(1)短い記事だけに
「札幌市は23日、介護保険サービスの事務処理に誤りがあり、2015~23年度の利用者負担額と高額介護サービス費の一部に過払いや過少支給があったと発表した。時効分を除き、追加支給分を相殺して15人に計259万2036円の返還を求める。」(記事より)
15人で259万円となると、一人あたり17~18万円の返還を求めるという事だが、ハッキリ言えば利用者は全く悪くない。役所の出した結果をもとに介護サービスを受け、それが役所のミスだからと返還を求められるというのは・・・
これは利用者の側が応じるのかが興味深い、というより続報が聞きたいと思う。
(2)要介護認定が出たからこそ
要介護認定というのは本当にあやふやなものだ。
要支援から要介護2くらいまでは本当にどこになってもおかしくない。「この人は要介護で出るだろう」と思っていても要支援になる事はザラにある。逆もしかりで「どうしてこの人が?」という人が要介護になったりする。
なので要介護2で判定が下りて支給限度額マックスで介護サービスを入れたとすると16765単位となる。しかしこれが間違えて要支援2だとすると10531単位。つまり毎月634単位になり、金額にすると地域によっては7000円くらいの差が出る。そうすると年間で84000円になり、それが複数年分という事になる。
そうすると、この利用者はお金の返金だけでなく、これからはサービス量も制限される。ヘルパーもデイサービスも回数が制限されるのだ。
それに場合によっては要支援を受け入れないデイサービスを利用していた可能性もある。そうするとそのデイサービスでは介護給付で請求できないため、自費になる可能性もあり、負担はさらに大きくなる。加えて今後はそのデイサービスを利用できなくなるという事態にもなる。
このようなミスは許されるものでは無いだろう。
(3)介護事業所は徹底的に追及すべき
介護事業者が小さなミスをすれば目くじら立てて返戻になる。ちょっとしたことで数か月分の報酬が没収されるのだ。そうすると給料にも反映されるし、社内での処罰の対象にも当然なる。
それは「利用者に不利益を与えた」という大義名分があるからこその処分であろう。
勿論、介護事業所のミスが本当に利用者の不利益になったかは定かではない。行政の処分狙いというのも当然あるだろう。
しかし前述したようなことは、明らかに利用者の不利益になる。それをどのように処分するかと言えば、当時の担当者を含む部署の上司の減給が当然だろうと思う。
そうでなければ、介護事業所のミスは報酬没収、行政のミスは始末書一枚では筋が通らない。
こういう事も介護事業所は徹底的に追及すべき問題だろうと思う。