として今まで付き合っていたことを知らされる。平山は自分も妻の清子(田中絹代)も知らないところで節子が男と付き合っていたことに、怒りが沸々と湧いてきて・・・!

 

 本作は平山家以外にも娘のことで悩んでいる親が出てくる。娘が恋愛していることに親たちは悩むのだ。この時代は娘をいかに立派な家に嫁がせることに、今見ると笑えるぐらいに、こだわっていたことを知ることができる。

 特に平山という親父の頑固さと矛盾している言動が笑わせる。この男が娘の節子が谷口と結婚することに反対するのが尋常ではない異常さをみせるのだが、このあたりの描き方が昭和の親父過ぎて笑えた。

 俺には経験がないのだが、娘を持つ親にとって大きな悩みが子離れ。これは現代にも通じるテーマだが、それとこの映画が描かれる時代の男性、女性の価値観の変化も今となれば興味深く見れる映画だろう。

 そして出演者では平山の親戚で娘の幸子(山本富士子)のお見合いに奔走する佐々木初(浪花千栄子)も大いに笑わせてくれた。

 相変わらず家族をテーマとした映画を撮り続ける小津安二郎監督のコメディタッチの作品として今回は映画彼岸花を特に娘を持つ父親にお勧めしておこう!

               映画 疑惑のチャンピオン

 

 世界一過酷な自転車競技であるツール・ド・フランスで7年連続総合優勝を果たしたランス・アームストロングの伝記映画が今回紹介する疑惑のチャンピオン。七年連続優勝って凄すぎるだろうと誰もが思う。しかし、そんな栄光の裏で大きな影があった。

 この世の中、世界選手権やオリンピックの時はスポーツが大流行。純粋に選手たちが自らの努力と精神力をぶつけ合った争いを観たいと思うのだが、本作を観てしまった今では俺から見れば人間離れした記録もやっぱり裏があるよね、なんて感想を持ってしまった。

 

 それではランス・アームストロングの栄光と挫折を描いたストーリーの紹介を。

 自転車競技で活躍するアメリカ人であるランス・アームストロングベン・フォスター)は、25歳の若さで精巣ガンに侵され脳にも転移していた。命を取りとめたランスだったが、もはや自転車競技に復帰できないだろうと思われていた。

 しかし、彼は不屈の精神で復帰し、ツール・ド・フランスを7年連続優勝を果たし、人々から大きな称賛をけるが、唯一人彼の強さに疑問を抱いたジャーナリストであるデヴィッド・ウォルシュ(クリス・オダウド)が何か裏があると調べ始める・・・!

 

 スポーツ界を激震させたのがドーピング。実はアーム・ストロングもドーピングの力を使っていたのだ。もはやダメだろうと思われた自転車競技に復帰して大活躍するとは何ともありきたりなスポーツ映画かと思いきや、本作では自転車チームと医療団が組織ぐるみでドラッグの力を得ているスポーツ業界の裏側を描いている。

 それにしてもランス・アームストロングは、なぜそこまで勝ち続けることにこだわったのか。実は彼は賞金を癌患者の施設に寄付していたのだ。とてつもなく悪い奴かと思いきや、善人としての心も持っている。この辺りはなかなかの人間ドラマを見せてくれる。スポーツ選手として最低だと思うが、そんな人間でも善の心は持っている。スポーツとヒューマンドラマが合体したような映画。単なるスポコン映画を見飽きた人にはぜひお勧めしたい疑惑のチャンピオンを今回はお勧めに挙げておこう!

