こんにちは。
私は、4歳の時に母を亡くしました。
それは、本当に突然の出来事で、その頃の記憶は白黒で、ぼやーとしています。
せきぐちさつきです。
大好きだった母。
お料理が上手で優しい母。
五人の子供を残して、姉の誕生日の前の日に天国へ行ってしまいました。
亡くなる前、母は起きていられなくなっていて、一階の畳の部屋に寝ていました。父が開業医だったので、良く看護婦さんが点滴をしにきていました。父の友達がきた時はその部屋は麻雀部屋だったので、タバコ臭く、陽も入らず、なんでこんな部屋に大好きなママを寝かせているんだろう、と子供心に腹が立ったことを覚えています。
母の側に行きたくても、病気で寝ているからダメだと叱られ、ドアの隙間からそーっと母の様子を伺っていたのを思い出しました。
亡くなる数日前に、お風呂に一緒に入れることになり、大喜び。私と姉と母の三人。もう嬉しくて嬉してやっと母を独り占めできる!と思ったのに、姉がいるから、独り占め出来ないで、腹が立ちました。
母はあまり喋らないけど、私たちの話を「うんうん」となんども頷きながら聞いてくれたな。お風呂に深く浸かって。返事をする元気も気力もなかったんだと思う。お風呂に入るので精一杯だったんだろうな。
母は自分が弱ってきていることを分かっていたのかな。
私たち5人子供を残していくことをどう思っていたんだろう。「もっと生きたい」と思っていたのかな。私たちのために死ねない、と思っていたのかな。弟はまだ1歳にもなってなかったと思う。
母親になって思うことがあります。
母はどう思っていたんだろう。
最後の方は、もう生きることをあけらめたような、生命力を感じない、体はここにあるけど、心はどこかに置いてきたような、遠い目をしていた。
そんな母を、私はドアの隙間からよく見ていました。
甘えたいなんて言えない、抱っこしてなんて言えない、頭をよしよししてなんて言えない、話すらできない、触ることも、母のぬくもりを感じることもできない。
そう思いながら母を見ていました。
母の記憶②へ続く。