(1)介護現場における事件
なんとも嫌な事件であるが、施設では大なり小なり事件は起こる。それは利用者、職員どちらに非があるかはともかく、このような取り返しのつかないやり方を取ってしまうケースもある。
私の勤めていた隣の施設で、利用者同士のケンカがあり、怒った利用者が相手の利用者に塩酸をかけるという事件が起こったことがあった。どこで手に入れたかは分からないが、人がおこった時、予想もしない行動に出ることがある。
結果として取り返しのつかない事態になってしまう。自分に置き換えて考えてみても、こうした人生の最後の場面で、こうした味噌をつけるようなことはしたくないと思うのだが、感情的にこうあってしまうという事はあり得る事ではある。
(2)要介護者だから何をしても良いわけでは無い
実はこうした事件は施設・在宅問わずに実際に起こりうることである。特に在宅では利用者と1対1になるので、嫌な思いをしたヘルパーや看護師は多いはずだ。
介護の場面というのは利用者の意思に反する事も多い。
利用者にしてみれば家族に面倒を見てもらいたいのに、家族が面倒を見てくれないからヘルパーを頼むなんて場合は、納得しない状態でヘルパーを迎えることになる。だからヘルパーに向かって「帰れ!」と怒鳴りつけたり、仕事が出来ない状態を作って、無理やりでも家族に来させようとする、なんていうのも当たり前の光景である。
しかしこのような状態で怒鳴られたヘルパーはかわいそうである。
ヘルパーにすれば怖い利用者であろうと精一杯の笑顔で対応しようとする。その好意をぶち壊されるわけだから、人の為にという気持ち自体を否定されたことになる。
介護の仕事を避けられる一つの理由に「殴られても殴り返せない」苛立ちがあると思う。ヘルパーはサンドバックでは無いのだ。
(3)利用者にも罰を
こうした場合にも利用者が納得いくように、という話をされる人もいるが、申し訳ないが、人というのはダメな奴はどこに行ってもだけである。
殴ってこない相手を見れば殴りたくもなる。仕返ししてこない相手は殴っても大丈夫と思うのだ。それに絡んでいるだけでも、怯えている相手を見れば威嚇したくなる奴も世の中に入るのだ。
この事件、施設側の責任と言うが、そもそも制度の在り方に問題がある。人権とか弱いものの味方と言えば聞こえは良いが、弱者のジャケットを着た狼がいることも理解すべきだ。
こうした事は行政にも自己報告という形での報告があるから、なんとか最小に収めたい気持ちは理解できるが、そうした隠ぺい体質こそこういう事件を招いてしまう。
こういう暴力をふるう奴は警察の介入も必要だと思うし、例え要介護者でも前科が付き、場合によっては家族が恥ずかしい思いをするという事になる事を実例として残す必要も場合によってはあると思うのだ。