 

 監督はスティーヴン・フリアーズ。本当はもっと評価されても良い映画監督。何度も映画化されているピエール・ショデルロ・ド・ラクロの小説を原作とした危険な関係、家族ぐるみの詐欺師たちの皮肉な運命を描いたグリフターズ/詐欺師たち、本当の英英雄とは何かを問いかける靴をなくした天使、そして不法移民の過酷さを描いた堕天使のパスポート等お勧め多数です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              映画 野いちご

 すっかり2か月間もブログを放置。くだらない映画ばかり観てしまいブログの記事にするまでもなかった、と言うのは嘘。ちょっと体調不良で映画も観れなかったというのが本当のところ。これからはブログの記事の頻度を上げていきます。

 さて、復帰第一弾が日本でも人気が高い世界的巨匠イングマール・ベルイマン監督の映画野いちご。この監督は観客の視点に立った映画を撮るというよりも、自分の想いを吐露したような作品ばかりなので好みは分かれそうだが、俺は彼の映画から人生の厳しさを教えられた。

 その中でも今回紹介する野いちごは、まさに自分の人生を振り返り、幸せな生き方を考えさせられる映画である。

 

 それでは誰にしも訪れてくる老いに対する苦悩を描いたストーリーの紹介を。

 今や78歳になった医学の老教授であるイサク(ヴィクトル・シェストレム)は、それまでの輝かしい功績を認められてルンド大学から名誉博士の授賞式が明日に控えていた。

 尊敬を集めるイサクだったが、家族からは彼のエゴイストな性格を嫌われていた。受賞式に車で出かけることにしたイサクは息子の嫁であるマリアンヌ(イングリッド・チューリン)を横に乗せて出かける。しかし、到着までにイサクは今までの行いを反省させられるかのような悪夢を見ることになり・・・!

 

 授賞式の前日で起きる前に見る夢の中で死に対する恐怖のようなことを体験する。人生において栄誉を受けても死からは誰しも免れることはできない。そして車の休憩中やマリアンヌに運転を代わってもらってから眠ってしまった時の夢。これが遠い昔の経験が出てきて、決してこの人物が決して品行方正であり、それほど褒められるような人物ではなかったことがわかる。

 栄誉ある受賞式の前に、彼には今までの人生において後悔させられることが多かったことがわかる。そして、息子夫婦も上手くいっていないし、そもそもとっくに死んでいる妻との間でイサクも色々と問題を抱えていたのだ。ベルイマン監督らしいと感じられるのが家族の崩壊という点にも触れているところ。こういう映画を観てしまうと結婚する気がなくなりそうになりそうだ。

 そして、彼らが行く途中で一緒に乗せていくことになる男性二人と女性一人の若者三人組。なんだか素っ頓狂な登場人物たちが出てきたと思ったりしたが、老いと若さの比較がされていることも非常に興味深いところだ。

 人生とは他人から見れば成功者に見えても、案外色々な苦悩を抱えているとしたもの。栄光と挫折なんて本当に表裏一体だということが本作を観れば理解できる。逆に考えれば俺みたいな人生失敗だらけの人間でも小さな幸福を感じることもあったりする。

 人生の有り方を考えることが好きな人に今回は映画野いちごをお勧めに挙げておこう!

 

 監督は前述した世界的巨匠のイングマール・ベルイマン。難解というか家族、宗教、人生をテーマにした映画が多い。他では処女の泉秋のソナタ第七の封印鏡の中にある如く、そして彼には珍しいコメディの夏の夜は三たび微笑むが個人的にはお勧め!

 

 

       映画 天国と地獄


 
 戦後の焼け野原同然だった日本が奇跡的な高度経済成長を成し遂げるが、経済発展する国にとって付きまとう問題が格差社会。経済発展している国は国民全員が大金持ち、なんて有り得るわけが無く、そこには当然のごとく勝ち組みと負け組みが存在する。それはまさに高度経済成長期における日本も同様だ。ちなみに俺は残念ながら負け組だが、カネは無くとも心は裕福でありたい。

 それでは戦後の日本高度成長期を背景にした骨太のサスペンスのストーリーの紹介を。

 次期社長候補である権藤(三船敏郎)の元に電話が入る。息子を誘拐したので身代金3,000万円を用意しろという内容だが息子は家にいる。犯人は間違って権藤の息子ではなく、彼の運転手の息子を誘拐してしまったのだ。少しばかりオッチョコチョイな犯人かと思いきや、そこから抜群の知能犯らしさを見せ付ける。身代金を払わなければ、運転手の子供の命が無いぞと脅迫される。

