女性活躍の教科書/日経BP社

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厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
(p31)

ヨコの課題とタテの課題の2つがある

・まず、「ヨコの課題」です。ヨコの課題というのは、女性が働き続けにくいということ。就業継続が難しいという問題を指します。日本では最初の子どもの妊娠・出産を契機として、6割の女性が職場を去るということをご存じでしょうか。就業継続率は4割しかありません。その割合は80年代とそれほど変わっていないのです。(p35)


男性の働き方改革を実行し、生産性高く働く

・高度経済成長期に形成された固定的な性別役割分担意識と長時間勤務や転勤が当然とされている男性中心型労働慣行を見直し、男性の家庭生活への参画を強力に推進することで女性活躍の推進を目指す。長時間労働を是正し、ICTサービスを活用し、多用で柔軟な働き方が洗濯できるよう、働き方改革を推進する――このように第4時男女共同参画基本計画には書かれています。(p39)


両立支援制度だけ手厚くすると生じる課題

・第3章で、中央大学大学院教授の佐藤博樹氏が論述しているように、「両立支援制度の拡充よりも働き方」を改革しないと、それができない女性社員に対して別枠の働き方として「マミートラック」を用意することになります。
「男性を含めた働き方改革への取り組みが、女性活躍推進の鍵となる。言い換えれば、すべての社員がワーク・ライフ・バランス(WLB)を実現できるように、働き方改革を進めることが重要なのである」(→282ページ)(p41)


なぜ女性管理職が増えないのか?

・もう1つの「タテの課題」というのは、昇進・昇格です。女性が昇進しないことを指します、前項で、6割が最初の妊娠・出産を契機に辞めると言いましたが、大手企業を中心に両立支援制度が充実しているところでは、妊娠・出産でも会社を辞めない女性が増えました。働き続ける女性が増えたのであれば、昇進する女性が増えてもいいはずなのですが、きれいな正比例にはならないようです。(p51)

・法政大学教授の武石恵美子氏は、著書『女性の働きかた』(ミネルヴァ書房)などでこのように指摘します。結婚や出産で退職する就業継続リスクのある、または家事・育児の負担が生じる可能性が高い女性に投資してもムダになることが予想されるため、企業は配置転換によって女性のキャリアを伸ばすことにためらいます。この「統計的差別」によって女性のキャリアのヨコの拡大が制限され、十分な技能形成が行われにくく、結果として昇進などのチャンスが制約されている、と。(p52)


女性に期待し、機械を与え、鍛える上司がいるかが問題

・もし、女性活躍や女性登用をすすめようと思うなら、無意識のバイアスは阻害要因となります。女性活躍のためには、「優しさの勘違い」から脱却して、男性と同じように女性部下に「期待」し、「機会」を与えて、「鍛える」上司が欠かせないということなのです。先進企業は、この「3つのK」の重要性を指摘し始めています。
 日経ウーマンで働く女性に調査したときに、女性が仕事で求めるものは「成長実感ややりがい」という声が多かったです。成長実感ややりがいは、簡単な誰にでもできる仕事からは生まれません。この仕事は自分にできるかな、ちょっと不安だなと思う高いレベルの仕事を与えられ、上司や周りの人たちから支援を受けてやり遂げる、そのとき得られる達成感や高揚感、醍醐味が成長実感へとつながります。それを成し遂げた自分に自信が持てます。自己効力感が高まります。
 私は、昨年22人の女性エグゼクティブのキャリアの軌跡をまとめた著書(『なぜ、彼女たちの働き方はこんなに美しいのか』)を出しましたが、その22人は、初期キャリアと呼ばれる20代のうちに、当時は一般職や事務職だった女性でも、「タフでチャレンジングな仕事を与えてくれて、仕事の醍醐味を味あわせてくれた上司と出会った」という人が実に多かったのです。(p58)


働き方改革を実行し、すべての従業員にWLB環境を提供する

・効率的に働き、定時になったら帰ることのできる職場であれば、子どもがいる社員も短時間勤務を使用する必要はなく、フルタイムに戻る人が多くなるでしょう。なぜ短時間勤務を選ぶかというと短時間でしか働けないからではなく、短時間勤務の旗を降ろすと、「無制限に働ける人」にカウントされてしまうから、残業OKだと思われるからだと打ち明ける女性はとても多いのです。ある会社が女性社員に取ったアンケートでは、一番不安に感じるのは「いつ帰れるか分からないこと」でした。いつ帰れるか分からない職場では、家事・育児をシェアしている共働きの男性も困りますね。
 中央大学大学院教授の佐藤博氏は、『人事管理入門<第2版>』(共著、日本経済新聞出版社)の中で、WLBが実現できる職場とは、「働く人々が、(中略)仕事上の責任を果たすと同時に、仕事以外の生活でやりたいことや、やらなくてはならないことに取り組める状態」を指すと論述しています。それには、家事・育児・介護という(やらなくてはならないこと」だけでなく、自己啓発、趣味、地域生活、社会貢献活動など「やりたいこと」も含まれるのです。そして、それが実現できない職場では、社員に「ワーク・ライフ・コンフリクト(WLC)」が生じることになり、そういう状態の社員は仕事に取り組めなくなってしまうのだそうです。
「つまり、企業の人材活用においては、社員のWLBを支援し、ワーク・ライフ・コンフリクトを解消することが課題となる」。(p74)


まとめ 女性活躍、成功の5つのルール

・女性活躍を推進するために、以下の5つが重要です。
1.トップがコミットメントし続け、社内外に発信している。
2.女性たちの感じている課題は何か、現場の声を吸い上げる仕組みをつくる。
3.男性の無意識バイアスを解き、女性を育成できる管理職を増やす。
4.女性たちを励まし、自信を持たせる仕掛けをつくる。
5.働き方改革を実行し、すべての従業員にWLB環境を提供する。(p76)


女性の活躍推進と働き方改革
~ワーク・ライフ・バランス管理職の育成を~

中央大学大学院 戦略経営研究科(ビジネススクール)教授 佐藤博樹

・はじめに~今、働き方改革が必要な理由から
・両立支援制度の拡充よりも働き方改革を
・「時間意識」が働き方改革の鍵を握る
・プレイング・マネージャー化する管理職
・重要性を増す管理職の人事管理能力
・WLB管理職をどのように育成するのか

・ワークライブバランス(WLB)管理職に関する提言
(提言1)
「WLB管理職」はこれからの企業経営にも必要不可欠
~部下のWLB支援を通じて仕事への意欲を高め、組織成果を上げる~
(提言2)
「WLB管理職」はイクメンでなくてもなれる
~環境変化に応じてマネジメントの在り方を柔軟に変えられることが重要~
(提言3)
「WLB管理職」は企業の組織的な取り組みで増やすことができる
~研修・評価等を通じ、管理職の行動変容・組織文化の変革を起こすことが鍵~
(p282~297)


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