※あくまでも個人の経験談です。


うーたんパパさんの記事で、大学入試の厳しさをガチで伝える大人が少ない、ということを指摘されていたので、ロースかつが昔見た、とある田舎の県立高校の風景を書いてみたいと思います。

ちなみに、田舎なので、大学というのは「国公立大学」を意味します。



・高3の1学期まで部活を頑張る。

残念ながら夏の全国大会に行けるような実力はないが、高校最後ということで頑張り、部活を引退。


・夏休みにガムシャラに勉強するかと思いきや、猛ダッシュとは程遠い状況で2学期を迎える。

夏休みに何してたの?という感じ。2学期になってもあまり成長が見られない(苦笑)。夏休みは部活引退後の休憩時間じゃないよ?


・2学期になったら「高校最後の文化祭・体育祭(9月)」を頑張る。

学校のイベントが終わっても、すぐに気持ちを切り替えてハードに勉強を始めるようなことはしない(苦笑)。


・10月になって、やばいことにようやく気付く。

4月から教室に置いてあった、前年度の大学便覧などの入試関係資料がこの時期に大人気。せめて高3の春先から、自分が受験する大学を真面目に考えて欲しかった(苦笑)。


・10月-11月の予備校主催のプレテストで見事に返り討ちにあいショックを受ける。

良くてC判定、多くはD、E判定…旧帝大に行きたかったら、進研模試を信用するなって忠告したよね?と皮肉の1つや2つも言いたくなりました。進研模試だとA判定とかB判定が出ていたので、要は「ある程度以上の難易度の問題に対処できていない」のです。


・12月、二次試験対策は全然進んでいないけど、センター試験の対策を頑張る。

まあ、これは仕方ないです。学校全体を見渡すと、センター試験の配点比率の高い国立大学を受験する生徒が多いし、二次試験の配点比率が高い大学でもセンター試験で失敗すると不合格になる確率が高くなるので。


・1月、センター試験を受ける、そして二次試験出願

学校全体でセンター試験の対策を重視していたので、センター試験で大失敗する生徒はあまりいないです。センター試験の配点比率の高い国立大学を受験する生徒はそれでいいのですが、旧帝大や地方国立大学でも上位に位置づけられる大学を受験する生徒の中に、ここから30日〜40日で二次試験対策をする輩が少なからずいます(苦笑)。

学校側は浪人させない方針(田舎なので浪人する金が無い)なので、センター試験の自己採点の点数を使った志望校判定で、前期はAかB、せめてC判定が出た大学に出願するよう促し、後期は「A判定が出ている大学」の受験を強く勧めていました。


・センター試験〜前期試験まで

ここでようやく二次試験の過去問に取り組む生徒がいます(苦笑)。センター試験の配点比率の高い国立大学ならそれでも合格します。地元の国立大学のレベルがそんなに高くないのと、田舎の県立高校で腐っても地元中学の成績上位20〜30%以内の生徒で構成されているので、学年の半分以上は国公立大学に現役合格していました。


・前期合格発表

例年、旧帝大(東大・京大除く)の前期試験を受けに行った受験者(20〜30人くらい)のうち、6割くらいは合格していました。また、地元の国立大学医学部にも数名は合格していました。上記のような雑なスケジュールでも合格できる生徒がいるのは、「田舎の地頭強者」の底力でしょう。

そして、毎年大量の不合格者を出していたのが、「センター試験の配点比率の低い、旧帝大でない上位の地方国立大学」を受験する生徒で、10人以上受けに行って全滅(全員不合格)の大学もありました(苦笑)。

旧帝大を受験できるほどの学力(も地頭)もない生徒に、少なくともセンター試験よりは問題が難しい二次試験対策を30日でやれ、というスケジュールに無理があるのですが、これは毎年の風物詩でした(苦笑)。これについては教員に嫌味を言いました。


「今年も」ですか


例年、国立大学の前期試験と合格発表の間に高校の卒業式があったのですが、前期試験を終えて後期試験に向けてガッツリ勉強している人たち(要は前期試験は落ちている前提)を見て、


どうしてその頑張りを、もっと早くに、せめて高3の夏に始めなかった?


と思いました(苦笑)。いよいよ崖っぷちになって本気を出す…遅いよ…


・後期合格発表

後期は確実に合格できる大学を受験させる、という方針を学校がとっていることもあり、後期試験での合格率は高かったのですが…

旧帝大の前期試験で不合格になった生徒に、中堅クラスの地方国立大学を受験させていたので、後期試験で合格した大学に進学することに不満な生徒は結構いました。

結局、多くの生徒には「浪人する金が無い」のですが、だったらそれを考えて高校生活を送らんかい!と。さすがに言わなかったけど。




総括

田舎の公立高校から旧帝大に現役で合格するには、ある程度以上の地頭は必要、と本当に思いました。現役合格した同級生を見ていても、説明されて理解できない「飲み込み悪い系」はいなかったです。

「地頭の良さを武器に雑な勉強でも旧帝大に合格できるレベルの生徒」より能力的に劣る、上記の「旧帝大や国立大学上位校に不合格になった生徒」には、「受験少年院スキーム」が有効なのかもしれません。自分で先を読んで対策を打つことはできないが、やらせたらある程度できるようになる素質はあるので、物量押しが通用する気がします。

または、もう少し本人に大学受験に向けた「意識の高さ」があって計画的に勉強できていれば、とも思いますが、それも含めて「能力のうち」ともいえます。


結局、地頭に見合った大学に進学するのが田舎の公立高校の宿命です。


別に、勉強しようがしまいが、個人の勝手だし個人の人生です。ただ、浪人できない家庭環境、公立中高というハンデ、地頭的にも卓越しているわけではない、それでも旧帝大と呼ばれる大学に行きたいと言うのなら、それに見合った学習をやれよ、と思いながらクラスメイトを眺めていました。

地頭(才能)にそれほど恵まれない生徒が、高3までフルで学校行事と部活をやって、それで難関国立大学に現役で合格できるとか、世の中の受験生を舐めてるとしか思えません。