(前回の続き)
紳士的な振る舞いが功を奏したのか、
良い第一印象で、私は受け取られたようでした。
たしか、彼女の登録番号か何かを事務局に伝え、
お付き合いしたいです、と申しこんだような気がします。
なにしろ、私は(気持ちの上で)崖っぷちに居ましたので、
少々気になるような所は目をつぶりました。
あばたもえくぼというところでしょうか。
どのようにして、結婚という社会的実績を確立するのか、
私の人生目標は、その1点にフォーカスしていました。
話はとんとん拍子で進み、デートも重ねて、
次第に彼女は私に親近感を抱くようになりました。
しかし彼女にとって、決断に踏み切れない問題がありました。
それは私が戸籍上の一人っ子長男、という事実でした。
私の父親は亡くなっていましたが、母親がまだ健在だったのです。
私には姓の異なる兄が居ました。
父親が異なるけれど、母親は同じという関係の兄です。
母親の老後は、弟の私が引き受ける、
その代わり、母の年金の一部を家のローン返済の一部に補てんする、
そういう人生計画を、私は立てていました。
しかし、私の考えを正直に彼女に話せば、
目的を達成できない恐れがありました。
思い余った私は、
彼女に嘘(ウソ)をついていました。
どういうことかというと、
母の面倒は種違いの兄がみる、自分は二男だからみなくていい、
そういう取り決めになっているのだ、
という真っ赤なウソを彼女に言ったのです。
私を信じた彼女は、私と結婚することを決意しました。
そして私は、結婚という目的を果たしました。
30歳の誕生日を迎えた日から半年が過ぎていましたが、
31歳になる前に結婚することができたのです。
俺は、ついに、やった...
結婚してしばらくたってから、私は本当のことを話しました。
理解してくれて、私に従ってくれると思っていました。
しかし...
彼女の落胆、そして怒りは、
私の想像をはるかに超えるものでした。
結婚してしまえば、後はどうにでもなるさ、
という助言を、会社の上司や知り合いから
何度も聞かされていました。
しかし実際には、人の心というのは、
そんなに自分の思うようにはコントロールできなかったのです。
当面は会社の社宅を借り、
2人だけの生活を始めたものの、
いつ私の母親が転がり込んでくるのか、という不安は、
若い彼女にとっては、あまりにも荷が重すぎる事だったのです。
そして彼女はある日、
遂に耐えられなくなり、
社宅を出て、実家に帰ってしまいました。
(次回に続く)
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