生一本
私は若いころ、なぜか年長者にかわいがられることが多かった。
年長者なら誰でもということではない。
甘いも酸いも知り、年齢に応じた知見を備えた人にかわいがられた。
当時はなぜかわからず、自分は爺殺しの素質があるのかと思っていた。
自分がいい年になって思うのは
かわいがられた理由は
若い頃の私には生一本なところがあり、不正を憎み
不正を糺すためなら、自分の不利益も省みないところがあったからだと思う。
今にして思えば単純な正義感だったに過ぎないが
自分が今、年長者として若い人と接するとき
その中に真っ直ぐなものを見出すと
まぶしくてならず
またかわいくてならない。
結局、こういうことだったのかと思う。
若いのに変に老成している人間
あるいは性質として狡猾なところが見える人間はどうしても好きになれない。
そういう人間に反して
ちょっと不器用そうだし
多分世渡りもうまくないだろう。
だがその本質に真っ直ぐなものがある人を見ると
かつて自分が持っていた資質を見る思いで
そういう人間を見守ってやりたいという気持ちになるのである。