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褒めまくる映画伝道師のブログ

気に入った映画を紹介して褒めまくることがコンセプトです。
素晴らしい映画を将来のために伝えたい想いで紹介します。

        映画 ガス燈

 あの名女優イングリッド・バーグマン主演の映画が今回紹介するガス燈。と書いてみたものの今の人に彼女の名前を出しても知らない人が殆どだろう。その美貌は今までのハリウッド女優の中でも群を抜き、また本作ではその鍛えられた演技力をいかんなく発揮している。

 ちなみに本作は古い作品のサスペンスであるのだが、今観ても多くの人が面白いと思うはず。イングリッド・バーグマン演じる主人公が精神的に追い込まれていく展開が抜群に面白く、次の展開が非常に読みにくい。もちろんそこら中にあるような途中でアッサリ結末が想像できてしまうような他のサスペンス映画とは出来栄えが違う。

 

 それでは早速だがストーリーの紹介を。

 ロンドンのソートン街において。名歌手であるアリス・アルクィストが何者かに殺され、未解決のまま。その姪であるポーラ(イングリッド・バーグマン)は悲しみにくれ、他人の勧めもありイタリアに渡り声楽のレッスンを受ける。

 しかし、その頃作曲家のグレゴリー(シャルル・ポワイエ)と恋に落ち、歌手への道を諦め彼と結婚する。グレゴリーがロンドンで暮らしたがっている希望を叶えるために、2人はポーラにとっては忌まわしい叔母が殺された家で夫婦生活を送ることになる。

 しかし、その家で暮らし始めてからポーラは夫のグレゴリーから物忘れが激しくなっただの、僕の時計を盗んだだのいちゃもんをつけられてるようになり、しかも部屋のガス燈までもなぜか消えそうになったり点いたりするなど奇妙な現象が身の回りに起こりだす。次第に彼女は不安に苛まれて精神的に追い詰められていくのだが・・・ビックリマーク

 

 グレゴリーから、飾られていた絵画が無くなっているだの、大事にしていたブローチを無くしてしまったのかなど、何かと身に覚えのないことでいちゃもんを付けられてしまうポーラ。あれほど愛し合って結婚した2人だったのだが、度重なるポーラの物忘れの酷さや、盗み癖が顕著になってくるにつれて、それを責めるグレゴリーのドエスっぷりが凄い。

 雇っているメイド連中もポーラのことを嫌っているように見えるし、ポーラの周りでも怪奇現象に近いことが起きる。さて、本当にポーラは精神的におかしくなってしまったのか?

 味方のいないポーラに、更に彼女の叔母のファンだったというブライアン(ジョゼフ・コットン)と言う怪しそうな奴まで現れるのだが、最後の落としどころは抜群に上手い。ラストシーンでの鬼気迫るイングリッド・バーグマンの名演技は見せ場充分。

 ドエスっぷりを見せながらもダンディさを漂わせるシャルル・ポワイエも流石の貫録を見せる。他の脇役陣も健闘しているし、そして何かと小道具の使い方が巧みな作品だ。

 モノクロ映像は映えるし、次々と興味惹かれる展開が続く映画ガス燈を今回はお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督はジョージ・キューカー。結構多くの有名な作品を監督していますが、本作以外に観たことがありません。お勧めがあったら逆に教えて欲しいですビックリマーク

 

 

 

 

 

 

 


       映画 バーバー

 コーエン兄弟監督作品の特徴として、ちょっとした出来事が思わぬ大事に発展してしまうストーリー展開が挙げられるだろう。特に今回紹介する映画バーバーは、そんな彼らの特徴がよく出ている作品だと言える。ちなみに邦題のバーバーとは主人公の男が理容師であることから、このようなダサい邦題が付けられたと思うが、原題はThe Man Who Wasn't There。直訳すると『存在しない男』ぐらいの意味になる。

 ちなみにこの主人公をビリー・ボブ・ソーントンが演じるが、非常に口数が少なく、まるで人生を達観して見ているような印象があり、喜怒哀楽を表に見せない。ハードボイルド小説の探偵みたいな男なのだが、それを平凡すぎる理容師にしている。この主人公の設定が非常に効いてくる展開が味わい深い作品になっている。

 

