昨日は、若い専攻医の過労死報道がありました。既に多くの方がご覧になったかと思います。
誠実で真面目そうな印象の若者が、親を悲しませる、と最後まで人のことを思いやりながらも自ら死を選びました
母親が休職を勧めたものの、休んだらもうこの職場にはいられない、と本人は追い詰められてのことです
一回、リセットしよう。とりあえず休んでからどうするか考えればいい。
人生の選択肢は一つじゃないし、自分に合った道を探すのに時間をかけるのは、長い人生で見ればどうってことないのだから。
もし亡くなった彼が、自分の身内であれば。
何とか彼が休めるよう、必死に説得したと思います。
けれど、本当に気兼ねなく彼が休むことが出来たとするならば。
それは家族より病院からの働きかけだったと思うのです。
医師の世界はそういうもの、常に患者、自己研鑽が最優先とおっしゃる方もいるでしょう。実際そうして乗り越えてきた医師の方もいると思います。
ですが、やる気のある真面目な若い医師をどう生かすか、それが病院、管理者の責務です。
このニュースを見た瞬間、私はすぐ娘にLINEで記事を共有し、一言、無理だけはしないでほしい、と伝えました。
わかってる、とは言いましたが、娘に限らず、医師を志す人の大半は無理する覚悟でいることでしょう
だからこそ、言いたいのです。
医師として働く長い人生の中で、休むことも方向転換することもありなんだよ。人生の選択肢は決して1つではないのだと。
今回の報道は、過労死による労災認定がメインでした。
でも本質はそこではありません。労災認定でいくばくかのお金をもらったところで、彼は戻ってきません。
若い世代をどのように生かすかは、業種は違えどどの組織でも共通の課題です。
今回の報告を見る限り、病院側の長時間労働に対する認識は残念と言わざるを得ません。恐らく、その根底に医師は○○であるべき、長時間労働=是とする価値観があるのだと思います。
ですが、病院側は医師としての価値観とは別に経営者としてのマネジメントが求められます。
優秀な人材の確保、運用をどうすべきか、の視点が少なくとも今回の記者会見では全く感じられませんでした。
旧態依然の病院の体制が、こうした若者の過労死を機に真剣に改善されることを、医学部生を持つ保護者として切に願うばかりです。