(1)信用保証会社は
私が養護老人ホームという施設に勤めていた時、つまり平成の初期であったが、その時から身寄りのない人と言うのはそれなりの数がいた。措置制度のころだったから、身寄りのない人についてはいざという時の連絡先はあったし、無くなったら経営元のお寺で葬儀を済ませていたので特に不自由は感じていなかった。
しかし在宅の仕事をしてみると、いざというときにどうすれば良いのか明かさない人もいる。そういう時は身元保証会社を紹介するという手段もあり、我が社にもたまに営業の電話が来る。
しかし保証会社の評判はあまり良いとは言い切れない。料金が高い割に実際には何もしてくれないと言われる所も聞いたことがある位だ。
だからそういう時に地域包括支援センターに応援を要請するという事をやった事もある。時節では実際例を紹介する。
(2)実際の対応例
私の今も持っているケース。
80歳男性。10年前に脳梗塞で入院。独り身なのでキーパーソンは実兄。この実兄とはよく話をし、この利用者が何を考えているのかよく分からないというのが良く聞かれた。それでもデイサービスに行ったりはして、特に問題も起こっていなかったことから特に後見的な事は考えていなかった。
ところがその実兄が亡くなった。
この利用者は実兄が経営している会社の社宅に住んでいたが、そこはクーラーも壊れていて、直す気配もない。実兄には息子がいるが、この利用者の面倒を見ることは無い。この利用者も全く信用していない。
そこで地域包括支援センターに連絡し、対応を依頼した。
結果、サービス付き高齢者住宅に転居。そこの保証人にはその甥が名前だけ貸してくれた。
果たしてその利用者にとって、サービス付き高齢者住宅というのは快適なものでは無かった。その利用者は「誰のせいでこんな所に来させたんだ」と私に食って掛かったが、契約したのは本人だし、納得の上で来たはずだ。
しかし入ってみて、こんなはずではなかったという事はある。では、サービス付き高齢者住宅を出て、自分で生活したらどうかと提案した。自治体の出している高齢者向けマンションの一覧を渡し、役所の住宅課に相談に行くよう助言した。
結果として一年たっても何も動いていない。
おそらく何かしらの病気をして入院して、退院の時にどうするかという事になるのかという事になるだろう。
(3)人を保証するという事
利用者としては本当はこの甥に依頼宅は無かったはずだが、先の通り保証会社を入れるには地域包括支援センターの職員がそこまで信用していなかったという事から甥に頼んだのだろうと思う。
しかし保証会社としてもそこまでの費用を必要とするには理由がある。つまり人を一人保証するという事はそれだけ金銭的に重要だという事だ。
ケアマネをしていても、やはり信用保証会社と言うのは気持ちよく紹介できるレベルにはない。それが現状だろうと思う。
そうすると、信用しないまでも業として保証業務をしてくれるところに依頼するか、それとも頭を下げて嫌がる身内に依頼するかの二択になる。
私がもしそうなったら、否応なく信用保証会社に依頼する事になるだろう。ケアマネの仕事をしているというのは、将来必要になる信用保証会社を探しているようなものかもしれない。
