本稿で紹介する本
公立・私立中堅校から東大に入る本(和田秀樹著、大和書房)


*あくまで個人の考え、感想です。

ブログ記事としては、「東大の女子率を上げる方法(その5)」の続きになります。
東大生の親の世帯所得が世間一般よりも高いことはよくネタになりますが、こと女子学生に限って言えば、その親の世帯所得の平均値は男女総合より更に高くなり、かつ下方の広がりはほとんどなくなるのではないかと思います。(貧乏な男子学生はいても、貧乏な女子学生はほとんどいない)

そういう状況で「女子率」を上げたところで、

・高所得世帯
・中高一貫校出身
・駒場/本郷まで毎日通学できるところに自宅(親の住んでる家)がある
・親兄弟が東大卒または東大在籍

といった属性の東京近辺出身の女子学生が増えるだけで、「多様性」の拡大にはほとんど寄与しないと思います。「多様性」を口実に「女子率を上げる」ことを主張する人たちには都合が悪いことなので、東大の女子学生の親の職業や所得に言及することはないでしょうが、男子学生以上に「育った環境の多様性」がないと思います。

東大の存在意義の1つである、国や社会に貢献する人材の発掘を考えると、「女子率が低い」ことなどより、「関東ローカル大学」になりつつある現状(関東以外の地域から進学する学生は漸減中)や、「貧乏だが才能のある人間をピックアップする機能の退化」の方が、ずっと深刻な問題だと自分は考えます。ついでに書いておくと、日本の税金を原資に活動する「国立大学」なのですから、外国人への便宜を図る前に、我が国に貢献する人間の登用・育成を考えるべきだと自分は思います。アメリカの私立大学ではないのです。

まあ、「その筋の活動家」は実家が裕福で経済的に甘ったれた人生を許容された御仁が多いようなので、「才能ある貧乏人」のことなど興味はないかもしれませんし、「出羽守」として日本社会をこき下ろすのがライフワークの方々もいるので、そもそも「日本の国や社会への貢献」とは真逆の立ち位置、つまり日本を衰退させる為にわざとやっている「売国奴」なのかもしれません。



前置きが長くなりましたが、では大都市圏に住んでいなかったり、貧乏であったりする人の中から、才能のある人間を発掘するにはどうすればいいのか?これについて、昔、面白いことを言った知り合いがいました。

和田秀樹の受験本を全国の公立高校の生徒に配布すればいい。そうすれば、自分の可能性に目覚めて東大に来る、才能のある学生が増える。

というアイデアです。自分も同意見です(笑)。
現在、全国の公立高校(国立除く)の全日制普通科の生徒が、1学年に約50万人いると言われています。和田秀樹氏の本を読ませて、公立高校の5%くらいの生徒の心に響き、3%くらいの生徒が自発的に勉強し、1%くらいの生徒の学力が東大を受験できるレベルになれば、5000人くらいになる「皮算用」です(笑)。別に東大に行かなくとも、少なくとも「せっかくある才能」を腐らせることはなくなると思います。

そんなわけで、男女を問わず大都市圏の中高一貫校を経由しなくても東大に行ける人間を増やす為に、東大合格者ランキングの上位に名を連ねるような有名進学校に通っていない中高生が読むのに適した本として、自分がオススメするのがこの記事の表題と冒頭でも紹介した、この本です。


公立・私立中堅校から東大に入る本(和田秀樹著、大和書房)
内容
1章 2020年激変! 入試改革と東大入試
2章 東大までの「和田式カリキュラム」
3章 普通の子が大逆転合格! 和田式勉強法
4章 「東大入試の真実」を知っているか
5章 一生身につく、武器になる科目別「必勝勉強法」
6章 最高の自分を出す! 「東大受験」の本番対策



本書の前半に書いてあることで最も重要なことは、東大に合格する為には、

・東大に行きたいと思うこと
・東大に行けると思うこと

が必須であり、前者は大前提として、後者の「行けると思うこと」も大切な要素です。

昔から和田氏の受験関連の著書に共通することですが、「今いる学校が有名進学校でないからといって、東大に行けないと思うな」ということが書いてあります。
一部の天才を除き、有名進学校に在籍していようが「ガチで勉強しないと東大には合格できない生徒」が大半です。不躾を承知で書くと「学習適性の高い凡人」です。
有名進学校の天才系の生徒の逸話がしばしばマスコミで紹介されますが、もし有名進学校がそんな天才系の生徒ばかりだったら、東大受験に特化した塾や予備校が存在するわけがありません(笑)。天才でない大半の生徒は、東大に向けた受験勉強が必須です。

しかし、そんな彼らの東大受験に有利な要素の1つが、「東大に合格した先輩」を日常的に見ていて、自分もできると思えることです。東大合格者が出ない高校にいると、先輩と自分の実力を比較して「これぐらいなら東大に行ける」と実感を持つことが難しくなります。
でも、有名進学校にいる程度の「勉強すれば東大に合格できる学習適性の高い凡人」は、別に有名進学校でなくとも普通にいるので、有名進学校の学校の名前にビビる必要もないです。非・有名進学校の「学習適性の高い凡人」は「勉強したら東大に行ける」と思って勉強することが大切です。(天才系の生徒は、環境など無視して東大に合格するので、本稿では触れません)

また、東大に多数合格者を出す学校の生徒の有利な点として、東大に合格するには何をいつどうやって勉強すればいいか、学校や先輩などのノウハウがあることを挙げています。
本書は、非・有名進学校の生徒がその不利を克服する為に、東大入試に対する考え方、勉強のスケジュール感、科目別の勉強方法などのノウハウ・ヒントを提供する本である、といえます。
本書に書かれている入試に対する考え方やスケジュール感は、特に公立中高ルートをたどる生徒は、中学生のうちに知っておいて欲しいと自分は思います。公立中学で漫然と高校入試を突破できる程度の勉強しかしなかったら、東大を目指す「学習適性の高い凡人」にはハードな高校生活がやってきます。

最後に重要な事を付記しておきます。これは本書に限りませんが、和田氏の本の特徴として、読者(中高生)に、

・自分主体で行動すること
・自分の頭で考えること
・書いてあることを自分で消化して自分に合わせてアレンジすること

を求めます。辛辣なことを書くと、和田氏の本に出てくるノウハウ・ヒントを自分の頭で理解し、自分の計画・行動に落とし込める程度の「学習適性の高い凡人」でないと、和田氏の本を受験の指針に使うのは困難であるかもしれません。それができる「学習適性の高い凡人」が、上述したように、1学年50万人いる全日制普通科の生徒の3%くらいはいるかな、と自分は思っています。


というわけで、非・有名進学校の生徒も、臆せずに東大を目指しましょう!
志望校は「とりあえず東大」で!!