夫の師匠であります中川久(なかがわ ひさし)
先生、通称かいぶつ先生の講演を聞きに、
大津幼稚園へ行ってきました。
かいぶつ先生は認定こども園大津幼稚園の
絵画指導の講師です。
そして幼稚園では、卒園児対象の絵画教室を
主宰されていて、そのうち5・6年生を
夫・安木洋平が担当しています。
かいぶつ先生については
以前書いたブログがこちらかいぶつ先生
うちの娘たちもここの卒園生。
卒園以来のかいぶつ先生の講演会。
コロナ期間があったので、保護者会としては
かなり久しぶりの企画だったそうです。
さて、講演のテーマは
「感じる力・考える力・洞察する力」
年長児の絵をスライドで観ながら
かいぶつ先生が解説していくもの。
今回紹介された絵は、かいぶつ先生の創作話
「ドラゴン」が描かれています。
子供たちのドラゴンの絵はどこから生まれるのか
ドラゴンの顔・からだ・手・足はどんな
動物が合体したのか問いかけるのだそう。
もの知りの子供たちの意見を聞きながら、
かいぶつ先生が進めたい方向へ導いて
いきます。
そして、最強ドラゴンの顔はシシ、
身体はヘビ、手足はワシ、日本の竜と
違って、翼があって火を吹く、といった
ものになりました。
創作話
お城の宝物を盗賊に盗まれないように、
ドラゴンは毎日見張りをいます。そんな
ドラゴンは疲れて、ストレスがたまってし
まい、気分が晴れるようなプレゼントが
欲しいと村人に頼みます。
村人たちは、ドラゴンを怒らせたら大変
なので、みんなで相談し、村の若い娘を
差し出すことにしました。
娘はドラゴンが恐くて泣くばかりでしたが、
村人達にさとされて、ドラゴン城へ行きま
した。
ドラゴンは友達ができて気分が晴れました。
ところが、このいきさつを聞いた若者は、
弓矢を持ってドラゴン城に忍び込み、ドラ
ゴンの眉間に矢を射ってしまったのです。
眉間に矢がささったままのドラゴンは、翼を
バタバタさせて空高く飛んでいきました。
と、ここでお話は打ち切り。
さぁ、子供たちは絵を描きはじめます
「ドラゴンがかわいそう」
「娘がかわいそう」
「宝物はどうなったの」
「強い奴をやっつけろ」等と
お話に聞き入った子供たちの声が、
静かなお部屋の中に聞こえてくるそうです。
スライドで次々と観る絵は一人一人が
心に残った場面が違うので、さまざまな
場面が描かれています。
・お話に出てきた登場人物がもれなく描かれている
・ドラゴンの眉間に向けて矢が飛んでいる
・ドラゴンが火を吹いている
・若者が宝物を持って逃げる
・お城の一番高いところにドラゴンが
居座っている
・若者が馬に乗って登場している
・女の子がニコニコしてドラゴンのそばにいる
・女の子が宝物に囲まれて嬉しそうにしている
等など。
この創作話のクライマックスは、青年が
お城に行って、ドラゴンに矢を放つ場面。
比較的男の子は、ドラゴンvs青年の緊迫
した場面が多いけど、女の子は観点が違っている。
ドラゴンが優しい顔をしていたり、宝石を
見つけた女の子がニコニコしていたりして、
目や口の形で表現することが多い。
同じお話を聞いた絵とは思えない。
絵を描き終わった後でも、「なぜドラゴンは弓矢でやられたのか」
そんな会話が聞こえてくるそうです。
かいぶつ先生が小さな声で
「若者は娘のことが好きなのさ」と言うと
数人の女の子がわぁ~っと声を出し、
れ晴れとした顔になったそうです。
お城を大きく描き、そのお城に長~い階段を描いた絵。
これはお城に長い階段があるということを
話していなくとも、子供はお城の一番高い
ところには偉い人が住んでいて、長い階段
が続いていることを知っている。
お城の長い階段が透き通っている。→これを
レントゲン現象と言うそう。
地面が画用紙の一番下に描いてあり、また少し上の右側、左側にも地面がある。
これは空間概念ができている。
1つの画面の中に、3つの場面を表現している。
遠近法は古代からあって、地面は上のほうに
書かれるほど位置が遠い。
子供はこれが自然とできる。
地面を描くということ
地面の線を描くようになるのは、年中の
後期頃からほぼみんな。
人物や物を単体で並べ描きしていたものが
地面を描くことで文章化されていく。
かいぶつ先生は、上手な絵ではなく、
よい絵を紹介してくれます。
パッ見、私には正直いい絵には思えない絵
でも、例えば1つの絵を観て、
「これは何だと思いますか?」と
保護者に質問します。
じ~っと見て考えてもよくわからない絵。
先生が「これは仕掛けなんですね~」と
教えてくれます。
「罠を作って、ドラゴンを捕まえようと
戦術を考えた絵です」
そして若者がこの絵に登場しないのは、
どこかの陰に隠れてドラゴンが仕掛けに
捕まるのをそっと見ているんです、と。
登場人物の主役の青年を描かない、
人物を消すのは、戦わせたくないという
心理が働いているんだそう。
「なるほど~!!」子供の絵に次々と
解説が入り、とても面白いのです。
ドラゴンのお話は子供の心を刺激したようで
深読みすればするほど、とてもミステリアス
です。
最後に同じ年長児の、幼い絵の
紹介がありました。
パッと見、ほんとに幼い子の絵。
幼稚なかわいい顔のドラゴンが、ニコニコ
してお花畑にいる様子。
かいぶつ先生は、この絵を素晴らしい絵と
言いました。
なぜなら、創作話を聞いて、ドラゴンの
ストレスがこの物語の中で一番重要だと
考え、そのストレスをとってあげるには
どうしたらいいのか?を考えた絵だから。
お城の中庭に出て、たくさん咲いている
きれいなお花を見たら、きっとドラゴンの
ストレスはなくなるだろうと・・・。
かいぶつ先生は、年長児がこのように
俯瞰的に考えられることはスゴイ!!
そして感動した!!と言われました。
このお話を聞いて、私もポロっと
涙が出そうになりました。
絵を描くことによって、
「感じる力・考える力・洞察する力」が、
見事にふくれ上がったとのことでした。
私が学んだこと
子供の絵は視覚的に写実的かどうかよりも、
内容がしっかりあることが大事
上手いか下手か、相対的に評価するのでなく
良いかどうか
・綺麗に描けているか
・丁寧に描けているか
・内容があるかどうか
かいぶつ先生の最後のメッセージは
子供の絵を通して
子供の内面のデリケートな部分を知ってほしい!!
とても素晴らしい講演会でした。
かいぶつ先生ありがとうございました!
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