サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功/CCCメディアハウス

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”The Third Metric”

「はじめに」しか読めていないのですが、そこでもいいところがあったので、書いておきます。


はじめに

・時代と供に、私たちの社会では、「成功=金と権力」になってしまった。実際、多くの現代人にとって「成功」と「金」と「権力」はほとんど同義語だ。
 こうした成功観もきのうしなくはない――少なくとも機能するように見える――短期的なスパンでは。けれど長期的に考えれば、お金と権力だけでは2本脚のスツールに座っているのと同じ――しばらくはバランスを取っていられても、いずれひっくり返る。そしてひっくり返る人、大成功していたはずの人の数は増えるばかりだ。
 私がスミス大学の卒業式で指摘したのは、これまでの成功の定義では十分でないということ。従来の定義は、もう持続可能ではない。人間にとっても、社会にとっても。妥協した人生ではなく真に望む人生、真に自分に値する人生を生きるためには「サード・メトリック(第3の価値観)」が必要だ。成功の2つの基準、つまりお金と権力だけにとらわれない3番目の基準。それを構成するのは4つの柱――幸福(ウェルビーイング)、智恵(ウィズダム)、不思議と驚き(ワンダー)、与えること(ギビング)だ。この4つの柱が、本書の4つのパートになっている。

・本当の意味で成功している人とは、ウェルビーイング、ウィズダム、ワンダー、ギビングを手にしている人のことではないか。そんな考えから生まれたのが、サード・メトリック――成功した人生を生きるための3本目の脚だ。人生の方向と自分にとっての優先順位を考え直そうとした私は、世界的な意識の変化に気づくことになった。私たちは新しい時代に突入しようとしている。今や、成功の基準が変わり始めている。

・慢性的な時間欠乏症になれば、第3の価値観を支えるもう一つの大切なエレメントも失う。世界の不思議に、そして日常の出来事や人生に溢れる小さな奇跡にも驚きと喜びを感じる心――「ワンダー」だ。
 私の母は、身の回りの世界に脅威を感じ続けることができる才能の持ち主でもあった。お皿を洗っているときも、海辺でカモメに餌をあげているときも、働きすぎのビジネスマンをしかるときも、母はいつでも人生に対する驚きに満ちていた。私が不満や不安を口にする度に、母は同じアドバイスをした。「見方を変えなさい。リモコンを持っているのはあなたよ。いやな映画をもう一度みることないでしょ」

・当時を振り返った彼女(=証券王手リーマン・ブラザーズの元CFO(最高財務責任者))は、過労はとても非効果的だと気づいた。「今から思えば、もう少し自分の人生のことを考えていても、同じ程度まで出世できたはずだった。」過労は彼女をむしばんだだけではない。誰もが知っているように、リーマン・ブラザーズそのものを食い尽くし、消滅させた。リーダーの役割は結局の所、タイタニック号が衝突する前に氷山を発見すること。とはいえ働きすぎで疲れ切っていたら、危険を――あるいはチャンスを――事前に見て取ることははるかにむずかしい。人生と仕事のあり方をめぐる変化を加速させるには、それを理解しなければならない。