 毎日を理容師として単調に暮らしていた男が、欲に目がくらんだストーリーの紹介を。

 義理の兄の散髪屋で働く無口のエド(ビリー・ボブ・ソーントン)だが、毎日を淡々と仕事をこなし、趣味も無ければ何の楽しみも持っていなかった。

 ある日のこと妻のドリス(フランシス・マクドーマンド)が働いているデパートの上司であるデイヴ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)と浮気をしていることに気付く。

 エドはたまたまお客として来ていた起業家のクレイトン(ジョン・ポリト)から、ドライクリーニングの店を立ち上げるから、それに出資しないかと持ち掛けられる。

 ついついその話に乗ってしまったエドは、匿名でデイヴがドリスと浮気をしているのを脅迫して、資金の一万ドルをせしめることに成功するのだが、そのことを切っ掛けに思わぬ殺人事件が起きてしまい・・・ビックリマーク

 

 コーエン兄弟監督の特徴を前述したが、エドの脅迫が成功したかと思ったら、何と困り果てたデイヴは匿名の人物をクレイトンだと勘違いし、クレイトンを殺害してしまう。

 そして、その時にデイヴはドリスと不倫していることをエドにバレていたことを知ってしまい、デイヴに呼び出されたエドは暴力を振るわれるが、咄嗟にエドはデイヴからもらった小刀でデイヴを刺し殺してしまう。

 そして、デイヴ殺しの容疑者として挙がったのが、何と妻のドリス。この展開も凄いが、更に予測不能の展開が起きる。

 映像がモノクロでもあり、どこか1940年代のハリウッドで流行った犯罪映画のムードが漂う。実際の時代設定も1940年代の後半のようだ。そして、ファムファタール的な役目を果たすのが、まだ少女時代のスカーレット・ヨハンソンというのも今思うと適役過ぎる。

 ただの根暗で単調な毎日を過ごすことに慣れていたのに、降ってわいたチャンスに踊らされてしまう主人公。こういう男の方が甘い誘惑に囚われやすいのは現実の世界でもあること。俺も誘惑には流され安い性格だから気を付けないといけないとヤバいと改めて感じた。

 けっこう凄いことが起きているのに全体的にはオフビートな作品。そのギャップが本作の魅力と言える。真面目なストーリーの中にも少しばかりギャグも放り込んでくるコーエン兄弟監督の傑作として今回はバーバーをお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 前述したように監督はコーエン兄弟。長編デビュー作品となるブラッド・シンプル、黒澤明監督の用心棒を思わせるようなギャング映画の傑作ミラーズ・クロッシング、コーエン流のサスペンスが見れるファーゴ、強烈なキャラクターが集合したようなビッグ・リボウスキ、ゆるゆるの脱獄映画オー・ブラザー!、バビエル・バルデムが強烈な悪役を演じるノー・カントリー等、お勧めがたくさんですビックリマーク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       穴

 ちなみに本作の脚本には本物の殺人犯であるジョゼ・ジョヴァンニが加わり、出演者には本物の脱獄犯が出演しているという、本物志向にこだわった脱獄映画が今回紹介する。脱獄をテーマにした映画なんか昔から腐るほどあるが、ハリウッドが撮る脱獄映画となると大脱走を始めとして賑やかな印象があるが、本作のようなフランス製脱獄映画となると非常に細部にこだわったシーンが見れる。しかも、本作はジョゼ・ジョヴァンニの経験による実話が基になっており、他の脱獄映画に見られるような、お遊びのないストイックさが本作品の持ち味である。

 

 1947年に起きた脱獄事件を背景にしたストーリーの紹介を。

 四人の重罪人が収監されている部屋に若い男であるガスパル(マーク・ミシェル)が別の棟から移されてくる。この四人は脱獄計画を練っていたのだが、迷いながらもガスパルを仲間に加える。それからは看守たちの目を盗みつつ、どんどん穴を掘っていくのだが・・・ビックリマーク

 

 ウィットに富んだ会話なんかはまるでないが、その代わりにコンクリートを叩き割る音、鉄格子をヤスリで切る音、そして看守の靴音が響き、緊張感を高める。

 そして、印象的なのが歯ブラシの柄に鏡の破片を付けて、ドアの小さい穴から周囲を見渡すことができるようにしている小道具が印象的。他にも薬の瓶を使った砂時計も印象的であり、本作は道具の使い方や見せ方が巧みである。