 次の株主総会において株を買い占めて社長の座に就くために用意していた5,000万円のうちの3,000万円を犯人に渡すかどうか迷っていた権藤だったが、犯人の要求を聞き入れることは彼の会社内においての失脚を意味することでもあった。しかし、犯人の要求を聞き入れなければ、運転手の息子の命が危ない。
 苦渋の選択で権藤は犯人の要求に応えるために3,000万円を支払うことにするが、犯人は意外な方法で金の引渡し方法を命令してくる。なかなか正体を見せない犯人に対して警察も振り回されるのだが・・・ビックリマーク

 出世欲に邁進する権藤や、会社の重役連中の話を聞いていると資本家の傲慢さが非常に腹が立つ。しかし、この映画で俺が興味が惹かれるのが金持ちと貧乏人の格差。

 権藤の家は高台に建てられており、誘拐犯は夏も冷房が効かない貧乏部屋から権藤の家を仰ぐように見ている。高台が天国ならば、貧乏人が集まっているボロ家は地獄を表現しているようだ。

 結構意外な方法で3,000万円の受け渡しがされており、かなりの見所。しかし、ここからの警察の執念が凄い。全てを失った権藤のために恐るべき執念を警察が見せるのだが、単なる誘拐罪で捕まえるぐらいでは刑が軽いので、犯人を泳がして殺人罪にまで持っていて死刑に追い込もうとする。誘拐罪を殺人罪にして刑罰を重くしようと警察が実行するこの描写に賛否両論があるかもしれない。

 しかし、警察の非常に丹念な捜査は良く出来ている。ヤマ勘を頼りに犯人を探し出すのではなく、地道な捜査による犯人探しが好感が持てる。

 原作はエド・マクベインの『キングの身代金』だが、脚本が黒澤明を中心に四人で書かれている。行き過ぎに思えるような警察の捜査に黒澤明監督の社会悪に対する怒りが充分に表現されているのは興味深いし、刑事や権藤、そして犯人の必死さが伝わってくるサスペンス感は相当な出来栄え。そして、本作は撮影の邪魔になる実際の家をぶっ壊したり等といったエピソードにも事欠かない作品。その辺は各自で調べてもらおう。

 日本にもこんな骨太で楽しいサスペンス映画があるんだ、ということで今回は映画天国と地獄をお勧めとしておこうビックリマーク

 

 監督は前述したように黒澤明。日本が世界に誇る映画監督であり、彼が世界の映画作家に与えた影響は計り知れない。ちなみに本作はスパイク・リー監督がリメイクしています。

 お勧めは多数あり、時代劇に多くの傑作を遺したが、現代劇を描いた作品から選ぶと生きる悪い奴ほどよく眠る野良犬等がお勧めビックリマーク

 

 


 

 


 




 
 

 
 
 
 

 

      映画 愛のメモリー

 サスペンス映画の神様と呼ばれるアルフレッド・ヒッチコック監督。その継承者とよく言われるのが、ブライアン・デ・パルマ監督だ。俺に言わせれば継承していると言うよりも、むしろ色々とヒッチコック監督の作品の小ネタをパクっている。しかし、パクっていると言ってもそれは決して悪いことではない。むしろヒッチコックに対する敬愛の強さがブライアン・デ・パルマ監督の映像意欲を駆り立てていると言えるだろう。その中でもヒッチコック監督の作品をモロに影響を受けているのが今回紹介する映画愛のメモリー。ストーリー展開、小道具の使い方などヒッチコック作品のネタが散見されている。

 

 音楽も数々のヒッチコック作品を手掛けたバーナード・ハーマンを起用するというヒッチコック愛が徹底しているストーリーの紹介を。

 1959年、ニューオリンズにおいて。土地開発を仕事にしている実業家のマイケル(クリフ・ロバートソン)の結婚10周年記念が行われていた。しかし、その夜のこと妻のエリザベス(ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド)と娘のエイミーを誘拐されてしまい、犯人から身代金として50万ドルを要求されてしまう。

