*本稿は、学校関係者でも受験産業関係者でもない、一般人の個人的な感想・妄想であることを最初にお断りしておきます(笑)。

「改訂版 東大合格高校盛衰記」(小林哲夫著、光文社新書)を読んでいて、学校経営に携わる立場だったらこれやるよね〜と思った記述がありました。



(1994年の項で、1980年代に創設された新興の中高一貫校が東大合格者を出し始めた、と複数の学校紹介した文章に続き)

進学実績がないなかで、どうやって生徒を集めていくか。難関大学に受かるまで面倒見の良さをアピールするしかない。そこが腕の見せどころである。中学入学時に地域のトップ校に入れなかった生徒を6年間徹底的に鍛えて、東大合格につなげていく。全寮制、予備校のノウハウ活用、勉強合宿、早朝授業や補習充実、夏休みや冬休みを短縮して年間授業日数拡大など、既存校が行ってきた効果的と思われるシステムを採り入れたのである。厳しい管理のもと、詰込み型教育を行う学校もあった。塾、予備校、メディアが「中学は入りやすいが、高校を出るとき、東大・京大に合格させる『お買い得』学校」と勧めていた。

(改訂版 東大合格高校盛衰記、p132より引用)



30年前の事情について解説した文章ですが、そのまま現在に通用する内容です。上記のようなやり方で生徒を鍛えている学校は、今でも少なからずあるようですし、「お買い得校」の記事は、現代でも年に数度は、雑誌の広告などで目にすることがあると思います。

生徒を鍛える手法として「結局、強制的な物量勝負かい」と思わなくもないですが、「自律・自学は無理だけど、勉強をやらせれば伸びる生徒」を集めて「合格実績」を出す方法論としては、それなりの「成功率」のあるやり方なのだと思います。
そもそも「自律・自学できる中高生」には、根本的には外部から強制力の伴う教育は不要なわけで、中高生の教育は必然的に「外部からの強制力が必要な生徒向けの方法」に収斂されていくものであるようにも思います。

また、国立大学は実質的に1人1校しか「合格」できないので、エース頼みの合格実績作りは不可能です。そもそも、学校の立ち位置を考えると、ほっといても戦果を上げるエース級の生徒を揃えるのは困難です。

戦いは数だよ兄貴!

ビグザム1機ではなく、量産型MSの性能を上げてパイロットを鍛えておく、それが「勝つための手立て」のようにも思います。
(↑ガンダムネタが分からない方もいらっしゃると思うので、その方は「戦いは数だよ兄貴」で検索なさってください(笑))

程度の差はあれ、新興の「進学校」の作り方・手法はあまり変わってないな、とこの本を読んでいると思います。