早期不妊手術のすすめ② | happy-tabby-associationのブログ

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猫問題にまつわる情報と取り組み・活動報告を公開しています。

こんにちは!

獣医師エリコです。

 

 

 

先日のブログでは、主にメス猫の不妊手術についてお話致しましたが

今日は主に雄の去勢手術についてお話させていただきます。

 

 

 

「早期の去勢手術は弊害があるのか?」
 
 
 
動物病院の中には、
あまり幼いうちから去勢手術を行うと、
将来尿路の疾患になりやすいので、
幼いうちはしないほうがいいとおっしゃる病院があります。
 
えっ?!そうなの?!
 
 
保護活動をされている方の中にも
主治医の先生にこう言われて、保護猫の手術時期を迷われた経験がある方が
おられるかもしれません。
 
 
私の場合は
早期の去勢手術でも何も問題ありません!
と考えているので、私は体重1kgあれば、男の子でも手術しています。
 
私がこう考えるのは
私がこれまで臨床を勉強する中で読んできた資料の中に、
この考えを支持する論説がいくつもあったからです。
その一部をご紹介します。
 
 
まず、私が外科の勉強をするのにとってもお世話になった
「初心者のための小動物の実践外科学」枝村 一弥 先生(日本大学 獣医学科 獣医外科学研究室)著
より。
 
『オス犬やオス猫の性成熟は、品種や個体によって差があるが、犬では6-12か月、猫では9か月と報告されている。
したがって、これより早期の去勢手術が望ましい。
以前は、早すぎる去勢は、発育不良・失禁・排尿障害・免疫力の低下・行動異常・肥満を招くなど、様々な合併症が生じると報告され、
多くの獣医師に信じられてきた。
しかし近年では、生後3か月以前に去勢を行っても骨格成長などに影響はなく、ほとんど合併症も生じないと報告されている。
また、尿路閉塞のあるオス猫101頭と、閉塞のないオス猫101頭を用いた研究では、早期の去勢手術による発生率の差は認められていない。近年、米国ではワクチン終了直後に去勢手術を行う施設が増えてきている。このような背景から、麻酔が可能であれば生後6か月までのなるべく早期に去勢手術を行うことを推奨する。』
 
 

また、獣医雑誌CLINIC NOTEに掲載されていた

西山ゆう子先生監修:W.MARVIN MACKIE 先生(Animal Birth Control,USA)の記事では、

「7週齢と7か月齢の家で飼われている猫それぞれに不妊去勢手術を行うことで、時期の違いによって

骨格的・身体的・行動学的な影響を及ぼすことはない」という研究結果が紹介されています。

また、麻酔・術式の安全性も問題ないと報告されています。

 

 

以上のように

一般的に若手の獣医師でも読む著書や雑誌に、早期去勢手術を支持する記事が書かれています。

 

逆に、早期去勢手術で弊害が起こった事例を紹介する内容や、そうした研究結果を発表した記事は

私は見たことがありません。

去勢手術をすると太りやすくなる、というのは確かにあるので、

そのせいで尿路疾患になりやすくなる・・・というのはあるかもしれません。

でもそれは、去勢手術の時期には関係ありません。

 

 

ということで

私は「早期去勢手術は問題ない説」を支持しています。

 

「ぼくも一年前に3か月齢で去勢されたけど、べつに何ともないにゃー!」

 

 

Happy Tabby Clinicのスタッフも、数年前からこれまでにたくさんの仔猫を、早期で手術してから譲渡してきましたが、

特に何か問題があったという話は聞いていません。

 

 

なので、保護活動家の皆様

どうぞ安心して、里親さん宅に送りだす前に是非手術してあげてください。

 

 

飼い主さんにとって、不妊手術ってとても精神的に負担なんですよね。

里親になって、やっと猫さんが新しい環境に馴れてきて、

かわいくてかわいくて仕方がない時に、

元気な体にメスを入れるなんて・・・!

という心境でしょう。

 

 

気持ちはよくわかります。

私も初めて飼ったうちの猫を去勢手術する時は

心配で心配でたまりませんでした。

 

 

そして

戸惑って手術を先延ばしにしているうちに

「もういいか」となって、

しばらくして異性を拾ったりして

いつの間にか妊娠・・・・滝汗

というのが過剰繁殖の始まりではないかと思います。

 

 

活動家さんの中には、

譲渡の際に不妊手術を必ずお願いしていたにも関わらず

いざ里親になると、情が沸いてしまって、

「この子の子供を産ませたい」と言われてしまい、

何度言っても聞き入れられずにとても困っている

とおっしゃる方もおられましたゲロー

 

 

そうしたリスク回避のためにも、可能な限り、譲渡前に不妊手術をしたいものです。

 

そのためには、譲渡されやすい早期での不妊手術が不可欠です。

 

手術後の譲渡のほうが、里親様にも喜ばれると思います。

 

また、早期不妊手術には前回のブログでも書いたように

メリットもたくさんあります。

 

 

早期不妊手術が、もっともっと一般的になりますように。

 

 
 
 

 

 

★ブログで公開している漫画は、ホームページ内「資料館」サイトにてダウンロードできます。

活動家の皆様に、お役立ていただけたら幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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