主人が、休日出勤をしてばかりいる…。
半分は暇を持て余して、平日は集中できない決算関連の仕事を淡々としているらしい。
もう半分は、独身の頃の癖だろう。
そんな主人が、キリキリと追われるように仕事をしているかと思いきや、思いのほかまったりと取り掛かっている感じを受けます。
それもきっと、市況を受けてのことだと推測。
主人の会社は製造業。
かつメジャーな資源を原材料にしています。
主な資源と言えば…
・石油
・天然ガス
・鉄
・銅
これらのどれかが、原材料です。
とりあえず濁す(笑
今はどの資源も価格が落ちているので、メーカー(購入側)としては原材料価格にやきもきすることはだいぶ減ったはず。
だから主人も気楽にしていられるんだと思うのです。
でも2010年ごろは、本当に厳しかった。
今の2倍、4倍(!)の値段だったので。
当時は転勤したばかりというのに、何をやっても赤字しか出なくて、成果を上げることは相当無理があったんじゃないかな。
もちろん社内で分析はしているから、原材料が原因だということは、幹部たちも分かってはいたんだと思うけれど、それでも印象は最悪だったわけだし、管理職にとっては嫌よね。
ところが今や、石油・ガス・鉄なんて、1/4ほどの価格に。
銅も半値になっていますから。
ただね一方では、のん気なこと言ってられない人もいる。
資源を採掘する側は苦境に立たされています。
典型的なのが、鉱山権益を買収した総合商社の三菱商事と三井物産。
採掘しても資源デフレで思う値では売れず、将来キャッシュフローが悪化して、減損をせざるを得ない状況になってしまいました。
資源ビジネスに手を出している企業は、海外も含めて、痛手を受けているそうですよ。
三菱商事、三井物産、2016年3月決算では巨額の損失を計上。
三菱商事-4300億
三井物産-2600億
もともとこの2社は、投資をする際に相当な高額で買収したと言われていたので、回収していきたい額(ある意味回収可能額)のハードルが高かったのは事実だと思います。
結果的に巨額の損失を計上せざるを得ず、また、資源ビジネスばかりに重点を置きすぎたためにリカバーする商材も他になく、最終利益が赤字に沈んだという、身も凍る話です。
ただ…
2社ともIFERS基準だから、また市況が戻ってくれば復活はあり得るんですよね。
日本基準では、減損の判定が甘いが一度切り下げたら戻れない一方で、かのIFERS基準は、判定は厳しいけれどまた収益力が改善すれば、損失を戻し入れることができる…とかでしたよね。
私はまだIFERSのこともそんなに詳しくないのけれど、これだけ市況が変わりやすい現代のビジネスでは、ある意味で時代に合った基準なのかなと思っています。
投資の失敗や事業の不採算が出たら、それは厳しく客観視し、株主も経営者もその苦境に冷静に対処し、時代が変化して流れが変わったら、もう一度敗者復活戦に手を上げることができるような、そんな会計基準。
だって、現代の変化が急激なのは、自明の理。
資源価格を見ただけでも明白。
例えば…
2010-2011年ごろは、中国が銅を買い占めていたんですよ。
だから当時は銅を買うことにすら困る事情に陥っていたほど。
銅の高騰はこの頃が天井でした。
銅の鉱山権益を買収しようという機運も、ここから。
それが2015年になると、中国は今度は鉱山開発をピタッと手を止めてしまい、結果的に、世界中の資源メジャーも開発や投資に後ろ向きになるという状況に陥っているんですから。
5年もたたずに市況って大きく変動するんだと実感させられます。
そんな時代に合った会計基準は何かということを考えると、日本基準のように、一度簿価を切り下げてしまったら戻れないというのは、経営者からすれば抵抗ありますよね。
減損したくない!って。
それに日本の企業は、本当に決算の赤字を嫌がる。
でも赤字は悪だとか、減損は爆弾だとか、単純にそういう会計上の数値だけに左右される時代は、もうそろそろ終わりを告げないと。
嫌なことは先延ばしにして、なんとなく誤魔化して良さそうに見せかけても、実はその先に待っているのは、本当の終焉でしかないという現実に気づくべきかもしれません。
それよりも、嫌なことはきちんと早めに表に出して、マイナス材料に振り回されることなく冷静に対処して、苦境は静かに乗り越えて、時が来たらもう一度花を咲かせる…まるで人生と一緒やね。
それにしても、市況を見ると溜息が出そうでよ。
今まさに資源系…鉱山などは正念場です。
一部の中国の鉱山が動き始めてはいますが、世界的にはこの市況がしばらく続くと言われていますから。
分かりやすいところでいうと、建機のコマツ。
本業は、建設業の建機ではなくて、鉱山開発向けの建機ですから、鉱山開発をしている企業だけが、市況のあおりを受けているんじゃないっていうことがよく分かります。
コマツのトップが、「資源メジャーに直接会いに行ったが、手ごたえから、まだ2年ほど苦しいだろう」って言っている記事を読みました。
あと、資源メジャーも、採算の取れない鉱山は止めてます。
鉱山って、掘れば何でもイイわけではなくて、利益率のよい山とそうでない山があるから、収益力のある山にターゲットを絞って採掘を続けているようです。
はぁ、どこもたいへんだわ。
だから、こういう時は財務戦略でしのげるところは強いんじゃないかと思います。
鉱山の権益をタイミングを見て売買するなり、「経理」じゃなくて「財務」の出番はこういうところなんだろうなと思います。
財務も、売掛金の回収や調整とかだけが仕事じゃなくて、IR室の仕事だけじゃなくて、企業の方向性を分析しながら次の手、次の次の手を練るところだと、本当の意味での継続企業になれるんじゃないかと。
財務の必要性は本当に浸透してなくて、求人情報を見ているとそれは顕著で、経理部や経営企画部の下に財務があったりします。
併せて、まだまだ日本には、CFOと呼べる人材が少ないなどとも言われてますし…
やばい、また話が止まらなくなりそう。
えっと…
自分にかかわりのある所をちょっと掘り下げるだけで、これだけいろんな勉強ができるって、会計知識サマサマだと思う、今日この頃です。
主人に関わりのある話、あと自分にも関わりのあった企業など、いろいろ調べたりすると親近感をもって、そして会計を身近に考えることができる。
こういうのって、本来的に好きなんだと思う。
やばい、やめられない…。