 特に四人の脱獄囚の中でロランを演じるジャン・ケロディが印象的。この人は本物の脱獄囚であり、本作においても冒頭で脱獄囚であることを告白するシーンがある。流石に脱獄馴れしているせいか、手先は器用で、冷静沈着にして行動力が抜群。この能力をもっと違うことに活かせよ、とツッコミたくなる。

 時代的に刑務所もハイテク設備を使ってないし、脱獄囚たちもひたすらコンクリートに穴を開けるのに体力を使いまくり。だからこそ妙な緊張感が生まれ、映像に惹きつけられる。そして脱獄をテーマにした作品の中では群を抜く面白さを誇る。果たして、この五人は脱獄に成功することができるのか、否か?アッと驚くような結末はインパクトは充分。

 リアルな脱獄映画を観たい人、スリルを求めている人、演出のテクニックを感じたい人等に今回はをお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督はジャック・ベッケル。本作が遺作になってしまったが、個人的に好きな作品が多い。ジェラール・フィリップ主演で画家モディリアーニを描いたモンパルナスの灯、男の生き様を垣間見れる肉体の冠、ジャン・ギャバン主演のギャング映画の現金に手を出すなはお勧めビックリマーク

 

 

 

 

 

 

 

      ダイヤルMをまわ

 同名タイトルの舞台を映画化したのが今回紹介するダイヤルMを廻せ!。今やダイヤル式の電話なんか殆ど見ないのだが、本作はそのダイヤル式の電話が重要な役割を果たす。

 舞台劇の映画ということもあり、広い空間は出てこないし、密室の中でのサスペンス映画。しかし、感心させられたのがカメラワーク。殆どがセットの中で繰り広げられるので、物の配置、人物の立ち位置、明かりまで計算しないといけないが、一切の狂いもない。まさにプロの仕事を見せてくれる映画。

 そして、クールビューティーのグレイス・ケリーの美しさが、衣裳からして感動的。正直なところ今まで、この人ほど綺麗な人を映画の中では勿論のこと実際にも観たことがない。

 

 タイトルのMはMURDER(殺人)の単語の頭文字にも掛けられているストーリーの紹介を。

 元テニスプレイヤーであり今はスポーツ用品店で働くトニー(レイ・ミランド)と資産家の妻マーゴ(グレイス・ケリー)との仲はすっかり冷えていて、マーゴは推理小説家のマーク(ロバート・カミングス)と浮気中。そのことを知っていたトニーはマーゴを殺害して彼女の資産を手に入れようと企む。

 トニーは昔の大学の先輩だが脛に傷を持っているスワン(アンソニー・ドーソン)を脅迫し、妻殺しをさせようとする。完璧な計画だったはずなのだが、スワンはマーゴの意外な抵抗に遭い偶発的に殺されてしまう。しかし、妻を陥れることに執念を見せるトニーは、マーゴがスワンを最初から殺害の意志を持っていたように仕向けていく・・・ビックリマーク

 

 トニーは、スワンに妻のマーゴを殺させようとして失敗してしまうが、そこで諦めないのが本作の面白さ。そこで妻のマーゴをスワン殺しの殺人犯にさせようとするのが面白い展開。一時はその作戦が上手くいきマーゴは裁判で死刑にまでなってしまうのだ。この裁判の結果に導かれる過程が手抜き過ぎるが、この辺りは流石はアルフレッド・ヒッチコック。盛り上げる所と手を抜く所のバランス感覚は、他の作品同様に本当に凄い。

 しかし、見ている我々はトニーが悪い奴だと最初から知っていながら観ているので、トニーの好い加減な言動や行動が笑える。そこを突いてくるのがハバート警部(ジョン・ウィリアムズ)。トニーを怪しいと思って最後に博打に出る場面が面白いし、ここはスリルを感じさせる。

 そして、実は褒められた奴ではないマーゴの浮気相手の推理小説家のマークも印象的なキャラクター。死刑になったマーゴを何とかして助けようと大して聞く気の無いトニーに向かって持論を展開するのだが、これが図星すぎて笑った。そりゃ~、マーゴが死刑が目前に迫っているのに傍観しているだけのトニーより、マークの方へ気持ちが傾いてしまうのもわかるって。

