ハッピーアダプション部、新入部員のマルキママです。
テレビ番組やコロナ禍の影響なのか、最近では犬が欲しい時の情報収集として「インターネットで里親募集サイトを見る」が、20代では約半数を占めたそうです。ところが、実際の入手方法はペットショップやブリーダーが依然として多いようです(ペットフード協会調べ)。
保護犬を選ばない理由のひとつが「保護犬は心を閉ざし、臆病で人に懐かないから」と
聞いて、なんとなくわかるような・・・。じつは私もかつてはそう思っていました。
でも、保護犬のことを知るにつれ、それは大きな間違いだったことに気づきました。
私がはじめて仲良くなった保護犬の男の子のことを書こうと思います。その子は今では優しい里親さんのもとで幸せに暮らしているので、仮の名前をJ君とします。J君は推定5歳の中型犬で、放浪しているところを保護され収容施設に収容されていたそうです。
J君と私が出会ったのは、収容施設から引き出されて数日後でしたが、とても痩せて胸骨も肋骨もゴツゴツで毛艶も良くなく、不安そうにうつむいて暗い表情でした。お散歩に連れ出しても車の音におびえ、車がそばを通ると体をブルブル震わせて固まり、その後、姿勢を低くして逃走態勢に。もちろん尻尾はつねに、後ろ足の間にキュッと入った状態です。その様子は本当に可哀そうでした。
そんなJ君でしたが、人は好きなようで、同じ部屋にいると静かにそばに来て、そーっと体をくっつけてきたりしていました。いつかJ君の笑顔が見たくて、私はたまにお散歩させてもらうことにしました。
1週間後、表情が少し緩み、お散歩でも鳥や風で舞う葉っぱを追いかけるようになりました。1か月経つとお散歩にも慣れ車もほぼ平気、やんちゃ炸裂、ロングリードで遊べるくらいになりました。表情も豊かになり、その頃シャンプーも耳掃除もやらせてくれました。それからさらに1か月後、譲渡決定し里親さんのもとへ引っ越していきました。
J君から私はいろんなことを教えてもらいました。まず犬の適応能力の高さにびっくり! 臆病で暗い表情だったJ君が次第に変化していく様子に、毎回お散歩が楽しみでした。うれしそうにロングリードで遊んだ日は、初対面の時のJ君の様子を思い出し、言葉にできないくらいの喜びを感じました。
J君がどうして放浪していたのか知る由はありませんが、はじめは新しい環境や人の中で不安でいっぱいだったことでしょう。それでも人を信じて心を開いてくれる、そんなJ君の気持ちになぜだかとても勇気づけられました。
もちろん、J君のようなケースばかりではありません。保護犬はそれまでにいろんな経験をしているので、それが酷いことだった場合、辛い思いから人を信用できなくて、なかなか懐かない子も確かにいます。でもそうでない子もたくさんいるし性格はそれぞれです。
そしてその中から、自分の生活スタイルや性格と合いそうな子を選ぶことができます。それはペットショップにはない大きな利点です。また、たいていの場合は愛護団体や預かりボランティアさんのところで心のリハビリを終えてから里親募集になりますし、ハッピーアダプション部のように団体によっては譲渡後も相談にのってくれるので、「臆病だから・・・」「人に懐かないから・・・」が保護犬を敬遠する理由だとしたら、本当にもったいないなと思います。
尻尾を丸めて動かなくなったのが嘘のように
お散歩も楽しく歩けるようになったJ君。