 愛する妻子を取り返すために警察と相談して策戦を練って実行するが、追い詰めようとした犯人と妻子を乗せた車が橋から転落して爆破してしまう。

 16年の時を経て、まだ亡くなった妻子のことを忘れられないでいたマイケルは商談のために共同経営者で友人のロバート(ジョン・リスゴー)とイタリアのフィレンツェに向かった。実はその場所は妻のエリザベスと出会った思い出の場所でもあったのだ。そして、マイケルはエリザベスと瓜二つの姿をしたサンドラと出会うことになるのだが・・・ビックリマーク

 

 愛していた亡き妻とソックリの女性を見掛けて、早速ナンパ。そして結婚するまでにこぎつけるのだが、何と16年前と同様にまたもや新妻も誘拐され、しかもあの時と同じように身代金を要求されてしまう。そして16年間という時は密接に繋がっていたことを観ている我々は思い知ることになる。

 ネタバレ厳禁のタイプの映画のためにストーリー内容の説明はこれぐらいにしておくが、非常に上手くできたサスペンス映画。よくブライアン・デ・パルマ監督は小手先のテクニックに走り過ぎて、内容がスカスカの時があるがこれは見応え充分。少しばかり神秘性を感じられるのが良いし、ラストへ向けてのアイデアは抜群に上手い。

 そして、ヒッチコック作品を多く観ている人ならば、彼の映画の色々なシーンを思い出されることだろう。

 ヒッチコック作品を観たことが無い人でも楽しめるし、ブライアン・デ・パルマ監督の映像テクニックを感じたい人には今回は愛のメモリーをお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督は前述した通り、ブライアン・デ・パルマ。アル・パチーノ主演のギャング映画スカーフェイス、豪華キャストによるアンタッチャブル、これまたアル・パチーノ主演のカリートの道、スティーヴ・キング原作のキャリー、古典的な題材を取り入れたミュージカル風サスペンスのファントム・オブ・パラダイス、本作と同様にヒッチコックへの敬愛を感じさせる作品として殺しのドレスボディ・ダブルがお勧めビックリマーク

 

 

 

 

 

       映画 マーティ

 超イケメンでナンパ成功率100パーセントの俺と正反対の男が主人公の映画が今回紹介するマーティ。男女を問わず、自分が不細工だと自覚してしまっている人が見ると希望が溢れてくる内容だ。しかしながら、そんな俺でもなぜか50歳を過ぎているのに独身。自分でもなぜ結婚できないのかまるでわからない。

 

 すっかり容姿に自信を持てなくなってしまっている男は果たして恋愛を成就させることができるのか、簡単にストーリーの紹介を。

 精肉店で働いているマーティ(アーネスト・ボーグナイン)は34歳で独身。弟や妹たちは結婚しているのだが、彼は不細工で小太りの容姿が祟って結婚できずにいた。そんな彼を悩ますのが二人暮らしをしている母親テレサ(エスター・ミンチオッティ)やその周囲から次々投げかけられる『あんたも早く結婚しろ』という言葉。とにかく振られまくっているマーティにとっては、その言葉はかえって自らのコンプレックスを助長してしまうのだ。

 ある日のこと、彼は母や友人に誘われてダンスホールに行く。そのダンスホールでも誰からも相手にされなかったのだが、独りぼっちで泣いているクララ(ベッツィ・ブレア)に話しかける。マーティとクララは話し合っている内にお互いに意気投合。しかしながら、母親のテレサやマーティの友人達は大して美人でもないクララと付き合うことに反対し、約束していたデートもすっぽかそうとするのだが・・・ビックリマーク

 

 主役の醜男を演じるアーネスト・ボーグナインだが、実際に顔は不細工な方で太り気味。容姿だけを見ると女性の立場だと付き合うのはためらわれるだろう。そして彼には女性に振られまくっているだけでなく、精肉店で働いていることについても負い目を感じている。本作はこのように職業差別についてもさりげなく追及している。