 他にも色々な小道具が巧みに活かされている。ハサミ、小さなカバン、そして家の鍵の使い方が面白い。この鍵の持ち主は誰だったかを抑えておかないと面白さが半減するとアドバイスしておこう。

 アルフレッド・ヒッチコック作品と聞いて心が躍る人、グレース・ケリーと聞いてわくわくする人、舞台劇のような映画が好きな人、演出のテクニックを感じたい人に今回はダイヤルMを廻せ!をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督はサスペンスの神様と呼ばれるアルフレッド・ヒッチコック。お勧め多数で名作も多いですが、個人的に最も好きなのが北北西に進路を取れ、他におおぼけ連発のハリーの災難、そして知りすぎていた男が個人的にはお勧めですビックリマーク

 

 

 

 

 

 

      て

 アメリカの黒人に対する人種偏見は日本人には理解できないぐらいの激しさを感じさせる時がある。手錠で繋がれた白人と黒人が一緒に逃亡せざるを得なくなる設定の映画が今回紹介する手錠のままの脱獄。何とも皮肉なシチュエーションだが、この場に及んでも憎しみ合い、喧嘩を繰り広げられながら、時には嫌々ながらも協力し合いながらの逃亡。その二人を私利私欲のために保安官が猛烈に追いかける。

 

 憎しみあう2人にどのような最期が待っているのか?それではストーリーの紹介を。

 囚人護送車がスリップを起こし転落。そのどさくさにまぎれて、手錠で繋がれた白人のジャクソン(トニー・カーティス)と黒人のカレン(シドニー・ポワティエ)が脱走。相手のことを憎み合いながらも協力し合わなければならない2人だったのだが、時には殺し合いに発展しそうな喧嘩も繰り広げてしまう。

 逃亡中に母子の2人暮らしの家にたどり着く。そこでハンマーを借り手錠を外すこと成功する2人だったのだが・・・ビックリマーク

 

 逃亡する2人を追いかける保安官(セオドア・ビケル)が興味深い台詞を吐く。『白人と黒人を手錠で繋げたって冗談だろ』『追いかけて見つけた頃には死んでるさ』等、白人と黒人が如何に対立しているかを思わせる台詞が出てくる。

 そして、逃亡する2人だがずっと憎しみ合っているが、少しばかり打ち解けたりする。この辺はバディムービーのド定番。しかし、俺が感心したのは2人のパワーバランスが崩れた時に真の友情が芽生えるシーン。鎖でつながれていた時は憎み合いながらも協力して助け合うことができたのだが、2人を繋いでいた鎖が切れたことで、それが幸ではなくて、不幸を助長してしまう展開になること。この当たりの演出は上手いと思わさせるし、最後の真の友情が生まれる場面は感動的。肌の色の違いを乗り越えるのに、これほどまでの厳しさを克服しないといけないのかと、アメリカの暗黒の歴史を痛感した。

 黒人に対する人種差別に興味のある人、熱い友情を描いた映画が好きな人等に今回は手錠のままの脱獄をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督はスタンリー・クレイマー。核戦争の恐怖を描いた渚にて、そして戦勝国が敗戦国を裁く難しさを感じさせるニュールンベルグ裁判がお勧めビックリマーク

 

 

 

 

      アラバマ物語

 アメリカでは非常に権威のあるピューリッツァー賞を受賞している小説To Kill a Mockingbird(ものまね鳥を殺すには)を原作とする映画化作品が今回紹介するアラバマ物語。ハッキリ言って邦題が全くいけてないのが残念。

 法廷映画としての側面もあるが、1930年代のアメリカ南部の実情を子供の視点から描き出した内容になっている。子供の純真な視点は大人の俺からみても怖い。自分自身が穢れた大人になっていることに怖気づいた。

 

 不景気の真っ最中の1930年代のアメリカ南部のアラバマを舞台にしたストーリーの紹介を。

 弁護士をしている父アティカス(グレゴリー・ペック)は奥さんを早々に亡くしているが、息子のジェム、その妹のスカウト、そして黒人の女中とフィンチ一家は暮らしている。そして夏休みになると隣の家にディルも加わり、ジェム、スカウト、ディルの子供たちは一緒に遊ぶ。そして、彼ら三人は滅多に姿を見せず、何だか恐ろしい存在であるブー(ロバート・デュヴァル)の家を冒険したりするのだ。

