続きです。
国連の予測によると、世界人口は2100年(110億人)までは増加してそこでピークアウトするとしています。この数字が頭にあるので「世界の老化はまだずっと先」という感覚を持っていました。
しかし、同書によると、「世界の老化」は我々の皮膚感覚より早く訪れそうですね。
① 出生率が人口維持水準を下回る国々の総人口は、2014年までにおよそ60%を占める(中国もその1つ)。
② 65歳以上人口が20%を占める「スーパー老人国」の数は2014年の3カ国(日独伊w)から2030年には34カ国になる。
もちろん、その前には(新興国の発展で)短い「春」が来ます。
「次に来る30億人」と題した章で、
2025年には世界人口の過半数(53%)が消費者層になる。
同書は、消費者層を、「世帯収入が、自由に日用品を買えるようになる1日あたり10ドルを超える層」と定義しています。同書は「新興国の新世代の消費者による消費は、圧倒的な力へと変化する臨界点にすでに達してしまった」と指摘、「新興国経済には乱気流もあるだろうし、成長率が低下する時期もあるだろう。だが、この成長トレンドは少なくとも2025年までは続くものと考えている」と述べています。裏を返せば早ければ2025年から下降する可能性もあるということですかね。
最後に気になったのは、
「1つの時代の終わりー資本コストが下がり続ける時代よさらば」と題した章。新興国のインフラ投資だけでなく、先進国もメンテナンスが必要で、今後20年のインフラ投資は過去20年の1.6倍になるとしています。
>こうした資金需要が、世界の人口の高齢化と、長期化する政府赤字の状況と同時並行して起こっており、それが需要の高まりをきっかけに、世界の総貯蓄額を減らす圧力となるだろう。マクロ経済のファンダメンタルズに基づく伝統的な見方によれば、需要の上昇と供給を減らす圧力という組み合わせの行き着く結果は、1つしかない。それがこれまでよりも入手困難で、高価な資本の時代の到来である。
もっとも、この本はここで少し日和って?「しかし、これまでの慣行には従わない金融政策の実施によって、理解しがたい世界の基礎を築き始めてしまったかも」として、「資本コストが上昇する」シナリオと、「金利を押し下げるシステムが確立される」というシナリオを用意していますw
日本については、
>日本の人口構造の見通しが意味するところは、日本の抱える負債を伝統的な手法では返済できない可能性が高く、政府負債を将来貨幣化することが必要になるかもしれない。言い換えれば中央銀行が新たに貨幣を発行し、政府の債務を買い取るのである」
いわゆる財政ファイナンス(マネタイゼーション)です。まあ、事実上、すでにやっていますがね(´・ω・`) 金融市場は気づかないふりしてますが。
この本は、示唆に富んでいてとてもためになりましたよ。
企業事例が200から300載っていると最初に書きましたが、日本企業が数社(イオンの船橋市に開業し高齢者向けSC(イオンモール船橋)、富士通のらくらくホンくらい)しかないのが残念でした。
いつから日本はイノベーションしない国になったのですかねえ(´・ω・`)