いよいよあと2ヶ月と少しでインボイス制度が開始する。
なんとか廃止、あるいは延期にならないかと思っていたものの、
流石に無理なのかな。
一人士業の方は、これにより課税事業者にならざるを得ないとの
苦肉の選択をする方が多いように思えます。
そんな2023年10月に向けて、インボイス制度の対応を
考えてみた。
まずは、インボイス発行事業者の登録申請をするか、
否かについて。
主要な顧客が一般消費者(個人事業主ではない)であれば、
申請はせずに免税事業者のままでも問題はないだろう。
一般消費者がメイン顧客の仕事って何だろうと考えると
相続専門で個人客を相手している場合くらいなんだろうか。
また免税事業者のままでいくにはと考えると
軽減措置の差額分の消費税を値引きして対応をするとか
特定の2、3社の法人等を相手に仕事をしていて、
そこが今まで通りで良いよと優しい対応をしてくれるケースくらいかな。
つまり、法人や個人事業主を顧客とすることが多い士業は、
ほとんどの場合においては、残念ながらインボイス発行事業者の
登録申請をして、課税事業者になることが求められてしまう。
聞くところによると、申請をしてから登録番号が発行されるまで
1~2ヶ月程かかるとのこと。
申請手続きの期限は当初の3月31日から、9月30日までに
見直されているものの10月よりスタートするには、
7月末までに申請を済ませておいた方が良いかと思われる。
他に本則課税か、簡易課税を選択するのかとの問題もあるが、
とりあえずは、高級車を買うとか、事務所を建設するとか
特別なことがない限り考慮しなくても良いだろう。
それは、軽減措置として納税額の「2割特例」が創設され、
どちらを選択していたとしても適用できるから。
ただ、この特例は現在のところ3年間の時限措置なので、
状況が変わらなければ、消費税の負担や本則課税での
事務処理負担を考えると簡易課税を選択することが妥当だ
と思える。
では、免税事業者から課税事業者になる10月以降、
何をする必要があるのか。
必要なことは、インボイスの記載事項について、
今使用している請求書の様式を変更すること。
1)Tから始まる13桁の登録番号を記載すること。
2)税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率を記載すること。
3)税率ごとに区分した消費税額を記載すること。
士業の場合、軽減税率対象の8%は無いものと思われるので、
10%対象の記載のみで良いということになる。
ただそれだけ。
逆に必要ないこともいくつか存在する。
支払ったものに対する事務処理については先の2割特例が
あるため、本則課税であったとしても特に消費税に関する記帳は
特に必要ない。
あくまでも、課税売上を基準に消費税の計算がなされるから。
次に支払い先からのインボイス等についても、
先の理由と同様で記載内容が正しいかのチェックや支払先が
課税事業者か免税事業者であるかのチェックも必要はない。
合わせて「交付義務免除の取引」や軽減措置として創設された
「少額特例」についても特に確認する必要はない。
以上より、必要なことは自ら発行するインボイスの記載と
申告のために課税売上額の合計が把握できていれば良いと
至ってシンプルになる。
2割特例の適用については、特に申請等は必要なく、
申告時に消費税の確定申告書に適用を受ける旨を
付記するだけで良い。
最後に。
弱小事業者いじめが甚だしいなと思っていたところ、
何やらサラリーマン増税、退職金増税、パートへの社会保険負担
などが今後は展開されていくらしい。
2022年度の税収が過去最高となったにも関わらず、
万遍無く大増税が課される時代が訪れるようで、
かえって勤労意欲の減衰が起こらないか心配だったりする。
江戸時代であれば、一揆や米騒動が起こってもおかしくない
くらいのレベルなのではと思ったり、思わなかったり。
追伸。
適格請求書発行事業者の登録申請を済ませたものの、
取り下げようか迷っている酷暑の日々だったりします。