紫の花 | 旅・あらゆるもの

紫の花

 

 

 

           祈ることひとつ芽吹きの並木道            ますみ

 

 

 

叔母の家に行った時のこと。

 
私の顔をみるなり

 

 

「あやちゃん、紫の花がね 玄関のところの紫の花がね そこにあるでしょう・・・」

 
と、よくわからない 報告に ちょいと 戸惑った。
 
正直 惚けちゃったのかと思った。
 
闘病生活も長くなるし まぁ 仕方ないかな。
(全然惚けていなかったけれど)
 
 
紫の花を探したら 確かに テーブルの上にある。
 
さて ここから叔母と どう 会話を繋げようか・・・・。
 
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ここからの叔母との会話を ショートカットするとして、
 
とっても 素敵な話だったので ここに記録したい。
 
 
 
玄関先の プランター5つ分(イメージとして) の中に 
冒頭の写真の草がワサワサ茂っている。
 
コップに挿して愛でると癒されるので、叔母は ちょくちょく 摘んでいた。
 
前の晩 いつものように コップに挿して テーブルの上に置いていたら 
可憐な紫の花が咲いていたのに  気づき
 
嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて・・・・。
 
嬉しくてたまらなかった。
 
・・・・・・というシンプルな話だったが、
 
私は この時の叔母の嬉しさが手に取るようにわかった。
 
ワサワサ茂っている中に 紫の花は 他にどこにも見当たらないのだ。
 
偶然というより奇跡だと思う。
 
「たまたま手にしたものに花が咲いていた」 その ひとつの奇跡に 叔母の心が躍ったのだった。
 
 
私は小さな紫の花に 「ありがとう ありがとう ありがとう ありがとう ありがとう」 と何度も声をかけた。

 

 

 

 

叔母の家からもらってきて 今 我が家で育てている。 

なんという名なのかわからないが、

いつか あの紫の花が咲かないかな。 もう一度会いたい。

 

その時に叔母に見せられたらどんなにいいだろう。

あと1年???それは非常に難しいかもしれない。

願い叶ったら 奇跡 だろう。

健康な人には ちっとも奇跡じゃない 年月。

 

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紫の花と出会ってから ふたつきほど経った。

 

叔母は 大きな手術に耐え この週末に久しぶりの外泊(自宅)ができるかどうか?

というところまで頑張った。

 

庭の花もたくさん咲いているだろう。

見られるといいな。

まずは 目の前のことね。