逃走中の彼と2度目の密会の日。
前回と同じように公衆電話から着信。
彼から時間と場所がつげられる。
以前身をひそめていたホテルとは全く違う場所にいた。
彼は私と会うなり海が見たいと言い出した。
私は彼の為に車を海に走らせる。
そして浜辺に座り、二人で海を眺める。
ただただ無言で。
何も話さない彼に、私はカバンから白い封筒を取り出し彼に渡した。
彼:「何、これ?」
私:「もう逃走するお金もないんでしょ?」
彼:「いいよ、人にお金借りてまで逃げても・・・」
私:「じゃぁどうするの?」
彼:「さぁ・・・なるようになるんじゃない。」
後ろ向きでやけくそな言葉ばかり吐く彼。
この辺は結婚した今も変わってないけど・・・。
彼:「とりあえず、せっかくはなが用意してくれたお金だし、今回は甘えるね。」
結局彼は私のお金をポケットに入れた。
ちなみに今回だけじゃなく、この先彼はずっと私のお金に甘えることになる。。。
お金を手にしてからの彼はよく喋るようになった。
安心したんだろう。
彼:「俺さぁ、昔っから海が好きでさぁ。海見てたら頑張ろうって思うんだ。」
逃走してる人のセリフとは思えない。。。
頑張るって。。。逃げ切ることをだろうか。。。
彼:「また元の生活に戻ったら、今度はちゃんと真面目に頑張ろうと思うんだ。
子供達としたいことも、行きたいとこもいっぱいあるし、
子供達に恥ずかしい姿だけは見せたくないからね。」
もはやそこに私の存在はない。。。
私:「子供達とは連絡とったの?心配してるんじゃない?」
彼:「仕事で出張って言ってあるから大丈夫。」
私:「お母さんにも?」
彼:「うん。短期の仕事って言ってある。」
どれだけの人にウソをつくんだろう。
呆れた。
浜辺で話すこと2時間。
彼:「あぁー、やっぱりはなといると楽しいなぁ。前向きになれる!」
私はお金を渡しただけで、たいしたことは何も言ってないのに。。。
彼:「早くまた一緒に寝たいね!」
笑顔でささやく彼。
逃走中の密会ってことを忘れてるのでは?
海をあとにし、待ち合わせの場所に戻る。
私:「じゃぁ、帰ったら連絡してね。」
彼:「今週中には帰れると思うから。」
なんて会話だ。。。
まるで多忙な仕事マンのセリフだ。。。
そして彼はまたどこかの街へと逃げていった。
一人になって帰宅する車内で私はいろいろと考えた。
こんな人と一緒にいて大丈夫だろうか?
逃走する彼も考えられないが、逃走資金を渡す私もどうなんだろう?
この先私まで巻き込まれることはないだろうか?
この時もっと真剣に考えて、ちゃんと答えを出しておけば
このあとの波乱万丈な生活はなかったかもしれないのに。。。
私は私で考えが甘かった。。。
そして週末、公衆電話から着信が。
彼:「はな、帰ったよ。泊まりにおいで。」
本当に帰ってきた。
逃走生活が終わったらしい。
私は急いで彼の家へ向かった。
が、駐車場に車はない・・・電気も消えている・・・
インターホンをならしてみるが反応がない。
と思ったら、「ガチャ」と扉が開き、家の中から彼が。
小声で「早く早く」。
部屋に入るとカーテンがきれいに閉め切られていて、テレビだけがついていた。
私:「どういうこと?車は?」
彼:「車は近くに止めてきた。いちおね。念には念をね。」
何のいちお?何の念?
こんな生活が1週間は続いたが、念には念をが訊いたのか彼の逃走生活も気が付けば終わっていた。
一体彼は何から逃げてたんだろう。
一体何をしでかしたんだろう。
今でも私はこの時の詳細を知らない。
当時は気にもなったが、今となってはどうでもいい。
というより知りたくないという方が正しいかもしれない。
叩けば叩いた分だけ出てくる彼のほこり。
これ以上ぽんこつ旦那にゲンナリしたくないのが正直なところ。。。
続く。。。
