日中一時支援サービスの日
昼食の焼きそばとおにぎりを
調理していた時のこと
人参を切っていると
急に背後から
ギュッと抱きしめられた
アラフィフのおばさんに
抱きつくなんて誰よ??
おかあさぁーん
その声は
不穏真っ只中
知的障がい・自閉症のHさん
36歳の男性
おかあさんって…
体は私より大きいんだけど…
一瞬フリーズしたけど動じず
母を演じきりましたよ
あらあら
お昼ご飯作ってるから
いい子で待ってて
もう一人の女性支援員(アラカン)
ああ――――っ
セクハラだ
その顔!
写真撮るよ!
と愛情込めて?言うと
だって
おかあさんなんだもん
あーおちつくー(すりすり)
おばあちゃんは
あっち行っててよ!?
ママー
ママー?なんでもいいけど
はいはい!おあそびは終わり!!
調子に乗るから
区切りをつけないとね
――――――――――――――
梅干しのおにぎりを食べながら
おかあさんが家を出た時のこと
話してくれた
一人っ子のHさん
両親がケンカばかりしていた
お母さんをかばったら
お父さんに
おまえはだまってろ!と
怒られたんだよ
ある日ボクは
おばあちゃんに預けられた
帰ったらお母さんがいなくて
お母さんはもう帰ってこない
ごめんね…と
お父さんがしょんぼりしていた
外に出て走って探したけど
どこにもいなかった
それから一回だけ
おばあちゃんちで会って
おもちゃをもらった
「帰ってきてよ」と言ったら
「考えとくね」と言った
すごくうれしかった
でもあれから一度も会っていない
―――――――――――――――
以前は母のワードは禁句で
母の日が近づくとダメで
問題行動を起こし
毎年強制入院させられていたHさん
自分から話せるようになったんだ
すごい成長したね
うん ありがと
私の運転でHさんをホームに送り
帰りの車で
おばあちゃん役の支援員?と
今日のミーティングをする
読書好きなその方が
教えてくれたこと
障がいは別として…
男の子は10歳ごろまで
お母さんを喜ばせるために
生きるんだって
お母さんが喜ぶことなら
何でもしたがるでしょ
10歳からは?
それがうまくいくと
安心して自分であるために
生きれるらしいよ
そうかぁー
Hさんはお母さんが家を出た日
6歳から成長がストップしたのかな
でもお父さんも立派だ
みんなそれぞれ頑張って生きている
私も息子が2人いて
大人になった息子に今でも
反省とか後悔とか…
胸の引き出しから出てしまう
でも過去は過去
仕方ないことは仕方ない
Hさんが私の背中に見ている
母の面影に
安定するまで向き合おう
背後から抱かれるのも
悪くないし?
ご縁があったのだから
楽しく助け合って生きようね
最後までお読みいただき
ありがとうございました