こんにちは!
獣医師エリコです。
先日のブログでは、主にメス猫の不妊手術についてお話致しましたが
今日は主に雄の去勢手術についてお話させていただきます。
また、獣医雑誌CLINIC NOTEに掲載されていた
西山ゆう子先生監修:W.MARVIN MACKIE 先生(Animal Birth Control,USA)の記事では、
「7週齢と7か月齢の家で飼われている猫それぞれに不妊去勢手術を行うことで、時期の違いによって
骨格的・身体的・行動学的な影響を及ぼすことはない」という研究結果が紹介されています。
また、麻酔・術式の安全性も問題ないと報告されています。
以上のように
一般的に若手の獣医師でも読む著書や雑誌に、早期去勢手術を支持する記事が書かれています。
逆に、早期去勢手術で弊害が起こった事例を紹介する内容や、そうした研究結果を発表した記事は
私は見たことがありません。
去勢手術をすると太りやすくなる、というのは確かにあるので、
そのせいで尿路疾患になりやすくなる・・・というのはあるかもしれません。
でもそれは、去勢手術の時期には関係ありません。
ということで
私は「早期去勢手術は問題ない説」を支持しています。
「ぼくも一年前に3か月齢で去勢されたけど、べつに何ともないにゃー!」
Happy Tabby Clinicのスタッフも、数年前からこれまでにたくさんの仔猫を、早期で手術してから譲渡してきましたが、
特に何か問題があったという話は聞いていません。
なので、保護活動家の皆様
どうぞ安心して、里親さん宅に送りだす前に是非手術してあげてください。
飼い主さんにとって、不妊手術ってとても精神的に負担なんですよね。
里親になって、やっと猫さんが新しい環境に馴れてきて、
かわいくてかわいくて仕方がない時に、
元気な体にメスを入れるなんて・・・!
という心境でしょう。
気持ちはよくわかります。
私も初めて飼ったうちの猫を去勢手術する時は
心配で心配でたまりませんでした。
そして
戸惑って手術を先延ばしにしているうちに
「もういいか」となって、
しばらくして異性を拾ったりして
いつの間にか妊娠・・・・
というのが過剰繁殖の始まりではないかと思います。
活動家さんの中には、
譲渡の際に不妊手術を必ずお願いしていたにも関わらず
いざ里親になると、情が沸いてしまって、
「この子の子供を産ませたい」と言われてしまい、
何度言っても聞き入れられずにとても困っている
とおっしゃる方もおられました
そうしたリスク回避のためにも、可能な限り、譲渡前に不妊手術をしたいものです。
そのためには、譲渡されやすい早期での不妊手術が不可欠です。
手術後の譲渡のほうが、里親様にも喜ばれると思います。
また、早期不妊手術には前回のブログでも書いたように
メリットもたくさんあります。
早期不妊手術が、もっともっと一般的になりますように。
★ブログで公開している漫画は、ホームページ内「資料館」サイトにてダウンロードできます。
活動家の皆様に、お役立ていただけたら幸いです。
一般社団法人Happy Tabbyのホームページはこちら