 そんなある日のこと、アティカスに仲の良い判事から、白人女性であるメイエラ・ユーエルに対する暴行事件により、黒人青年のトム・ロビンソン(コリン・ウィルコックス)の弁護を引き受けて欲しいと頼まれる。アティカスはその依頼を引き受けるのだが、そのことを切っ掛けに白人たちから嫌がらせを受ける・・・ビックリマーク

 

 アメリカ南部のアラバマと聞いただけで、これは黒人に対する人種偏見のストーリーだなと感じてしまう。黒人の弁護を頼まれたアティカスだが、非常に良識のある父親であり、お手伝いさんの黒人女性を対等に扱うなど、何とも好ましい人物として描いている。

 前半は三人の子供たちが、姿を見せない怪獣のようなブーと呼ばれる寂れた家を冒険するシーンが多くて、正直俺の心はだれていた。ブーも姿を見せないし、それほど見せ場の無い場面が続くな~と感じていたのだが、この伏線を最後には見事に回収して見せる展開には拍手しそうになったし、感動すら覚えさせた。そして、原題のTo Kill a Mockingbird(ものまね鳥を殺すには)の意味まで分かった。

 ストーリーは当然だが裁判の場面も出てくる。裁判の最後でアティカスが大演説をするのだが、これが素晴らしい内容。白人ばかりの陪審員に向かって演説するのだが何を言っていたのか思い出せないのが俺の記憶力の致命傷。しかし、なかなか心を震わせる内容だった。

 人種偏見の酷さ、1930年当時の不況による人間の心の貧しさ、集団心理の恐ろしさ、障害者、家族、嘘等色々な問題を提起してくれる作品。それらを子供のスカウトの目を通して描くという構成が非常に理解でき安い作品となっている。

 そして、主演のグレゴリー・ペックは本作の以前に紳士協定という作品にも出ているのだが、それと本作の両方を見ると、この俳優がいかにアメリカの良心や正義を体現してきたかというのがわかる。

 アティカスのような尊敬されるような人間になりたいと思っている人、純真な子供の心とは反対に汚れた大人の心をのぞいてみたい人、そして法廷映画が好きな人等に今回はアラバマ物語をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 

 

        武士の一分

 明けましておめでとうございます。今年も褒めるに値する映画は褒め、特にそうでも無い映画は有名作品でも載せないという方針を貫き通すつもりです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 新年一発目に紹介する映画として、やはり時代劇がお勧めだろうということで、今回は今でも国民的人気者である木村拓哉主演の映画武士の一分を紹介しよう。世間では山田洋次監督の藤沢周平原作によるたそがれ清兵衛隠し剣 鬼の爪、に続く時代劇三部作の最終章みたいな言われ方をしている。前二作では恐ろしく強い剣豪が登場するわけでもなく、市井に住む庶民の悲哀を中心に描き、時代劇に新機軸を打ち出した名匠山田洋次監督。今回は当時絶頂の人気を誇るキムタクを主演に起用してどのような映画を撮るのか興味が惹かれるところだ。

 

 盲目という難役を演じきれるのかどうか?ストーリーの紹介を。

 幕末の海坂藩において。毒見役を務めることになった三村新之丞(木村拓哉)は妻の加世(壇れい)、そして側用人として仕える徳平(笹野高史)と慎ましく平和に暮らしていた。

 しかし、ある日のこといつも通り毒見の役を終えた新之丞は直後に食あたりでぶっ倒れてしまう。高熱を出し、命の危険もあったのだが難とか峠は越すが、両目ともに見えなくなってしまっていた。

 目が見えなくては、もはやクズ同然だとやけっぱちになり自殺まで考えるが、妻の加世の熱い想いに打たれて生きていくことを決心する。

 しかし、目が見えない状態では今までの仕事もこなすことができずに、生活の困窮が目に見えていた。そんな時に加世の一族が集まり、今後の三村家の相談をするが、その時に加世は新之丞の上司にあたる島田藤弥(坂東三津五郎)と昔からの知り合いであり、彼から困ったことがあれば相談するようにと言われたことを思いだし、加世は島田を訪ねるのだが、島田の手籠めにされてしまう。

