明日、君がいない (2006年/オーストラリア)
・・・焦点・・・
ムラーリ・K・タルリ脚本・監督
「明日、君がいない」(2006年/オーストラリア)
明日、君がいない
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原題《2:37》から大幅なタイトル変更・・・「明日、君がいない」
です。この邦題で十分な喪失をうかがわせますが、とある学校
の鍵のかかったドア下から血が流れ出すところからこの映画は
始まります。2:37は14:37。午後2:37の高校です。
前回に引き続きオーストラリア映画ですが、前回に引き続き
こちらもちっとも楽しい映画ではありません。珍しいことなのですが、
途中、休憩を入れました。今回は側頭頭頂筋辺りが痛い。
わずか19歳でこの作品に挑んだ新鋭ラーリ・K・タルリ監督による
群像劇。彼は友人を自殺で失った半年後、自らも自殺しかけた
という経験をもとに本作に取り組んだといいます。
そうです、この映画はある一人の生徒の自殺時刻、午後2時37分
からさかのぼって、その日の朝からカメラが生徒たちを追うのです。
オフィシャルサイト
http://www.kimigainai.com/
プレッシャー、コンプレックス、過ち。わたしも自分のことで頭が
いっぱいの頃があった。ゆえに生徒たちの生の声が心に痛い。
冒頭で誰かが自殺を図ることが明かされているので、いったい
この中の誰がかと、思いを巡らせますが、それぞれがみな危うく、
それぞれがそれぞれの深い悩みを抱えている生徒たちです。
映画監督 ムラーリ・K・タルリ Murali K. Thalluri
1984年8月4日生まれ オーストラリア キャンベラ出身
本作の撮影地アデレード在住。現在、長編2作目の準備中
メロディ役のテレサ・パルマーは本作で脚光を浴び、ハリウッドで
も活躍し始めていますが、出演者のほとんどが役者の顔という
よりも、本当にそこにいそうなティーンエージャーの顔です。
ある瞬間のせいで、ほんの5分や10分が永遠と感じることがある。
そしてそれは人間の孤独を浮き彫りにもする。《何でもないこと》
とは、決して他人が言えることではないんですよね。
見えない深く大きな傷。その大きな犠牲を目の当たりにして、
わたしたちは初めて自分の罪の深さをも知るのでしょう。
ラスト。監督が伝えたかったことのひとつはこれだったのかという
強いエネルギーは感じました。彼はこのテーマで描かずには
いられなかったのではないかな。
是非、中学生や高校生の方々に「エレファント」と合わせて、
ご覧いただきたいな。わたしのような大人ではなく
エレファント デラックス版
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ちなみに自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)は、先進国
G7諸国中で日本が1位です。年間の自殺者数は、1998年を
境に急増して3万人を超え、それ以降3万人超。
割合としてはもっとも低いのが20歳未満の自殺ではあるけれ
ど、20歳未満は学校生活を行っているため、他の年齢層と
違って学校での問題が自殺の原因のトップになっている他、
思春期も重なるために失恋等男女問題も他の年齢層より
大きな割合を占めているそう。
この世には傷だらけの天使たちがいっぱいいる。しかしたとえ
その傷が一生、過去のものにはならなくても、味わった苦しみ
こそが人生の糧だと思える日が、いつか来ることを願わずには
いられないのです。
ストーリー
成績優秀なマーカスと妹メロディなど、一見悩みとは無縁そうに
見える6人の高校生たち。しかし時間が経つにつれ、それぞれが
誰にも言えない悩みや問題を抱え、今にも押し潰されそうになって
いる現実が明らかになってゆく。そして午後2:37、1人の生徒が
自殺を図る。
キャスト
テリーサ・パーマー、ジョエル・マッケンジー、クレメンティーヌ・
メラー 、チャールズ・ベアード、サム・ハリス、フランク・
スウィート、マルニ・スパイレイン 他
編集:デイル・ロバーツ
音楽:マーク・チャンズ
撮影:ニック・マシューズ
原題:2:37 約1時間33分
女優 テレサ・パルマー Teresa Palmer
1986年2月26日生まれ オーストラリア アデレード出身
<主な出演作品>
明日、君がいない(2006年)
呪怨 パンデミック(2006年)
ディセンバー・ボーイズ(2007年)
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