 一方、女性のクララだが29歳という設定。こちらも見た目はそれほどパッとせずに地味な印象。男から声を掛けられるようなタイプではない。

 しかし、男女の恋愛関係なんて見た目だけでは決まらないもの。ましてや結婚までいくとなると、お互いに相手のことを尊重することが大切になってくる。この2人の関係を見ていて、何だか俺自身が反省することが多々あるような気がしてきた。

 本作はイタリア系アメリカ人、カトリックといった人種、宗教についても恋愛の障害になり得ることもさり気なく描いている。この当たりはアメリカという国の側面を描いているように見える。

 自分の容姿に自信が持てない人、本当の恋愛を学びたい人、恋愛関係から障害を乗り越えられずに発展できないカップルに今回はマーティをお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督はデルバート・マン。ハッキリ言って全く知らない人です。

 主演のアーネスト・ボーグナインは二枚目とは程遠いが、逆にその風貌を活かして数多くの傑作に出演。お勧めを挙げると地上(ここ)より永遠にワイルドバンチポセイドン・アドベンチャー飛べ!フェニックス北国の帝王がお勧めビックリマーク

 

 

 

 

   

       映画 放浪記

 名前ぐらいは聞いたことがある女性小説家林芙美子原作であり、彼女の代表作でもある放浪記。同名タイトルの小説の映画化作品を今回は紹介する。

 森光子さんの舞台やテレビでも有名だが、林芙美子さんの自伝的小説だ。俺みたいな平凡な人生を送っている人間が自伝的小説を書いても、非常につまらない内容のものしか生まれないが、彼女の人生は波乱万丈。波乱万丈の人生を送ったからと言って、面白い小説が書けるとは思わないが、彼女の屈辱の人生は放浪記という傑作を生みだし、創作意欲を掻き立てたことは間違いない。

 

 昭和初期の雰囲気も感じさせるストーリーの紹介を。

 林芙美子高峰秀子)は母親のきし(田中絹代)と行商をして暮らしているが、東京も不景気の真っ最中で物は売れず貧乏暮らしを強いられていた。そんな母娘に隣室の安岡(加東大介)は憐れみと芙美子へのほのかな想いから、金や物の無心をしていた。

 しかし、かつての男を忘れられない芙美子は安岡の想いに応えられずにおり、あらゆる職業を転々としながら、趣味で書いていた詩が文学界の人間の目に留まるようになってきたのだが、いかんせん男運が悪く・・・ビックリマーク

 

 実際はどうか知らないが、芙美子はイケメン好き。しかしながら彼が付き合う男はロクでも無い奴ばかり。芙美子は父親のことも嫌っており、母親のきしとも口論が絶えず、母とも別れて独り暮らしをする。そんな寂しさを振り切るように、イケメンの男を頼っては、暴力を振るわれる様子が切ない。

 しかし、芙美子が凄いのが逆境に遭っても強さを失わないこと。昔も今も女性はメンタルが強い。

 正直なところ暗いストーリー展開なので観ていて気持ち良くならないが、売れっ子小説家になっての最後のシーンが素晴らしい。林芙美子さんの信念を思い知らされる素晴らしいシーンが最後に見ることができる。自分が不幸だからといって、他人の力を当てにするのではなくて、自ら努力する姿勢が大切だ。

 そして、高峰秀子さんだが振り切った演技を見せてくれる。最近は日本の古い映画を観ることが多いのだが、意図せず彼女が出演している映画を多く見る。凄い女優なんだと本作を観て改めて思う。森光子さんの舞台劇しか知らない人、既に原作を読んでいる人、またはまだ読んでいない人。逆境に立ち向かう強い女性を見たい人に今回は放浪記をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督は成瀬巳喜男。名匠であり林芙美子さんの原作を多く映画化しています。その中でもめし浮雲はお勧めビックリマーク