 そのことを知った新之丞は、加世と離縁。そして、目の見えないハンデを圧して島田に果たし状を申し込む・・・ビックリマーク

 

 卑怯過ぎる島田を討つために、盲目というハンデをかえりみずに戦うことを決意するキムタクこと新之丞。絶対的な不利の中でも武士の一分でもプライドが残っていれば戦いに挑む。これは胸が熱くなるし、なかなかの決闘シーンを見せてくれる。

 しかし、個人的に印象に残るのが新之丞が妻の加世の飯を幸せそうに食べる時や籠に飼っている小鳥のつがいの鳴き声を聞いている場面や何気ない一家のシーン。貧乏侍ではあるけれども、家族の幸せとは何かを思い出させる。

 騙されて汚された愛妻の復讐劇であり、何気ない家族映画であり、ハンデを背負った人間の悲しみを描いた映画であり、それでも人間は生き続けなければならないというメッセージを受け取れる。

 そして、今回はキムタクのスター性とカリスマを大きく感じさせた。確かに盲目という難役をこなしているが、本作に限っては彼の存在感は大きかった。他の脇役陣も緒形拳、桃井かおりなど個性的な面々が登場しているのだが、そういった脇役陣の使い方が前二作と比べると物足りない人も居るかもしれない。

 しかし、新年の正月の一発目に観る映画としては充分に観る価値があるし、是非とも武士の一分をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督は前述した通り山田洋次。彼の映画は先ほども述べたたそがれ清兵衛隠し剣 鬼の爪しか観ていませんが、他にも良い映画をたくさん撮っている監督さんです。ビックリマーク

       おおかみt

 事実は小説より奇なり。時々、そんな言葉を聞くことがあるが、今回紹介する映画狼たちの午後は事実を基にしていながら、本当かよ!と思わせるシーンが多く出てくる映画だ。

 銀行強盗を題材にしていながら、実はそれほどサスペンスやスリル感がない。むしろ、こんな事件があったんだと思いながら観るのが正しい観方だ。

 

 コメディ色はないが、どこか間の抜けた強盗犯を描いたストーリーの紹介を。

 真夏の暑い日に事件が起きる。ソニー(アル・パチーノ)、サル(ジョン・カザール)、そしてもう1人の男の3人組がニューヨークのブルックリンの銀行を襲う。

 しかし、もう1人の男はビビッてしまって途中で逃げ出してしまう。そして、金庫を調べると既に移された後で大した金はなく、しかも何時の間にやら直ぐに警官達に囲まれてしまった。

 結局ソニー、サルは人質たちと籠城することになってしまうのだがその結果は・・・ビックリマーク

 

 緊張感のない原因にド素人の犯行が理由に挙げられる。銀行強盗が始まって早々に1人が怖気づいて脱落するシーンなんか見たことがない。しかも、ド素人ぶりがバレて、人質から逆に『あなた達、本当に計画してやっての?』なんて説教される始末。最初から情けない強盗シーンから始まる。

 しかし、本作は銀行強盗だけでなく警察も情けない。ソニーなんかは人質を捕っていることに図に乗って、銀行から出てきて警官に強気に出てきたりする。それを見た多くの野次馬がソニーをヒーロー扱いしていたりする。そして、ソニーが奪った金をばら撒くとそれに群がる野次馬達。なかなか皮肉めいたシーンも登場する。

 そして、ソニーが銀行強盗を起こした理由も少しばかり笑えた。そのお陰でソニーの少しばかり恥ずかしい性癖もバレて人権問題にもつながっていく展開は上手い、って褒めてみたがそうでも無いっか。

 他にも人質の中に病人がいてソニーやサルの足を引っ張ったり、何時の間にやら強盗と人質の中に友情が芽生えたりするなどあり得ないシーンも出てくるが、そこは事実は小説よりも奇なり。世の中の仕組みって本当に難しいと考えさせられる。

 ハラハラドキドキ感を得たい人には向いてないかもしれないが、社会の縮図を考えさせられる点では見どころはある。そんな訳で今回は狼たちの午後をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 ちなみに原題は『Dog Day Afternoon』。邦題に出てくる狼は全くストーリーと関係がなく、Dog Dayは熟語で『夏の一番熱い時期』という意味です。

