10話短編物語。
『八太郎の日々 VOL12』http://hatitarouno.livedoor.blog/ 第2話
これは、本当にフィクションです。
バトジャルガル・ムンフオリガル。
何の呪文?
そう思われる方が、殆どだろう。
1,2回では、とても覚えられない。
これは、大相撲初場所で悲願の初優勝を遂げた玉鷲関の、本名。
3横綱は、1人が引退、2人は休場。
3大関は1人が休場、2人は漸く勝ち越す体たらく。
そんな中、玉鷲関は平成最後の初場所を盛り上げた立役者だ。
土俵以外でカメラに移る時は、笑顔を絶やさない。
実に好感のもてる力士だ。
何のスポーツのキャリアも無く、お姉さんの勧めでモンゴルから来日し、何の期待もされないまま19歳で初土俵。
周りの予想通り、30歳で三役に入るという遅咲きで、34歳の今、漸く「優勝」という栄冠に輝いた。
更に千秋楽のこの日、第2子の次男も誕生したという”重ね”祝い。
取り組みを終え、控えに座った時に溢れ出た涙は、今までの苦労を物語っている。
偶々、来日していたご両親も、息子の晴れ姿を間近に見られた事も、嬉しさを倍増させている事だろう。
こんな遅咲きの力士を、コツコツ育てて来た親方の想いを考えると、こちらも貰い泣きしてしまう。
相撲界ではピークを過ぎる年頃だが、今回の御褒美を糧に、今後も雄姿を見せて欲しい。