一人暮らしをするようになって、楽しい時間がひとつ減った。
それはごはんを食べる時間。
子供の頃からゴハンは家族みんな一緒が基本だった。
朝ごはん、給食や学食、晩ごはん…
みんなで「いただきます」してワイワイ食べる。
それが当たり前だった。
だけどひとりになって、ひとり分のごはんを作って食べる時、
なんだかむしょうに「ひとり」なんだな…って思ってしまう。
だからついそそくさと、
スマホを見ながら、
テレビを見ながら、
食事を楽しむことより、お腹がいっぱいになるだけのためにゴハンを食べる。
ただ何も考えず、おはしで口に食べものを運び、口に入れて飲み込む。
気がつくといつの間にかお皿や茶碗はからっぽ。
そして「ごちそうさま」も言うことなく終了。
でも、でもね、
「ながらゴハン」をしているとせっかくの貴重なチャンスを逃してしまう。
それは「五感」を使うのにちょうどいい、絶好のタイミングだから。
「ゴハンを食べること」
それは、美味しそうなゴハンを見て、美味しそうな香りを感じて、はしで口に運び、
よく噛んで味わって… ゴクリと飲み込む。
美味しかった〜!
ごちそうさま!
それが日本の由緒正しいゴハンの楽しみかた。
何をしている時よりも、一度にほとんどの感覚を使っているのがゴハンを食べる時だから。
一人でゴハンを食べていても、誰とも会話が楽しめなくても、その感覚は楽しめる。
そして一番大事なのは、自分の感覚を感じること。
見る、匂いをかぐ、噛む、味わう、シャキシャキっと噛む音。
五感を感じ楽しむことが精神を落ち着かせるマインドフルネスの基本になるものだから。
そんな風にしてゆっくりゴハンに向き合うと、
ひとりゴハンだけど、ひとりじゃない…って感じる。
それはゴハンを通して、食材を通して、
みんなと、大地とつながっていることがわかるから。
感じることができるようになるから。
今ここでは一人かもしれないけれど、
ゴハンを食べることを通して、ひとりじゃないって思えるようになる。
色よく茹でたほうれん草を食べながら、寒い冬だから甘いのよね。
新鮮なお刺身も、この前まで海で泳いでいたのよね。
いろいろ思いを馳せながら…
ゴハンはみんな生きてた「いのち」だったのだから。
「ごちそうさま」
で、私の中でひとつになる。