知的障がいの咲ちゃん(仮名)は
瞬足を履いている
 
 
 
最初はどこへ行くのにも
ヘルパーの手を繋いできた
 
 
 
雨の日は傘をさしていない手を握り
 
真夏は手汗でベトベトアセアセ
 
 
 
真冬はお互いに思わず冷たッ」
 
 
 
疲れた…
もう歩けない…
 
 
 
すぐそこに行くのにもバスに乗っていた
 
 
タラータラータラー
 
 
 
それなのに今日感じた成長っぷり
 
 
タッタッタッと私の先を歩くダッシュ
 
 
いや…走っていくダッシュ
 
 
 
振り返っては
 
 
「おそいよぉー。」
「バスのれないよぉー。」
 
 
 
アラフィフヘルパーどうにか追いついて言う
 
 
「私も瞬足買おうかな。」
 
 
「ダメー。」
 
 
 

瞬足を履いた私にも負けない

自信たっぷりの顔をしている
 
 
 
バスの時刻を調べて教えてくれた
 
 
 
「2人分お願いします」と運転手に
 
 
自分のバス券と介護者用の割引券をみせる
 
 
何だか目がキリッとしている乙女のトキメキ
 
 
 
お買い物もランチも
自分でお財布を出して支払いレシートをしまう
 
 
 
時間はかかるけど
やさしい人ばかりで待っていてくれる
 
 
「ありがとうございます。」
 
 
 
2年前はお財布を預かっていたのにね
 
 
 
いちばん最後にいっしょに計算して
お釣りがぴったり合った瞬間
 
 
とってもとっても嬉しそう
 
 
 
うさぎうさぎうさぎ
 
 
 
大きなリュックに荷物を詰め込んで
どんなに重たくても自分で持つ
 
 
シャンプーとコンディショナーのセットも
ちゃんと自分で持っていた
 
 
 
すごいなぁ咲ちゃん乙女のトキメキ
 
 
すごいなぁ瞬足?
 
 
 
晴れ晴れ晴れ
 
 
 
大人用の瞬足もあることが今日わかった
 
 
どうなのかな
もし早く走れるようになっても
先頭は咲ちゃんに譲ろう乙女のトキメキ
 
 
 
 
年をとるとできることは減っていくけど
 
 
 
気付くことはまだまだ
たくさんあるような気がする
 
 
 
走るのが遅くても覚えるのが遅くても
 
 
 
夢を持って
一歩一歩歩んでいこう乙女のトキメキ
 
 
 
 
いつもありがとうございますピンクハート