ヘルパーしてきた中で
一番ラブラブだったご夫婦のお話
人工呼吸器をつけて
自宅療養されている静子さん(仮名)
退職されたご主人が
24時間365日
妻の介護をされていました
ご主人が潰れてしまう…と
せめて週3回夜間に訪問して
サポートしていました
自力では頭も体も動かせないので
目・表情で意思を伝えますが
ベッドの横で
ご主人とヘルパーが
楽しそうに会話していると
静子さんは
フン
わかりやすく目が口が
怒っています
二人になり
体位変換やオムツ交換をしながら
話しかけても
フン
嫌われた上に失礼なのですが
60歳の由美子さんかわいい
夜中に1回は呼吸器のアラームが鳴り
切開した気管から喀痰吸引を行います
介護職員の医療行為は原則禁止されていますが
喀痰吸引等研修を修了していれば一部行なうことが可能です
看護師ではないので
緊張で震えそうになる手を消毒し
大きく深呼吸をして
いざ吸引!!
じゅるじゅるじゅる
静子さんの顔がゆがみます
苦しい思いをさせてごめんなさいね
吸引後はもう怒る元気はなく
スヤスヤと穏やかに休まれます
私は暗闇の中
呼吸音を聞きながら
じーっと朝をご主人を待ちます
結局私も頼っていました
「おはよう」
ご主人はまず静子さんの側に行き
おでこや頬に手を当てて
「眠れたか?熱はないかな?」
優しい目で見つめます
静子さんに
満面の笑みがこぼれます
「今日はお風呂の日だよ」
「朝ご飯にしようか」
ご主人が沢山話しかけて
経管栄養の準備に行くと
ニッコニコ
あんなに怒っていたのにね
「愛されてますねー」
ホットタオルで
お顔や手を拭かせていただくと
ヘルパーにも初めての笑顔
そんなに優しいご主人なら
やきもちを妬くのもわかる気がする
妻が難病で寝たきりになっても
住み慣れたお城で暮らせるように
いろいろ考えてくれている
なかなかいませんよねー
愛に癒されて
ほんわか心が温まり
急に眠気におそわれるヘルパーは
朝一番の太陽を浴びながら
コンビニでご褒美買って
帰るのが楽しみなのでした
最後まで読んで下さり
本当にありがとうございます