理科編、数学編と書いてきました。

数学編

総論としては「理解しない学習」を続けていると次第に失速していく、というところでしょうか。

以下の文章の「上から目線」の書き方にご不快な方もいると思いますが、ご容赦ください。

自分は高校時代、学校で同級生に数学と理科を日常的に教えていました。(休み時間や放課後に宿題の解説や授業内容のフォロー、テスト前の対策など)まあ、お金をもらってやっていたわけではないので、気楽なものです(笑)。

その中で、何故高校の数学や理科ができなくなるのか、当時も考えていました。数学も理科も、高校でできなくなる原因は「高校に入った後の内容」ではなく、高校に入るまでの学習方法にあるのかな、というのが当時からなんとなく感じていました。

数学に難のある生徒は、小学校算数の「比と割合」の本質的な意味が分かっていなかったり、中学校の方程式や2次関数を「式を変形する操作」と認識していたり、とにかく「やり方を知っている」が「理解していない」状態のままやり過ごしてきた感じでした。
小学校・中学校で学習する内容の本質的な理解がないまま、土台ができていないまま、高校で3次関数への拡張や三角関数、微積分を理解するのには無理があるように思いました。

理科は「暗記科目として処理しようとする生徒」に手を焼きました。「理解しないと先に続かないよ」と当時から言っていたのですが、本当に理解しようとすると、中学時代の理科の「理解していないところ」からやり直さないといけなくなるので、目先のテスト対策には弥縫策をやるしかない、そんな状況の生徒が結構いました。
化学だと「molの概念が分からない」「状態方程式がイメージできない」もありました。抽象化能力は数学は勿論、理科でも必要なのですが、抽象化能力の不足で算数⇒数学に対応できない生徒と同様、高校の化学に入っていけない生徒がそれなりにいるのも分かりました。
物理は、数学で微積分をやる前に物理が始まるカリキュラムになっていて、それぞれ微分・積分した関係にある力学の概念・式の説明に入っていました。微積分を理解する前に高校の物理をやるのは無理だろう、と当時から考えていました。

「理解の積み重ねの失敗」「抽象的思考能力の不足」そして「カリキュラムの不整合」、これが「中高で失速」の中核的な原因かな、と今は考えています。
国語と社会で(勉強不足以外の理由で)失速していく人をあまり見かけないのは、理科と数学に比べて「理解の積み重ね」の要素の比率が低いからなのだろう、と思います。

提言
中学・高校で数学・理科が失速した場合、「理解できないところ」「理解があやふやなところ」まで戻って、もう一度理解し土台を立て直すこと、それが多少回り道のように見えて、「中高で失速」の根本的な対策なのではないか、と自分は考えます。
過去の内容に戻っている間は、目先のテストの弥縫策ができないので、一時的に成績は悪化するかもしれませんが、そこは大局的な観点から目を瞑って過去の振り返りを欲しい、自分はそう思います。