(1)サービス付き高齢者住宅とは
今年度の介護報酬改定は訪問介護の報酬減という激震により幕を開けた。早速、訪問介護事業所の倒産・廃止が相次ぎ、在宅関係では不満の声が相次ぎ、在宅福祉の存在意義まで問われている。
そこで報酬減の一因となったのは「サービス付き高齢者住宅」の利益率の高さである。
サービス付き高齢者住宅とは、「高齢者が安全に暮らしやすいバリアフリー設計となっているなど、食事や一人暮ら しの不安などを感じている高齢者の方にとって、必要な支援を受けながら、ご本人らしい暮らしを実現できる「住まい」です」(厚労省)とあり、施設ではなく、住宅の扱いである。
高齢者は身元保証人の問題や、亡くなった後の問題を考えると一般的な賃貸住宅を借りるのは難しいと以前から指摘があった。そこで国交省管轄の「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」を介護サービスに組み込み、「サービス付き高齢者住宅」とした。
(2)料金も安価になってきた
有料老人ホーム程手厚いものではないが、利用料も比較的安価であり、老人ホームに入るのはまだ良いけど、何か支援が欲しいという人には向いていると思われる。
また、有料老人ホームも安価な所が増えてきた。
元々社員寮だったものを改築し、初期コストを抑えることで安価な料金を設定した。そうした事で敷居の高かった老人ホームも入りやすい環境になり、施設数は10年前に比べて2.3倍にもなったという。
逆にリゾート系の有料老人ホームもあり、それこそゴルフや夜はバーで一杯なんていう、贅沢系もあり、これは料金も高い。
しかし、そういう余生を送りたいという人もいるのだろう。
(3)在宅とは違うと思うが
我々在宅のケアマネからすると、サービス付き高齢者住宅は施設と言っても良い。業務も自転車で走り回らなくて済む。ケアプランは同じように組むが、時間帯などは事業所の都合で入れるわけだから、シフトを組むのも難しくない。そりゃ利益も上がるだろう。
ちなみにだが、私はこのような施設に賛成である。
やはり高齢者は亡くなることや何か問題が起きる事を前提とした生き方をしなくてはならない。
私の利用者で訪問看護が入る時間にいなかった人がいた。室内で倒れているのではと空いている窓から侵入したが家におらず、後日聞いたら飲みに行っていたと言う。
この場合はこの経緯を説明して事なきを得たが、場合によっては住居侵入罪である。
やはり高齢者になり、何が起こっても不思議ではないという状況になったら、準備はしておいてもらいたいと思う。死と向き合うのは辛い事だが、死んだ後に何が何だか分からないというのは残された人にとって本当に大変なことである。
そうした事を考えるうえでも、高齢者にとって施設は必要なのかもしれない。