医学部生活も忙しい娘に最近大きな変化がないため、しばらくお受験時代の記事を書こうと思います。
さて。
土曜日の送迎や参観は時々協力してくれていたものの、娘がお受験の頃、主人は働き盛りの中堅です。毎日朝から深夜まで仕事、仕事、仕事
そんな主人が、お受験の願書を作成しないといけないのです。
今はPC作成できる学校もあるようですが、当時娘が受験する学校は全て手書き。
完全理系な主人は、文才皆無。普段文字を書かないので手書きは苦手、常用漢字も忘れがち、と大切な願書の作成に、一番向いていないタイプです
家庭内のこうしたことは、お互い得手不得手がありますから私が担当するはずでした。
ところが、願書は家長である父親が書くもの(今の価値観に馴染まない考え方かもしれませんが)、とY先生の指導に、一理あるなと思ったのも事実です。
学校側は、その家庭を知る上で家族と面談をしたり願書を読みます。どの家庭でも母親が志望校へ協力的なのは当然承知しています。けれど、父親が学校について、あるいは子供の教育についてどう考えているのか、は学校側にとってとても重要だからです。
なぜ志望するのか、卒業生でもない我が家の思いを伝えることが出来るのは願書とわずかな面接だけです。
ここはY先生の指導もありますし、元々お受験を希望したのは主人ですから、主人に書いてもらうことにしました。
そうは言っても、主人は言葉でスラスラ表現できるタイプではありません。
仕事の合間をぬってずーっとパソコンとにらめっこしている主人を見るに見かねて、ドラフトを私が作成し、主人に提案してみました。
「うん、これいいね自分の気持ちとも一致している」
主人は私のドラフトをベースに一度願書の案を仕上げ、Y先生に見てもらうことに。
「志望理由が女性的な視点だわ。ママが準備した?」
さすがY先生。主人の直筆でしたが、私の案であることを見抜きました
さてどうしたものか。
教育というと、普段夫婦で話す分にはこういうことを大切にしたいね、とか言葉は出てくるのですが、志望理由になぜ我が家が他校でなく貴校を志望するのか、改めて言葉にしようとするとなかなか難しいのです。
その思いを指定されたスペースにおさめないといけません。
そこでどうしたかというと。
男性が一番話しやすいもの。それは仕事ではないでしょうか
少なくとも主人はそうです。一番長い時間をかけ、力を入れて取り組んでいるのが仕事だからです。
なので、主人がこれまでの自分の人生、仕事を通じて何を大切にしてきたか、その視点から娘にどのように成長してほしいか、その思いを志望理由に絡めて記載することにしたのです。
するとあれだけ頭が硬直していた主人が、自分の言葉で書き始めました
やはり仕事のことなら書きやすかったみたいです
そんなこんなで主人の言葉で書いた志望理由に、やっとY先生からも及第点をもらい、それをベースに7校分の願書を作成しました。
主人が娘のために頑張ったのは間違いなくこの願書作成です
これが最初で最後でしたが
Y先生からの強烈な提案で願書を提出することになった慶應幼稚舎は、志望理由を書く前に福沢諭吉の書籍を読むこととなり、主人は通勤電車で学問のススメを読みながら願書の案を考えていたくらいです
仕事をしながら&一番苦手な作業&重要資料の作成ということもあり、遅々として進まない主人でしたが(郵送期限前日までかかったものもありました)、
最後はしびれを切らした鬼の形相の私に怯えながら仕上げました
本当に最後の願書は、夜間空いている郵便局に私が駆け込みました。
こうして願書の提出は何とか終わり、あとは学校から受験票が届くのを待つのみとなりました。
どうかすべての学校が面接を受けられるように、と祈るばかりでした。