 

 監督は社会派の名監督であるシドニー・ルメット。劇映画デビュー作品でありながらいきなり後世に遺る名作を撮った十二人の怒れる男、核戦争の恐怖を描く未知への飛行、過去のトラウマに苦しむ男を描く質屋、猛烈な軍隊批判映画、本作と同じくアル・パチーノ主演の刑事映画セルピコ、テレビ業界の狂乱を描いたネットワーク等お勧め多数ですビックリマーク

       映画 コヴェナント/約束の救出

 反米テロ組織を壊滅させるためにアフガニスタンへ派遣されたアメリカ軍と武装組織ターリバーンやアルカイーダと争ったアフガニスタン紛争。20年にも及んだ戦いだが、結局のところ現在はターリバーンがアフガニスタンの政権を握っている。何をやっているんだアメリカは。

 アフガニスタンの人々の中には反ターリバンの人々もおり、彼らの中にはアメリカ軍に通訳等で協力する人もいた。そんな背景をテーマに描いたのが今回紹介するコヴェナント/約束の救出。もちろん戦闘シーンは出てくるが、それだけでなく人間同士の絆を描いているように深みのある戦争映画だ。

 

 アメリカ軍兵士と通訳者であるアフガニスタン人との友情を描いたストーリーの紹介を。

 アメリカ軍兵士であるジョン(ジェイク・ギレンホール)は争いに巻き込まれて通訳を失ってしまうが、新たに通訳として現地人のアーメッド(ダール・サリム)を、協力すればアメリカ行きのためにビザを支給することと引き換えに雇う。

 ジョン率いるチームはターリバーンの拠点を潰すために爆破工作を仕掛けようとするが、敵の情報に引っ掛かってしまい、逆にターリバンから猛反撃を喰らってしまいジョンとアーメッド以外は戦死してしまう。追いかけるターリバンから逃れようとするジョンとアーメッドは120キロ先のアメリカ軍基地へ逃れようとするが、道中でジョンは足を負傷し歩けなくなる。アーメッドは死力を振り絞って山岳地帯を手押し車にジョンを乗っけてたりして、アメリカ軍基地へ向かおうとする。

 ターリバーンに見つかってヤバくなりそうなところを運よくアメリカ軍がやって来て2人は助かる。ジョンは無事にアメリカへ帰国することができ、家族とともに再会を喜ぶが、命の恩人であるアーメッドにはビザが支給されておらずに、今もアフガニスタンでアメリカ軍に協力したことに怒っているターリバーンからの猛追跡を受けていることを知る。そしてジョンは命の恩人を救うため、そして約束を果たすために再びアフガニスタンへ向かうのだが・・・ビックリマーク

 

 アーメッドが負傷しているジョンを手押し車で120キロ先のアメリカ軍基地まで連れて行こうとする根性には感動する。ジョンにも家族がいるが、アーメッドにも妻とこれから生まれる子供がいたのだ。アーメッドは家族のためにビザを取ってアメリカへ渡ろうとする気持ちが半端ではない。

 一方、ジョンだがアメリカに帰ってから移民局や軍に連絡を掛けて、まだビザも支給されずにアフガニスタンに残されてしまっているアーメッドを助けるように掛け合うが、話は一向に進まないことに苛立ちを隠せない。そして、家族の反対を押し切り、命の恩人であり、約束で結ばれたアーメッドを助けるために再び危険なアフガニスタンに乗り込む。

 ジョンの行動こそ、男同士の約束の重さ、大事さを感じさせ見ていて俺の心は熱くなった。これぞ、男の責任感。女性には決して理解できない男同士の熱い友情を本作で見せてくれる。

 アフガニスタンの現状を知りたい人、戦争映画が好きな人、男同士の熱い友情を描いた映画が好きな人に今回はコヴェナント/約束の救出をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 

 監督はガイ・リッチーロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズは一押し。他にブラッド・ピットも出演しているスナッチ、そしてロックンローラーもお勧め、個人的にはそれほどでもないがシャーロック・ホームズも受ける人には受けるかビックリマーク

 

