『薬指の標本 (2004年/フランス)』

・・・閉じ込める愛・・・
ディアーヌ・ベルトラン脚本・監督「薬指の標本」(2004年/フランス)

薬指の標本 SPECIAL EDITION

￥3,441 Amazon.co.jp

人間が密封したいもの・・・それは愛と憎しみ

薄曇った映画だった。でも悪くはなかった。もう一度、観てもいいな。
上映中、音を立ててはいけないような・・・.耳を澄まして見入って
しまう映画でした

出逢って間もない男と女の関わり方がいかにもフランス
けれどこの映画の原作者は、日本の小川洋子さんです

薬指の標本 (新潮文庫)/小川洋子

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読んでから観ればよかったのかな

主人公のマドモアゼル...イリス役のオルガ・キュリレンコは、
ウクライナ出身のモデルだそうですが、可愛いですね

モデル・女優 オルガ・キュリレンコ Olga Kurylenko
1979年11月14日生まれウクライナベルジャンスク出身　身長175cm

そして彼女の服装がヘアスタイルも含めてとても素敵。少女の
面影を残しながらの、こういう肩の力が抜けたファッションは、
フランス映画にとても似合う。衣装を担当したパスカリーヌ・
ジャヴァンヌは、フランソワ・オゾン監督の初期作品から衣装を
手がけている人だそうです

ある事故を境に工場勤めを止め、ひとり港町に流れついた
イリスは、ある建物の入り口に貼られた求人広告をきっかけに、
標本技術士の助手になります

そこは標本の作製を担う工房。持ち込まれた品を標本にし、
保管する場所。依頼品は、"家の焼け跡に生えたキノコ"や
"文鳥の骨"、"楽譜に書かれた音"だったりと、有形、無形、様々。

そんなある日イリスは、勤め先の標本技術士(マルク・バルベ)から
ワイン色の靴をプレゼントされます

その靴を見て、50年靴磨きをしてきた男性は彼女にこう言います。
マドモアゼル、美しい靴だね
清楚で媚がない
強い意志を感じるよ
見事なほど、足にピッタリ合っている
履いて生まれたみたいだ
忠告しておこう
履き心地がよくても
履きすぎはダメだ
さもないと、足を失うことになる
ん～何だかこれだけで映画が1本作れそう。その他の台詞も
いちいち良かった

しかし展開は、やっぱりといった感じではあります。フランス映画
は、女性を裸にしないと気が済まないのでしょうか。

これだもの

謎に満ちた標本技術士と無防備な女の子。幻想が生んだ
現実なのか、現実が生んだ幻想なのか

この部屋の感じ...いいですねぇ

イリスはあの靴に足を通した瞬間から、変化を恐れたのかも
知れない。まるで標本にでもなったかのように。捕らわれた身に
自由を感じたのかも知れない。そして物語りはあいまいなラストへ。

標本とは、見つめるもの、そして傍に置きたいと願うもの、そして
同時に遠ざけたいと思うもの

イリスと同室に宿泊しながら、交わることのない、見つめる男
船員コスタも印象的でした

記すこと、残すことの意味を考えた1時間40分。あなたは今、
何を標本にしたいですか？わたしは・・・。本当に標本にしたい
ものって、きっと失くしてしまったものですよね

BGMが妙に耳に残る
わたしは赤いシェードのランプが欲しい。

ストーリー
炭酸飲料工場で働いていたイリスは、誤って薬指の先を
切り落としてしまう。事故をきっかけに仕事を辞めたイリスは、
知る人のいない港町へ移り住み、森の中にある古びた建物の
標本室で、標本技術士の助手として働き始めるのだが。

キャスト
オルガ・キュリレンコ、マルク・バルベ、スタイプ・エルツェッグ
エディット・スコブ、ハンス・ジシュラー、ソティギ・クヤテ　他

衣装：パスカリーヌ・ジャヴァンヌ
撮影：アラン・デュ・プランティエ
原題：L' ANNULAIRE　約1時間40分

小説家 小川洋子 Youko Ogawa
1962年3月30日生まれ岡山県岡山市出身
阪神タイガースのファンとしても有名だとか
＜主な著作品＞
完璧な病室(海燕新人文学賞受賞作「揚羽蝶が壊れる時」収録）(1991年）
冷めない紅茶（1990年）
妊娠カレンダー(1991年）芥川龍之介賞受賞
余白の愛(1993年）
シュガータイム(1994年）
アンジェリーナ（1997年）
密やかな結晶（1994年）
薬指の標本（1998年）
刺繍する少女（1996年）
やさしい訴え（1996年）
ホテル・アイリス（1996年）
寡黙な死骸みだらな弔い（1998年）
凍りついた香り（1998年）
沈黙博物館（2000年）
偶然の祝福（2000年）
まぶた（2001年）
貴婦人Aの蘇生（2002年）
博士の愛した数式（2003年）読売文学賞、本屋大賞受賞
ブラフマンの埋葬（2004年）泉鏡花文学賞
ミーナの行進（2006年）谷崎潤一郎賞受賞
おとぎ話の忘れ物（2006年）
海（2006年）