(1)親の危篤でも受けなければならない研修
ここ数日、ケアマネの更新制廃止の提言の記事が目に付いた。とても喜ばしい事である。ケアマネは5年おきに更新しなければならない。そして更新するために更新研修を受けなければならず、その時間は何十時間にも及び、費用も数万円かかる。
そして更新研修は1クールで授業を全部受けなければならず、一つでも欠席したりしたら歩行が無い為、一からやり直しになる。私は有効期間に余裕も持って受講していたが、人によっては有効期間ぎりぎりで受講する人も多いはず。そうすると1回でも欠席できない、後が無い状態で研修を受ける事になる。
それでもそれがルールであり、それを達成しなければケアマネの資格は失効となり、ケアマネの仕事を失う事になる。それは個人としても会社としても、更に言えば利用者にとっても大打撃だ。
だから親の危篤だろうが、利用者の急変があろうが、ケアマネにとっては研修が優先になるという恐ろしい状況がずっと続いてきたのだ。
(2)意味の無い研修
しかも研修の内容と言ったら大したことは無い。
介護の研修は知識を増やす、気付きを促すなどの目的もあるだろうが、「介護の仕事をしていて良かったな。明日からも頑張ろう」という気になって終わった研修は一度も無い。
中でもバカバカしいのが「事例検討」である。
各ケアマネが自分の担当しているケースで困っている事例を持ち寄り、グループワークであれやこれや言うのであるが、これが実に下らない。
最初にファシリテーターが「非難したり、中傷するのはやめてください」と注意するのだが、中には一言言いたいのだろう、「その考えは違う!」とやってしまい、グループでケンカになりそうな時もしばしばあった。
そもそも困難ケースというのは、やっていくうちに何とかやってしまうものだ。リアルタイムで地域包括支援センターに相談したり、地域ケア会議に出したりするから、そもそも研修の事例として出す頃には話は解決しているケースが殆ど。つまりみんなの意見を聞きたいのではなく、一応出しとくみたいな感じだろうと思う。
最近はオンラインでのグループワークになり、時間も事例提出者が話すだけで終わる事も多くなった。そうであれば尚更意味が無いなと思うものの一つであろう。
(3)現場の負担にならないように
今回の記事は提言というレベルだから実行されるかは不明だ。やはり全国のケアマネ、主任ケアマネが全員受講し、数万円巻き上げることの出来る研修事業は、研修主催者にはたまらない蜜だろう。そんなおいしい事業を手放すわけも無く、研修を受けなければ資格をはく奪するという仕組みは無くなっても、研修事業自体は何らかの形で残るものと思う。
最近はオンライン授業が多くなったから、講師の費用も少なくて済む。更に事務員も少なくて済むだろうから、主催者側のリストラとかで対応するのかな。
後はケアマネの研修費用だが、自治体で補助を出すところも増えてきたと聞く。
いずれにしても現場のケアマネに負担がならないようにしてもらいたい。

