暑い夏の昼下がり。
子供達は、木の茂った所に居た。
髪の毛は汗で濡れ、着ているシャツにも汗が滲んでいる。
声を立てず、そーっと大きな木に近寄る。
お目当てのクワガタが、目の前に居る。
視線だけで会話をし、その時を待つ。
さっと伸ばした手。
その掌の中に、クワガタが居る。
ニコっと笑う。
皆が、歓声を上げる。
その瞬間。
何とも言えない達成感が、子供たちを包み込む。
その中で、クワガタを捉えた子供が、
「いてっ!」
見事に、クワガタに手を挟まれている。
今度は放そうとするが、クワガタは離れない。
つい先ほどまでは欲しかったクワガタを、今は離れる事を願っている。
男女とは、その様な物だ。