(1)突然出てきた親族は
遺産相続というのは言葉は悪いがワンチャンスで、その機会を逃すとお金を貰えないというもの。だから介護状態になると、実子の間でも「親が死んだときに少しでも有利に話を進められるように」介護にかかわるべきという話も少なくない。
それで当たり前だが、介護側はキーパーソンは誰がふさわしいか審判することは出来ない。だから子供同士で話し合ってください、としか言いようがないのである。
おそらく当人同士の話し合いでは解決しないだろうから、そうすると法廷で争う事になる。つまり介護側は全く蚊帳の外の話なのである。
つまりはそこまで言う準備が必要で、介護側とすれば関与すべきでないことに頭を悩ませる必要はない。ましてやそれで家族から攻められるというのであれば、それこそカスハラと言う奴だろう。
(2)いっちょ噛みでどうなるものではない
それで私のケースであった事だが、実際にキーパーソンであろうとなかろうと遺産相続は変わらなかったという事があった。それもそうである。遺産と言うのはあくまでも「相続させる」側の意思である。だから人生の最後にちょっと介護に関わったからと言って、その人に有利に働くかと言えば、そういう事もあるだろうが、仮に遺書を残していた場合でも書き換えるまでの事はしないだろう。
むしろよく聞く話は、いざ相続する場面になった時に相続放棄を強いられたという話。これは断固として断れば良いと思う。勿論、訴訟になったりもするが、余程の事が無い限り複数の相続人がいた場合にどちらに有利に働くということは証明が難しい。つまりは均等に分けられる。そのくらい相続の協議と言うのはしっかりしている。
というよりこういう「争い」は醜いものだ。
本来であれば公正証書で残しておくべきだし、そこまで決めかねているのであれば法定相続に従うしかない。
つまり「いっちょ噛み」くらいでどうなるものでもない。
やはり自分の財産を相続させるというのは、それなりに自分に対してやってくれた人という事であろう。
(3)介護事業所に必要なもの
今回の記事で、施設側が困っているという事だが、こうした時に対応する法的なアドバイザーが存在が無いという事が介護の弱さを露呈している。
これは介護事業所全体に言えることで、運営指導を含めて、法的にもっと事業所は守られ手も良いと思うが、そういう費用をかけられないのでやられたい放題になっている。ましてや今回のケースは施設側の問題ではない。
こういう時は包括や役所に相談して、と言う事になるのかもしれないが、そうしたところに行ったとしても「まずは施設で話し合って」と逃げ腰になるからどうにもならない。
やはり介護事業所には法的な防御システムは必要だ。
