俺は、餓鬼の頃、駅のすぐそばで生まれた。
赤ん坊の頃、祖母にオブられ列車を見に行くと、機嫌が良かったそうだ。
餓鬼の頃になると、近所の友達と、線路伝いに駅のホームに入り込み、停車中の貨物車でかくれんぼをしたり、発車待ちの客車に乗って発射寸前で降車する遊びをするなど、国鉄の列車は玩具だった。
今では、考えられない事だろう。
高校に入ると、通常、バスで行くはずの学校に、友達と意見が合うと駅から遠い校舎にもかかわらず国鉄を使った。
3両編成の車列の一番前が、俺達の高校。
その後ろには、近くの高校の生徒たちが集まっていた。
一番、後ろの車両から乗り込み、真ん中の車両を通るときに、そこに座っている生徒からタバコを”没収”したものだ。
そんな環境の中で育った俺は、この歳になっても高架を走る列車を窓から見ると、何かワクワクしてくる。
1両編成の車両は、各駅停車の普通列車か?
運転席が丈夫に設置され、奇麗な模様が彩られている車両は、特急列車だろう。
長い貨物列車が通ると、いつの間にか車両数を数えている。
写真を撮ったり、車両名を覚えるほどのマニアではないが、走る列車を見ると心が弾む。
如風でした。
『竜のバラッド』全話、配信しました。
イントロダクションから第1コーラス<幼き頃の友> : 竜のバラッド (livedoor.blog)