 

 

 

 

 

 

      映画 天使のくれた時間

 もうすぐクリスマス。皆さん、クリスマスの思い出って何かありますか?さて、ハリウッドにはクリスマスを背景にした名作はたくさんある。日本でクリスマスの日は恋人と過ごすとしたものだが、アメリカでは家族でクリスマスを過ごすことが幸せの証。家族の絆をクリスマスを通して描いた結果、名作が多く生まれた。

 アメリカ人のクリスマスに対する価値観から多くの事を学べる映画が今回紹介する天使のくれた時間。俺なんかは今年も1人寂しくクリスマスを過ごすのだが、そんな俺と同じようなクリスマスの大切な時間を持て余している人にはお勧めしたくなる映画だ。

 

 一目順風満帆の人生を送っているように見える男が、本当の幸せに気づいていないことを知らせてくれるストーリーの紹介を。

 空港において、ジャック(ニコラス・ケイジ)とその恋人のケイト(ティア・レオーニ)が飛行場にいる。銀行の仕事の研修でロンドンへ向かおうとするジャックにケイトは言う。『2人の幸せのために飛行機にのらないで』。それに対してジャックが応える『仕事で成功することによって2人は幸せになれるのさ』。

 そして13年後、ジャックは会社の社長になりウォール街で成功を収める。優雅な独身生活を送り、女遊びもする。そして、クリスマス・イブの夜も幹部を集めて、さあ2日後も大仕事が待ってるぞ!と部下を鼓舞する。

 そして、ジャックはその夜の帰り道、コンビニで銃を持って荒れ狂った黒人の青年(ドン・チードル)と出会う。ジャックは黒人の青年を説得して2人はしばらく一緒に歩くのだが、ジャックは黒人の青年から奇妙なことを聞かされる。

 そして、翌日ジャックは朝起きると何と横で昔の恋人のケイトが寝ており、娘のアーニーと男の子の赤ん坊の父親になっていた。ニューヨークシティのマンションで暮らしていたはずなのに郊外で暮らしており、慌てて会社に向かうが誰にも相手にされず。すなわち、ウォール街の覇者として生きていこうとしていたのに、いつの間にやら普通の家庭を持つお父さんになってしまっていたのだ。しかし、そんな生活にジャック自身は嫌気がしており早く元の生活に戻りたいと思っていたのだが次第に、ケイトや子供たちとの生活を楽しむようになっていくのだが・・・ビックリマーク

 

 時々見かけるもう一つの人生を歩むようになるパターンの内容。ウォール街で社長として暮らすジャックだが決して悪いことをしているのではなく仕事で努力して成功者として登りつめた。あの時、恋人のケイトを振り切って研修へ向かったことが吉と出たかのように見せる。

 しかし、本作ではケイトの言う通り研修へ向かわなかった時のその後を描いている。こちらがメインで映画は進むのだが、この時ジャックは家族の大切さというのを思い知ることになる。強欲資本主義にまみれて、猛烈に仕事していては気づけない幸せがあることを教えてくれる。

 もっと言えば金持ちになることが本当の幸せだと限らないことを観ている我々に見せつけるのだ。そして、クリスマスを家族で過ごすことの幸せを教えてくれる。

 人の幸せの価値観なんて色々。金持ちになることを目指して仕事にまい進することも良いだろう。しかし、この世の中、誰もが金持ちになることはない。特にアメリカなんて国は強欲資本主義に陥ってしまい、他人を不幸にしてまでも自分は金持ちになろうとする輩が多く出てくるのが問題だ。まあ、俺なんかは金持ちになったとしても他人を貶めてまで金持ちになろうと思わない。本作はそのような拝金主義に陥ってしまったアメリカも批判しているように思える。

 本作は心が温まるストーリー。人生の決断に悩んでいる人、最近家族と向き合ってないように思う人、人生カネだと思ている人も、そうでないと思っている人も今回は天使のくれた時間をお勧めに挙げておこうビックリマーク

 ちなみに本作はあのクリスマス映画の名作素晴らしき哉、人生!に似ています。

 

 監督はブレット・ラトナー。ジャッキー・チェン主演のラッシュアワー、ハンニバル・レクターシリーズのレッド・ドラゴンなどがお勧めビックリマーク