今月11日にシニア柴犬の「だいず」がめでたく卒業しました。
高齢者によって埼玉県の動物指導センターに持ち込まれた子です。
長年連れ添ったであろうに誕生日はおろか年齢もわからず、センターの見立てでは推定14歳ということでした。
目が白っぽく白内障との診断でしたが、見えてはいるようで、預かりボラさん宅では生活に支障はありませんでした。
足腰もしっかりしていて散歩でもよく歩き、とても14歳とは思えません。
健診などでだいずに会うたび、預かりさんと「もっと若いですよねえ」と話していました。
もう一つ驚いたのは、飼い主に手放されたにもかかわらず、だいずはとても人懐こく、預かりさんにもすぐに甘えるようになり、たまに顔を出す私たちスタッフにも懐いてくれたことです。

 

預かりパパさんに抱っこされて幸せそうなだいず。

 

お散歩は楽しい時間。


そんなだいずに、里親募集サイトから応募がありました。小学生の男の子が二人いるお母さんからでした。
以前から犬を飼いたいと思いながら、ブリーダーから子犬を迎えるか保護犬を引き取るか決めかねていたとき、下の息子さんが「おじいちゃん犬がほしい」と言ったそう。それをきっかけに募集サイトを見て、だいずのことが目に止まったそうなのです。
小学生なら若い犬を望みそうなのに、保護犬に興味があるなんて感心なお子さんだなあと思っていました。

お見合いにはご家族皆さんで来られたのですが、そこでわかったのは、息子さんは幼い頃、近所の犬が覆いかぶさってきたことがトラウマになり、犬が苦手になってしまったのだそうです。
ワンちゃんはじゃれついてきただけではないかと思うのですが、小さな子供にとっては恐怖以外のなにものでもなかったのでしょう。
ただ、犬が全く嫌いというわけではないそう。
あまり元気な犬は怖くてダメだけど、おじいちゃん犬だったら大丈夫かも?と息子さんなりに考えたようです。
 

私たち保護する側としては、年配の方に老犬をお迎えしてほしいとは思いますが、なるほどこういうこともあるのかと、目から鱗のような感じでした。
思えば、去年の秋に譲渡したシニアミックス犬の「こいろ」も小さい子どもたちのいるご家族に迎えられました。
こいろも子供たちに気に入られ婿入りすることになったのですが、主として面倒を見るのはお母さん。そのお母さんとしては、まだ手のかかる子供がいるため、あまり若い犬だと負担になるのでシニア犬が良かったのだとあとで聞きました。

だいずにしろ、こいろにしろ、それぞれの家庭に合った犬を探したらたまたまシニア犬だったというだけのことかもしれません。
でも、私たちには「子供のいる家庭こそシニア犬を!」と言いたくなるくらいシニア犬の間口を広げてくれた貴重な経験となりました。

 

新しい家族に大歓迎されるだいず。

 

おじいちゃん犬がほしかった息子さんと。

 
追記
だいずは息子さんだけでなく、息子さんの友だちにも歓迎され、子供たちが大好きになったそうで、散歩で小中学生に会うと喜んで駆け寄っていくそうです。
子供が苦手なワンちゃんは多いですが、これも子供のいる家庭のメリットかも?