シャドーワークを保険外にすると収入増? ・・・ありません | ケアマネ時々卓球、時々その他

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(1)ケアマネのシャドーワーク問題

ケアマネのシャドーワーク解消へ、業務範囲の「線引き」案を提示 ...

ケアマネのシャドーワーク問題はこの表が出てきたことにより、ここ数カ月議論になっている。

そこで今後、保険外サービスとして位置づけ、民間事業者と連携を図ることによってケアマネの負担が減り、ケアマネが行うのであれば収入増につながるとのことで話が進んでいるようだ。

 

結論から言うと、これが定着するまでは時間がかかるしすぐにケアマネの負担軽減にはつながらない。その理由を縷々上げていこうと思う。

 

(2)ケアマネはタダで何でもしてくれる便利屋がお似合いで、これからもそうあって欲しいと思う奴は多い。

 

①そもそも存在意義が分からない

利用者や家族にとってケアマネとはどういう存在なのかという事だが、一般の人で分かっている人は少ないだろうと思う。介護が必要になって申請して、要介護度が下りてとりあえず地域包括に相談に行ったら「ケアマネを紹介します」なんて言われて、なんか知らないうちに来る人みたいなものだろう。

 

ケアマネにすれば

1.利用者の状況を把握して

2.今後の意向を聞き

3.目標を立てて

4.その目標に向かって必要なサービスを提案し

5.介護サービスを実行する

という手順を踏むわけだが、それ自体がよく分からないという人もいないわけではない。

 

それに「何でも相談して下さいね」とケアマネは言うが、何をどこまで相談して良いやら実は分からない。

 

ケアマネがいてありがたかったと言われるのはそれなりの時間を要すものだ。

 

②タダでやらざるをえない状況があった

このシャドーワーク問題の入り口は今に始まったことではない。例えば通院介助も、本来であれば訪問介護の仕事である。細かく言えば送迎の部分については介護保険、院内介助は自費という具合に分けれているのだが、とにかく通院というのは時間を読めないので訪問介護としても半日、場合によっては一日がかりで行う時もある。

 

そんな状況でヘルパーを手配できない時があった時、代わりにケアマネが通院介助を行うという事もあった。

本来、ケアマネが通院に関わるのは、医師の話を聞くという診察室での関りであって、通院というマンパワーを行うものでは無い。それは前述したとおり訪問介護の仕事だからである。

 

しかしそれが利用者や家族が理解できるだろうか。どうせならケアマネがやってくれれば方も無き語のお金を払わなくて済むし、という事になればケアマネがやらざるを得ない状況が生まれたというのが真意であろうと思う。

 

そういうシャドーワークは表でいえば殆どがそうではないだろうか。結局、他の機関に依頼して、契約が発生して実際に仕事を行うまでには時間がかかる。そうであればケアマネがちゃちゃっとやってあげちゃう、結果シャドーワークにつながるという事だ。

 

③なんでもケアマネに押し付ける病院や役所

病院の医師から「次の診察にケアマネが同席してください」と言われ、行ってみたら何てことない話しかされなかったという経験があるケアマネは多いだろうと思う。他にも緊急で通院し、結果入院したのだが、「まだ帰らないでください」と引き留められた経験がある人もいるだろう。

 

また役所からの「依頼」という形の押し付けも日常茶飯事だ。「○○の支援」といえば、利用者が自立的に行う事の支援という事になるが、そもそも出来ない、やる気のない利用者にとってはケアマネが代行することになる。

私の経験では、マイナンバーなど行政手続きの付き添い、選挙の付き添い、地域包括からは引っ越し業者の手配、ネズミ駆除業者の手配なども行ったことがある。ケアマネの中にはその他にもこんなことをさせられたと憤る人は多いだろう。

 

これは結果として「何でも対応してくれる」能力と解されれば良いが、そんなことは思わない。単なる「便利屋」として、誰もやる人がいないからしょうがなくケアマネがやらざるを得ない状況を作り上げられてしまった結果と言える。

 

つまり困っているのはケアマネだけで、他の機関は便利屋だから、今のままでいてもらいたいというのが本音なのだ。

 

(3)すべて契約行為だからこそ

利用者全てにシャドーワークが発生するかと言えばそういうわけではない。家族がしっかりしていて、ケアマネは介護サービスとその周辺の相談という位置づけの人であればこういうことは起こらない。

 

しかし「立ってる人は親でも使え」というのを当然と思っている人もいる。「お客様は神様だ」とばかりに過度な要求をする人もいる。それにお金を使うことを極度に嫌がる人もいる。そういうことはその人の価値観だからどうにもならない。

 

そういう人ほど、シャドーワークを行うであろう事業所との契約はしないと予想する。

 

つまり困っているのは本人だが、やらないのも本人。それをセルフネグレクトという事にもなるだろうが、そうした頑なな態度を和らげるためにもケアマネのシャドーワークは無くならないだろう。

 

おそらくこうしたことは「困難ケース」として地域包括会議などに乗せることになるだろうが、「ケアマネがやれば良い」とか「ケアマネを替える」という結論になる可能性もある。

 

やはり高齢者の事を本当に支援するのであれば、生活保護受給者に役所の担当が付くように、ケアマネも公務員にして、同じように支援するのが筋というものだと思う。

 

シャドーワークを保険外にすると収入増が見込まれ、業務負担につながると期待しているようだが、根本が違う以上それはありえない。以上。