悪魔のメンチカツ② | たっつのしあわせストマック2

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~前回のあらすじ~



朝青龍は見事優勝しましたが、それはさておき、
皿そばを食べに出石へ来た夫婦の前に突如現れた肉屋。
我慢ならず入店し、メンチカツをオーダーした二人だったが‥‥!?



アツアツのメンチを受け取り、車の方へ歩く。


僕は、
(これから神戸まで走るから、お茶だな)
と思い、自販機にお茶を買いに行った。


ペットボトルを持って戻った僕に妻が、
『ちょっと、これ、凄いよ!』
と言う。


目は潤み、口角は上がっている。


そもそも、牛肉があまり好きでない妻が、こんな事を言うのは異例なのだ。


どれどれと、ビニール袋から紙袋に包まれたメンチを取り出し、かじってみる。



『‥‥‥!』


声にならない。


何かの間違いではないかと、本当に思った。


信じられない程、旨い。


少なくとも、28年間生きて来た中で、これほどのメンチカツに出会った事は無かった。


大きさは、一般的などら焼きより一回り小さいぐらいで、
形もどら焼きに似て中心がやや盛り上がった丸形。



これをかじると、まず衣のザクザクが歯を出迎える。

そして中身に到達するが、噛むと上質の牛肉とその脂、タマネギの甘みと旨味で、しばし言葉を失う。

噛む度に肉汁が出て来るのがハッキリと分かるこのメンチカツは、
あまりにもジューシーであり、衣から肉汁が染み出す程だ。


ビニール袋に入れてあるのはこの為か、と納得させられる。



一口食べては目を閉じ、その味をまるで舌に染み込ませるかの様に味わう。


この時、夫婦間の会話は
『コレ、本当に凄いね』
のみだった。



食べ終わると、まるで悪魔と契約を交わし、
魂を抜かれたかの様に呆然としながらも恍惚の表情でいた僕に、妻がまた
『いやぁ~、凄かったね。』
と言い、僕はただただ、
『うん。凄かった。』
としか言えなかった。


車に乗り込み、お茶を一口飲んで正気に戻った僕は、肉屋にダッシュで戻り、
『メンチカツ、凄く美味しかったです。ご馳走さまでした!』
と伝え、まるで生まれ変わったかの様に元気に神戸へと車を走らせた。



『出石に行ったら、皿そばと、絶対メンチカツ』
であることを、僕はここに宣言いたします。


おっと今回は、しあわせを通り越して悪魔との契約になってしまった事を、お詫び申し上げますm(_ _)m