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介護の仕事、特に訪問介護は不人気で15の事業所が1人の求職者を取り合うという驚異の数字で推移している。そもそも給料が安く、利用者都合により不安定な仕事。移動も多く、仕事は利用者と1対1になりセクハラ・パワハラもある。
最近では訪問したケアマネが利用者に刃物で刺されたという事件もあった。
そういう事があったとしても、国は「個別の事例」としてしか考えず、やる事と言ったらセクハラ・パワハラに関する研修程度。
そもそもそんな仕事、衰退していくに決まっている。
それをボランティアや家政士、挙句の果てには学生も巻き込んで「役割分担」する!?
どうしてそういう発想が出て来るのか、不思議である。
(2)タダより高いものは無い
訪問介護を行う為の初任者研修やらは、かつてはホームヘルパー養成研修というモノであった。来るべき超高齢社会に向け、「質の担保」という事で一応の知識をつけてもらうというのが始まりだったと思う。それはカルチャースクール感覚での受講生が押し寄せ、ホームヘルパーの資格を取った人はおそらく数万人に上るだろう。
しかしその人が全て介護の仕事をしたわけでは無い。
取って見たものの、働きたくはないという人、前の仕事の方が良いという人もいただろうし、何よりも「介護は稼げない」という事が常識となってしまった。
ボランティアを各事業所に配置するという案は20年くらい前からあった。しかし実現に至らなかったのは、訪問介護業務でのすみわけが出来ないことを始め、様々な要因があった。
そもそも「質の担保」の為に受講したヘルパーさんと講習すら受けないボランティアが共存するのである。それは事業所の経営努力でどうなるものでもないだろう。
(3)人材はいる
私はこの局難を克服するためには、大きな動きが必要だと思う。
それは公務員の積極的な活用だ。
例えば公務員は55歳程度で定年し、その先の天下り先、再就職先を介護事業所にすることだ。
天下り団体が全く存在意義が無いというつもりは無いが、そうであれば、そういう天下り法人は介護事業所と同じ給与水準にするというのはどうだろう。
かつて民主党政権の時に「事業仕分け」というモノがあった。それ自体は腰砕けに終わったが、そもそも天下り法人というのは精査して縮小していくことは出来るはずだ。
本来、役人が天下るというのは、社会に必要なものをやるべきで、それはまさに介護現場なのだという認識にさせることだ。
しかし、それは「嫌」なのだろう?
という事は、社会に貢献すべき役人ですら「嫌」な仕事を介護職員はやっているという事だ。
それを論じないのは、やはり介護というのは「嫌がる」仕事なのだろうと思うし、衰退は避けられない。