笑えない話
T君は名古屋支店の責任者だった。
名古屋の成績は低空飛行を続け
直接話したことはないが
会議でのやりとりを聞く限り
ボソボソと話す覇気のない営業と見ていた。
そのT君が今月末で退職する。
別に不成績の責任をとったわけではないが
毎月のけん責に耐えられなくなったのかもしれない。
営業責任者の資質があって
たまたま担当した地域特性が原因の不成績なら気の毒だが
そうとは思えなかったので
個人的には退職もやむなしと見た。
辞めるに当たって人づてに聞いた限りでは
入社の採用面接の際
社長を前にして
「僕を採らないと損をしますよ」とのたまったそうである。
あの暗いキャラクターでそんなことを言うとは信じがたいが
社長がそういうのだから間違いはあるまい。
世の中には大胆なことを言う人もいるものである。
結果的には
「僕を採らないと損をしますよ」ではなくて
「君を採用して損をした」になったのだが
人間、幾ら採用されたくても
後々たたるようなことを言うものではない。
もっともこの発言で採用を決めた社長の人物鑑識眼にも
疑問符がつくが
そういう会社なので仕方がない。
「僕を採らないと損をしますよ」
私は口が裂けてもそんなことは言わないな