1873年に開催されたウイーン万博から今年でちょうど150周年。
明治政府として初めて万博に公式参加した日本。
プラター公園に建てられた日本のブースには、本格的な神社の社殿や日本庭園、橋まで造られ、日本から100名近い方が海を渡り、万博の設営、運営にあたられたそう。
万博にて出品された美術工芸品が、現在MAK(オーストリア応用美術館)にて展示されています。
特別展のタイトルは
”1873年ウィーン万博再訪〜ヨーロッパ人の見るオリエントとしてのエジプトと日本”
さほど広くないワンフロアーに日本とエジプトの万博出品作品が展示されています
エジプトと日本がオリエントとして一括りにされるのはあまりにアバウトな気もしますが・・・
入ってすぐに目に飛び込んできたのがこちらの箪笥
見れば見るほど、その繊細な蒔絵やツマミの素晴らしさが感じられて、ため息が出るほど・・。
真ん中の扉の部分を拡大してみました。
花鳥風月の華やかな蒔絵、山あり川の流れまでが感じられる繊細な構図
扉のつまみも蝶々と鳥と鳥の餌の幼虫??
双眼鏡を持ってきてじっくりみたくなります
蒔絵の工芸品はいくつも素晴らしいものが展示されていました。
どことなく、海外に出品することを意識したデザインや図柄が採用されているのかな?
影になって、せっかくの蒔絵がよく見えませんが、富士山に、日の出に、鶴が飛んでいるこの構図、とても縁起が良くて、見ているだけで幸せな気持ちになる蒔絵
↓こちらは別のタンスの一部分ですが、松竹梅が描かれ、扉のつまみも小鳥の彫り物になっています。
こちらの作品は藍を使って描かれた富士山の絵
タイルのように焼かれていますが、結構大きな作品
タイルにウネリもなく、フラットに焼かれているので、絵画作品かな?と錯覚するような繊細な作品
ズームしていると、小さな集落の家々が見られます
雲の描き方が面白い
この作品には”漆塗りのサンプルを集めた”と書かれていましたが、西洋の本棚をイメージして造られた様な珍しい形
日本でこの様な作品は見たことないので、これもこの万博のために、デザインされたのかな?
こちらはガラスケースの中に展示された漆塗りのサンプル集
じっくり見ると、実にさまざまなデザインが施されて入れ、漆塗りの可能性がこれほどあったことに驚きます。
こちらは手書きのイラスト
当時、日本で使われていたさまざまな道具やおもちゃなどが描かれています
私は茶道を学んでいるので、お茶関係の道具を見つけるのが楽しかった
柄杓や炭とり、夜咄の茶事(蝋燭の火のみで行うお茶事)の時につかった手付き燭台など
一部ズームしてみました
当時の人々が使っていた道具からは、その時代の人々の暮らしぶりが想像できて、とても興味深い
織物の1枚のみ展示されていましたが、その保存状態の良さと、クオリティーの高さに惚れ惚れします
光が反射して、写真では良さが伝わらないのが残念ですが、下の方には秋の七草が描かれているようです
ここは、藁細工のサンプル集
地味な展示ですが、1つ1つの作品の藁細工の編み方が丁寧で美しく、職人技!
この作品、A4のコピー用紙ほどの大きさですので、手先が器用で繊細な仕事が出来なければ、美しい三角形の連なるデザインにはなりません❣️
こちらは型紙の数々
デザインが”粋”
フグに恵比寿さんかな?
よくみると、細い糸が縦横に針めぐされ、この型紙がずれない様、工夫されています
兎と雪輪 ともに吉祥模様
欄間などの木組み細工も美しい〜!
お人形も数点展示されていました
柄に柄を重ねる着物の面白さ
この帯、中央で模様がピッタリ合っていますね。
これは人形ですが、実際、こんな帯があったら、よほど着付けが上手な人じゃないと美しく締められない帯ですね。
陶器も質の高い作品が数点ありました
こちらは薩摩焼
クリーム色の色合いがとても素敵
絵付けの技術も素晴らしいし、花のデザイン、バランスも完璧
↓上のお皿の裏側にも、モダンな絵が描かれていました
↓こちらはどこの焼き物か覚えていませんが、コップの底の葉っぱの感じがとてもよかった
じっくりゆっくり鑑賞した日本の美術工芸品の美しさに、ただただため息が出ました。
さまざまな工芸品を通して日本を海外にお披露目した”日本館”は大盛況だったようです。
当時の日本人の繊細さ、美意識の高さ、技術力、東洋的なアシンメトリーなデザイン、
その高水準な展示品を前に、いつまでもそこを離れたくない魅力溢れる内容でした💕
この特別展は、10月22日まで開催されています
かなり集中してみたので、美術館併設のレストランでランチしました
美術館の中のレストランは中庭もあり、オーガニック食材を使った優しいお味のお料理も美味しかった😍
レストランの室内も花が豊富で素敵!
美術館の入り口には巨大な椅子が置いてあり、自由に座って写真を撮って良いそうです
日本人の友人と一緒に、心ゆくまで楽しんだウイーン万博の展示でした
海外にいて、これだけクオリティーの高い日本の工芸品を見ることができて、とても幸せな時間でした
ウイーンの美術館はどこも、その建物自体が美しく、伝統を感じます
MAKも入り口の吹き抜けから階段ホール、ステンドグラスに至るまで、本当に素敵!
クリムトの”生命の木”と名付けられた著名な下絵もこの美術館に展示されています!
かなり大きな作品で、必見です
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました!